山梨県で土地価格が上がる不動産の特徴とは?今後はどうなる?

山梨県

山梨県のここ5年間の土地価格を見ると、住宅地で9.3%のマイナスとかなり大きな下落率でした。

 

山梨県の公示地価の推移

(参考:国土交通省 地価公示)

 

2013年にオリンピックの開催地が東京に決定してから以降、外国人観光客が増え続けています。

山梨県は富士山もありますし、外国人の延べ宿泊者数は120万人を超えてきました。

経済へも良い影響が出ているはずです。なのに、なぜこれほどに土地価格が上がらないのでしょうか?

 

そこで、この記事では、過去30年間の山梨県の土地価格を追いかけることで、

  • なぜ、山梨県の住宅地は、26年連続で下げ続けているのか?
  • この5年間で上昇している不動産の特徴は何か?
  • 今後の山梨県の土地価格がどうなるのか?

について、解説していきます。

 

不動産を買いたい人にも、売りたい人にも参考になるはずです。

1、これまでの山梨県の土地価格の動き

(1)26年連続で土地価格が下落している理由とは?

全国の土地価格のピークは、1991年(平成3年)でしたが、山梨県ではその1年後の1992年(平成4年)がピークでした。

しかも、その上昇率はかなり高く、反動で下げ方もすごかったようです。

 

 山梨県の公示地価(住宅地)は、平成4年ごろがピーク

山梨県の過去30年間の公示地価の推移

(参考:国土交通省 地価公示)

 

このように山梨県の土地価格は、26年連続の下落を続けています。

 

その大きな理由は3つあります。

  • 不良債権処理と公共事業の削減で、不動産市場が崩壊
  • 家を建てる人が減った
  • 郊外に家を建てられるようになった

の3点です。

 

 土地価格が下がる理由①:不良債権処理と公共事業の削減で、不動産市場が崩壊

土地バブルの崩壊が崩壊して、金融機関が本格的に危なくなったのが1997〜1998年ごろでした。

 

経営破綻した金融機関
1997年・(11月)三洋証券

・(11月)北海道拓殖銀行

・(11月)山一證券

・(11月)徳陽シティ銀行

1998年・(10月)長銀

・(12月)日債銀

 

上に挙げた以外にも、多くの信金・信組が破綻しました。

これ以上の破綻を食い止めるために、現在の金融庁が作られ、貸出先を厳しく審査するようになりました。

 

その結果、経営が危ない企業に対してお金を貸すことを止める「貸しはがし」が起きて、余計に景気が悪化していきました。

 

金融機関の「貸しはがし」で、山梨県の公示地価も大きく下落

山梨県の公示地価と金融機関の貸出残高

(参考:日銀 時系列統計データ検索サイト)

 

さらに、2001年には小泉政権が誕生して、「構造改革」という名の下に、公共事業がどんどん減らされ、その流れは民主党政権にまで続きました。

 

その結果、山梨県の年間に約5,000億円あった行政投資額(公共事業など)が、2,000億円台にまで減ってしまったのです。

 

山梨県の行政投資額は、5,000億円→2,000億円台まで激減

山梨県の行政投資額

(参考:国土交通省 地価公示 総務省統計局 行政投資実績)

 

グラフを見ると、ほとんど同じ動きをしてますよね。

金融機関の貸出残高は、2004年以降に持ち直していますが、公共事業はその後も減り続けており、土地価格の下落が止まらないのです。

 

 土地価格が下がる理由②:郊外に家が建てやすくなった

さらに、2000年ごろから、郊外に家がどんどん建てやすくなりました。

 

大店立地法で、ショッピングモールが簡単に建つようになった

ショッピングモールの駐車場

 

2000年に大店立地法(大規模小売店舗立地法)が成立して、イオンモールなどの大きなショッピングモールがカンタンに建てられるようになったのです。

  • 2000年2月:イトーヨーカードー甲府昭和
  • 2008年6月:イオンタウン山梨中央
  • 2009年4月:ラザウォーク甲斐双葉
  • 2009年4月:ライフガーデンにらさき
  • 2011年3月:イオンモール甲府昭和

などなど、山梨県でも多くのショッピングセンターが郊外にできていますよね。

そのため、わざわざ土地価格の高い市街地に家を建てる人が減ってきたのです。

 

 土地価格が下がる理由③:家を建てる人が減った

山梨県の新築の戸数を見てみると、1996年までは7,000戸以上あった着工戸数も、この20年で 3,000戸台にまでほぼ半減してしまいました。

 

山梨県の新築の戸数

(参考:国土交通省 地価公示 総務省統計局 建設着工統計)

 

その理由は、家を建てられる人が減っているからです。

 

働く人が減った(20年間で46.2万→40.9万人)

山梨県の就業者数(仕事をしている人)を調べてみると、1995年に46.2万人いましたが、この20年間で40.9万人にまで減少しています。

働く人が減れば、家を建てる人も減りますから、着工数もどんどん減っていきました。

 

山梨県の就業者数

(参考:国土交通省 地価公示 国勢調査 人口の労働力状態,就業者の産業・職業)

 

また、年代別の人口を見ると、家を買う年代の30代人口は、2007年ごろまで増えていますが、2010年代に入ってからは、かなり急激な減少を見せています。

わずか10年で11.8万人→8.6万人と、3/4にまで減ってしまったのです。

 

