「立地適正化計画」で売れなくなる不動産を見分ける方法

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突然ですが、あなたは「立地適正化計画」を知ってますか?

「住みやすい区域とそうでない区域に分けて、行政コストを減らそう」

という計画です。

 

人口が減って、税収も減っていけば、上下水道やごみ収集、小学校や幼稚園などの運営費用も出せなくなりますからね。

国や自治体が、人の集まる場所に、サービスを集中させようとしているのです。

ということは、その区域の外にある土地は、これから徐々に不便になっていくので、地価は下がっていくはずです。

 

そこで、この記事では、いくつかの自治体が公表している立地適正化計画を見ながら、「売れなくなる地域」の特徴を解説していきます。

  • 不動産を買おうと思っている人
  • リバースモーゲージを検討している人
  • 相続した不動産で悩んでいる人

にとって、役に立つ内容だと思います。

立地適正計画をカンタンに説明します

立地適正化計画は、2018年6月現在で、161の市区町村が公表しています。(下表の◎、◯の市区町村)

 

立地適正化計画の取り組み状況

「立地適正化計画作成の取組状況」

 

立地適正化計画では、自治体の中に2つの地域を設定します。

  • 都市機能誘導区域(下図の赤色のエリア):駅やバス停など便利で人が集まりやすい場所
  • 居住誘導区域(下図の青色のエリア):便利な施設に近くて住みやすい場所

の2つです。

 

特に自宅や相続した不動産などに関係があるのは、居住誘導区域の方です。このエリアの中にあるかどうかが重要になってきます。

 

立地適正化計画のイメージ

(参考:国土交通省 立地適正化計画)

 

その上で、例えば、

エリア内

・地域の拠点として、病院や幼稚園などの公共サービスを充実させていく

・エリア内に新しい病院や商業施設を建てる時に、税金を優遇する

 

エリア外

・新しい分譲住宅(3戸以上)やスーパーなどを作るときに、めんどくさくする(届け出制にする)

・エリア外で人が減っている場所の公共施設は、小学校の空き教室に集約する

・バス路線を廃止して、民間の安い運行サービス(マイクロバス、ジャンボタクシーなど)に切り替える

 

といった方法で、エリア「内」と「外」の利便性に格差をつけることで、エリア「内」に移り住んでもらおうとしているのです。

 

どんな地域が、エリア「外」になるのか?

では、どのような地域がエリア「外」になるのでしょうか? 各自治体の立地適正化計画を見ると、このような傾向がありました。

  • 津波や洪水、地震による崖崩れなどの危険性があるエリア(ハザードマップの該当地)
  • 工業地帯に近いエリア
  • 住宅の建築が制限されているエリア
  • 市街化区域の中でも、市の中心部から離れた飛び地のエリア(郊外のニュータウンなど)
  • 人口が大きく減少しているエリア

などです。

 

人口規模別に実際に見てみると?

ちょっとイメージしにくいと思うので、どのような感じでエリア設定がされているのかをいくつかの都市を参考に見てみましょう。

 

人口100万人規模

札幌市、名古屋市、北九州市の3市がすでに計画を作成しています。

その中でも人口の多い名古屋市の計画図を見てみましょう。

愛知県名古屋市

 

名古屋市の居住誘導区域

(出典:名古屋市 なごや集約連携型まちづくりプランについて)

 

青枠で囲まれているエリアが「居住誘導地域」です。

名古屋市は車社会ですので、駅から遠い場所でも住宅のニーズがありますが、全体の2割ぐらいはエリア「外」になっていますね。

 

人口50〜70万人規模

この規模だと、県庁所在地が入ってきます。宇都宮市、新潟市、静岡市、熊本市、鹿児島市あたりがそうですね。

その中でも熊本市を取り上げてみます。赤色の枠で囲まれたところに注目してください。

 

熊本県熊本市

熊本市の居住誘導区域

(出典:熊本市 熊本市立地適正化計画(平成28年4月)

 

この赤い斜線の部分が、居住誘導区域です。

鉄道やバス網のある地域がカバーされていますが、街の中心部からはずれるにつれて、市街化区域(ベージュや緑色などの色のついた区域)でも、該当していないエリアが増えているのがわかります。

 

人口30万人規模

県庁所在地や、東名阪の大都市圏の郊外にある都市もこのぐらいの規模にありますね。

大阪の枚方市を例に見てみましょう。青色のエリアが居住誘導区域です。

 