家を買う世代の30代人口は、この10年で11.8万人→8.6万人まで減少

山梨県の30代人口

(参考:総務省統計局 建設着工統計 総務省 住民基本台帳に基づく人口))

 

そのため、大都市圏ではアベノミクス効果で盛り上がっていても、山梨県では全然反応がないんですね。

 

つまり、

  • 家を建てる人が減っている
  • ショッピングセンターが増えて、郊外のどこに住んでも便利な生活ができるようになった

という理由から、市街地の土地に対する需要が減って、土地価格が下げ続けているのです。

 

2、この5年間の山梨県の土地価格の動き

過去5年間の市町村別の公示地価の変化率を見てみたところ、全ての市町村でマイナスとなっていました。

 

この5年間で、上昇している市町村はゼロ

山梨県の市町村別の公示地価

(参考:国土交通省 地価公示)

 

しかし、人口の増減を見てみると、5%以上も増えている市町村があります。それぞれ、

  • 昭和町:イオンモール甲府昭和がオープン
  • 忍野村:富士山への観光客が増加

といった理由から、人口が増加しているのでしょう。

 

山梨県の過去5年間の人口の変化

山梨県の市区町村別の人口変化率

(参考:山梨県 人口推計)

 

他の県でも、県庁所在地のとなりの街の人口が増えるケースが見られます。

人口が多く、仕事もある甲府市に移り住んだものの、いざ家を買うとなったら、もっと土地が安くて、買い物に便利な昭和町、甲斐市、中央市あたりを選ぶという人が多いのです。

そのため、市街地は相変わらずシャッター商店街、、という状況が続いているんですね。

 

山梨県の外国人観光客数は11位ですが、、

しかし、実は山梨県の外国人観光客数は、昨年度実績で約128万人と全国11位のかなり多い県なんです。

 

山梨県の外国人観光客数の推移

 

東京オリンピック期待から、外国人観光客が増えていることもそうですが、富士山が世界遺産に登録されたことも大きいです。

そのため、富士河口湖町では大規模なホテルの建設も進んでいます。

ただし、その影響は、富士北麓の一部の地域でしかなく、甲府市や中央市などの中央部にまで広がっていない状況のようです。

 

3、これから山梨県の土地価格はどうなるのか?

このような状況にある山梨県の土地価格ですが、今後はどうなるのでしょうか?

残念ながら、

・甲府駅前

・ショッピングモールの周辺

・富士河口湖町の駅前

などの一部の地域を除いて、土地価格が上昇するイメージが持てないのが、正直なところではないでしょうか?

 

そのような現実を反映してか、山梨県の空き家率は2013年現在で22%を超えています。この流れは、止まらないでしょう。

 

山梨県の空き家率の推移

(出典:住宅・土地統計調査)

 

ただし、1つだけ押さえておくべきポイントがあります。それが今、全国の自治体が取り組んでいる「立地適正化計画」です。

 

(2)立地適正化計画で、中心部に公共サービスが集中

立地適正化計画とは、「住んで欲しい地域(居住誘導区域)」と「そうでない地域」にわけることで、今後の行政サービスや商業施設の建設に格差をつけようとする計画です。

 

これまで多くの都市では、市の中心部を魅力的にしていくことで、郊外に住んでいる人たちを市街地に呼び寄せようと働きかけてきました。

アメとムチで言えば、アメの政策ですね。

 

ですが、車での移動が基本の山梨県では、いくら中心地を再開発しても、郊外に人が流れてしまい、効果があまりありませんでした。

そこで、今後は、郊外のエリアの行政サービスを減らして不便にすることで、市街地に呼び寄せようと働きかけようとしているのです。

アメとムチで言えば、ムチの政策です。

 

例えば、

・バスの運行を減らす

・ニュータウンや、商業施設を建てる場合には届け出が必要

・福祉センターなどの公共施設の削減

などが進められていくのです。

 

 大月市の立地適正化計画図

大月市の立地適正化計画

(参考:大月市 立地適正化計画 )

 

赤線で囲まれたエリアが「居住誘導区域」と呼ばれるエリアです。鉄道とその周辺の住宅を中心に設定される傾向にあります。

車での移動を基本とする若い世代はあまり困らないかもしれませんが、バスや車の運転がきつくなってくる高齢者にとっては、このエリア内に移住しないと何かと不便に感じるようになるでしょう。

 

特に2025年ごろには団塊の世代が75才以上になることで、医療費や介護費用が今よりも20兆円以上ふくらむと言われています。2025年問題と騒がれてますよね。

その頃には、自治体でも使えるお金が今よりもかなり減るでしょうから、このエリア外にある公共サービスの多くが削られる可能性があります。

 

そのため、今後はこのエリア「内」とエリア「外」では、土地価格に大きな格差がつくのではないでしょうか。

この点については、こちらの記事で詳しく解説しました。

「立地適正化計画」で売れなくなる不動産を見分ける方法
立地適正化計画の詳しい内容と、その影響について解説します。売れなくなる不動産を見分ける際の参考になるはずです。

 

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この記事で、大まかな傾向については解説しましたが、実際に検討する場合には、もっと具体的な情報が必要でしょう。

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