大阪府枚方市

枚方市の居住誘導区域

(出典:枚方市 立地適正化計画)

 

このぐらいの規模になると、駅周辺や少し離れたあたりでも農地が増えてきます。

また、駅前の開発が進んでいない地域もあるため、居住誘導区域も虫食いのようになっています。

 

人口10万人規模

10万人規模になると、市町村合併によってできた市も多く、人口の減少も進んでいるため、財政的に厳しい市区町村も多くなります。

ここでは愛媛県の西条市を見てみましょう。青枠で囲まれたエリアが居住誘導区域です。

 

愛媛県西条市

 

西条市の居住誘導区域

(出典:西条市 立地適正化計画)

 

市内のごく一部にのみ設定されていることがわかります。

また、農地が広がって人が住んでいる場所が点在しているため、多くの世帯が対象から外れてしまう傾向にあります。

 

2025年問題が、土地価格の下落を早める可能性

立地適正化計画は、15〜20年ぐらいの長い期間を見ています。なので、対象外の地域が今すぐ不便になるわけではありません。

ですが、2025年問題(団塊の世代が75才以上になって、社会保障費が20兆円以上増えて、財政がヤバくなる問題)が近づいてくると、土地価格が大きく下落する可能性があります。

 

社会保障費は2025年には140兆円に。約16%も増える

社会保障費の推移と予想

(出典:2040年を見据えた社会保障の将来見通し(内閣府) 社会保障費用統計(国立人口問題研究所)

 

自治体の予算に占める社会保障費の割合は、現在でも3〜4割はあります。それが16%増えるとなれば、予算の5割近くを占める自治体も出てきます。

つまり、自治体の予算が足りなくなってくる可能性があるのです。そうすると、どうなるのか?

 

横須賀市では、すでに幼稚園や福祉施設の削減を始めている

横須賀市では、高齢者率が30%を越えて、介護や医療費が増えている反面、 若い人が減って税収が減少しています。

そのため、これまでの市の貯金が、どんどん取り崩されています。

 

横須賀市の財政調整基金等(貯金)の推移

(出典:横須賀市 現在の財政状況)

 

①が実際の貯金額の推移ですが、これは市が持っている土地を売って穴埋めしてきた結果です。

もし売れる土地がなかったら、②のように、2016年でほぼ貯金がゼロになっている状況なのです。

 

横須賀市では、3分の1以上の公共施設を統廃合する予定

そのため、市営住宅や学校、幼稚園、福祉センターなどの統廃合を進めています。 348の公共施設のうち、3分の1以上の137の施設が対象となるのです。

具体的にはどんなものかというと、こんな感じです。↓

 

(出典:横須賀市 施設配置適正化計画)

 

小学校や保育園が大きく削られているのがわかりますね。

子供のいる家族がそこに住む理由がなくなります。不動産の需要が大きく減るので、地価は下がっていくことでしょう。

 

立地適正化計画を作成している市区町村は、2018年6月現在で161だけで、1割未満の自治体しか作っていませんが、今後徐々に増えていきます。

お住いの自治体がまだ作成していない場合には、今回の記事で挙げた特徴を参考に、ご自分で調べてみることをオススメします。

 

立地適正化計画は、本当に効果があるのか?

ここまで立地適正化計画について解説してきましたが、

「こんなに駅前などの市街地がすたれているのに、市街の中心部に機能を集めても人が集まるのか?」
「ショッピングセンターのある郊外の方が住みやすいんだけど。」

と違和感を感じている人も多いでしょう。

 

確かに、人口が10万人よりも少ない、もともと町や村だったところが合併して市になった自治体では、駅前を再開発しようにも予算がなかったり、人口が少ないため商業施設を誘致できなかったりしています。

例えば、人口が30万人ぐらいの規模の青森市でも、駅前にアウガという商業施設を100億円以上かけて作りましたが、郊外のショッピングセンターに勝てずに倒産してしまいました。

 

青森市

(参考記事:産経ニュース 青森「アウガ」商業施設に幕 市役所の窓口機能は活性化起爆剤になれるのか)

 

いくら病院や公共サービスが市の中心部にあっても、日々の生活がしやすくなければ、土地価格の高い地域に引っ越してくる人は少ないはずです。

 

そこで1つ大きなポイントとなるのが、「イオンモールに勝てる商業施設があるのか(できるのか)?」ということでしょう。

青森市のアウガは、その点で規模が中途半端すぎたため、失敗しただけであって、駅前にイオンモールレベルの大規模な商業施設ができることで、市の中心部が活性化し始めている地域がいくつも生まれています。

 

いくつか例を挙げると、

  • 札幌市:ステラプレイス
  • 岡山市:イオンモール岡山
  • 長崎市:アミュプラザ長崎
  • 鹿児島市:アミュプラザ鹿児島
  • 大分市:アミュプラザ大分

などの都市では、地価も人口も増えているようです。

このような都市であれば、立地適正化計画の効果が見込めるでしょう。

 

そうでなければ、おそらく郊外のショッピングセンターに勝てず、どんどん郊外に家が建つ流れは止まらないと思います。

 

結論

以上のことから、

  • 不動産を買おうと思っている人
  • リバースモーゲージを検討している人
  • 相続した不動産で悩んでいる人

について、気をつけるべきことをまとめました。

 

不動産を買おうと思っている人は、利便性重視で

ここまで解説してきた通り、立地適正化計画は、市の中心部に商業施設を誘致して、しかもみんながそこを使うかどうかで判断すべきだと思います。

ですから、人口が少ない地域で家を建てるならば、あまりこだわらず、むしろショッピングモールなどの使い勝手の良さ、同じ世代の子育て層が多いエリアを選んだ方がいいでしょう。

こちらの記事で、これらの気をつけるべきポイントをまとめていますので、ご参考ください。

10年後も大丈夫?家を買うなら気をつけたい3つのこと
人口が減少していく日本で、これから家を買う場合に気をつけたい3つのポイントをまとめました。

 

リバースモーゲージは、エリア「外」ならば、やめた方がいい

リバースモーゲージとは、「家を担保にお金を借りられて、しかも自宅に死ぬまで住み続けられる。死んだ後に売却して清算する。」という金融サービスです。

ですが、リバースモーゲージは、死後に自宅を売却して清算するため、その間に土地価格が大きく下がっていくと、借りたお金を一部返済しなければいけなくなります。

 

立地適正化計画によって、すぐに土地価格が下がるわけではありませんが、10年〜20年も経てば、着実にその影響は出てきます。

最近は、東名阪以外の地方でも取り扱う銀行が増えていますが、土地価格の下落のリスクの大きい地方では、より慎重に検討する必要があるでしょう。

リバースモーゲージを使ってはいけない不動産の特徴とは?
リバースモーゲージは、数十年後に持ち家を売却することで成り立つサービスです。そのため、数十年間の金利、土地価格の下落リスクと付き合う必要があります。使ってはいけない不動産について解説します。

 

また、自宅を活用したお金の調達方法は、リバースモーゲージだけではありません。

「家を売却して、家賃を払って自宅に住み続ける」ことができるリースバックというサービスもあります。こちらならば、現在の市場環境に合わせて売却額を確定できるので、その後に土地価格が下落しても影響を受ける心配はありません。

もし、ご興味のある方は、こちらで確認してみてください。

リースバックの仕組み。メリットとリスクを全解説
「死ぬまで家に住むことができて、お金も借りられる」という商品性が人気のリバースモーゲージですが、「相続人全員の承諾が必要」「大都市の土地つき建物でないとダメ」など、利用するのにハードルが高く、あきらめてしまう人も多いようです。 そこに...

 

相続した不動産で悩まれているなら

住んでいない相続した不動産をお持ちの方は、難しいですよね。

エリア「外」の場合は、残念ながら時間が経つにつれて「売れなくなる不動産」になる可能性が高まるでしょう。奥さん、お子さんの代まで固定資産税を払い続けることになります。

 

立地適正化計画はまだ全国の自治体の1割ぐらいしか作成していないので、エリア「外」かどうか確かめられる人は多くありませんが、すでに維持管理や税金の負担を嫌がって、相続放棄を選ばれる人たちは年々増加傾向にあります。

 

売れない不動産を相続したくなくて、相続放棄の件数が増えている

相続放棄の件数

 

ですから、まずは1度「いくらで売れるのか?」現状を調べてみるところから、始めてみてはいかがでしょうか?

不動産の一括査定サービスを活用すれば、簡単に「いくらで売れるか?」を調べることが可能です。

 

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