山口県で土地価格が上がる不動産の特徴とは?今後はどうなる?

山口県下関市 山口県

山口県のここ5年間の土地価格を見ると、住宅地で6.9% のマイナスでした。

それに対して広島県は2.6%のマイナス。同じ中国地方でも、かなり格差が広がっている印象です。

 

山口県の公示地価の推移

(参考:国土交通省 地価公示)

 

この5年間で一体何があったのでしょうか?

 

そこで、この記事では、過去30年間の山口県の土地価格を追いかけることで、

  • なぜ、山口県の住宅地は、19年連続で下げ続けているのか?
  • この5年間で上昇している不動産の特徴は何か?
  • 今後の山口県の土地価格がどうなるのか?

について、解説していきます。

 

不動産を買いたい人にも、売りたい人にも参考になるはずです。

 

1、これまでの山口県の土地価格の動き

(1)19年連続で土地価格が下落している理由とは?

1989年の大納会で、日経平均は38,915円の史上最高値をつけ、これが株式市場のピークとなりましたが、不動産市場はもう少しあとの1991年(平成3年)が全国的なピークでした。

 

意外なことに、山口県の公示地価(住宅地)は、それよりもさらに8年も先の1999年(平成11年)がピークでした。

 

 山口県の公示地価(住宅地)は、平成11年ごろがピーク

山口県の過去30年間の土地価格の推移

(参考:国土交通省 地価公示)

 

その後は19年間下げ続けています。

 

その大きな理由は3つあります。

①景気が悪くなった

②家を建てる人が減っている

③郊外に家を建てられるようになった

の3点です。

 

 土地価格が下がる理由①:景気が悪くなった

山口県の県民総生産と公示地価(住宅地)の関係を見ると、だいたい同じタイミングで下げてきていることがわかります。

 

山口県の県内総生産の推移

(参考:内閣府 県民経済計算 国土交通省 地価公示)

 

山口県の県民総生産のピークは2000年、住宅地のピークは1999年ですから、ほぼ同じタイミングで下げ始めてきたのです。

 

 土地価格が下がる理由②:家を建てる人が減った

家を建てる人が減れば、土地を欲しがる人が減りますので、土地価格が下がります。

山口県のこの30年間の土地価格と、持ち家(戸建て・マンション)の着工戸数を並べてみると、土地価格が下がるより前の平成8年ぐらいから、すでに着工戸数が減少していたことがわかります。

 

家を建てる人が減って、土地価格も下落

山口県の新築の着工戸数の推移

(参考:国土交通省 地価公示 総務省統計局 建設着工統計)

 

では、なぜこれほど家を建てる人が減ってしまったのでしょうか?

理由は3つあります。

ⅰ 住宅ローン金利が下げ止まった

1996年ぐらいまでの住宅の着工件数を見ると、かなり勢いがありますよね。実はこの期間は、住宅ローンの金利がどんどん下がっていた時代だったんです。

 

平成3年〜7年で、一気に住宅ローン金利が下がった

住宅ローン金利の推移

(参考:住宅金融支援機構)

 

そのため、同じ3,000万円の家を買う場合でも、月々の支払いが一気に楽になりました。

 

35年返済とすると

・金利6%:月々17万円(全部で7,200万円)

・金利3%:月々11.5万(全部で4,800万円)

になるわけです。

 

しかも、1997年には消費税が5%に増税される予定でしたので、それまで買えなかった人が、一気に駆け込むように家を建てたのです。

そのため、それ以降の住宅を買う人が一気に減ったんですね。

 

ⅱ 年収が減った

年収のピークは1998年ごろで、公示地価のピークの頃と重なります。

買いたい人は、97年の増税前に買っていましたし、その後の年収の低下によって、帰る人が減ってしまったんですね。

 

平均年収が減って、住宅の着工件数も減ってしまった

山口県の平均年収の推移

(参考:国土交通省 地価公示 総務省 市町村税課税状況等の調)

 

ⅲ 若い世代が減っている

平成28年の調査によると、戸建てを購入する平均年齢は、36.9才だそうです。

しかし、山口県の家を買う年代である30〜44才の人口を見ると、2000年ぐらいにかけて一気に減ってきました。

そこから2013年ぐらいまでの15年間は横ばいでしたが、この5年間でさらに減ってきています。それに合わせて、新築の戸数も減少傾向にあります。

この30-44才人口と住宅の着工戸数の動きも、何となく似ていますよね。

 

山口県の30-44才人口の推移

(参考:国土交通省 地価公示 総務省 住民基本台帳に基づく人口)

 

 土地価格が下がる理由③:郊外に家を建てられるようになった

2000年に都市計画法が改正されました。

この法律の改正によって、市街化調整区域(主に市街地から離れた農地)でも自治体がOKすれば、住宅地を作ることができるようになったのです。

 

販売農家数の推移

(参考:総務省統計局 農業構造動態調査)

 

ご覧のように、この30年で農業で生計を立てている農家の方は、半分以下に減ってしまいました。

そのため、農地を手放したい、宅地にしてアパートなどの大家をやりたい、という人が増えていたのです。

 

大店立地法で、ショッピングモールが簡単に建つようになった

ショッピングモールの駐車場

 

しかも、同じ2000年に大店立地法(大規模小売店舗立地法)も成立して、イオンモールなどの大きなショッピングモールがカンタンに建てられるようになりました。

 

・2005年:イオン長府ショッピングセンター

・2005年:イオン下松山田ショッピングセンター

・2008年:イオンタウン防府

・2009年:ゆめシティ(下関)

などなど、ますます郊外で住んだ方が、買い物にも便利な状況になっていきました。

 

つまり、

・家を買う人が減った

・ショッピングセンターが増えて、郊外のどこに住んでも便利な生活ができるようになった

という理由から、市街地の土地に対する需要が減って、土地価格が下げ続けているんですね。

 

2、なぜ広島県だけが、土地価格が堅調なのか?

しかし、このような土地価格の動きは、全国的に共通するもので、山口県だけに限りません。

なのになぜ、特に広島県では、その影響が少ないのでしょうか?

理由は2つあります。

 

①広島市の観光客数がかなり伸びている

広島市の観光客数の推移

(参考:広島市 観光概況)

 

1つ目は、観光客数の増加です。

オバマ前大統領が広島訪問をしたり、歴史の教科書にも載っている国も多いため、平和記念公園へ訪れる観光客が増えているのです。

 

②マツダ自動車の業績がいい

もう1点が、マツダ効果です。アベノミクスが始まって以降、為替の円安効果もあって、自動車産業が好調です。

愛知県でもトヨタ効果によって、豊田市の周辺ではかなり土地価格が上昇しています。同じ動きが、広島市でも起こっているのです。

 

例えば、広島市南区東雲地区は、広島駅から3km以上離れた地区ですが、マツダ本社から近いということもあって、この5年間で30%以上も土地価格が上昇しています。

また、自動車産業は裾野が広い産業なので、周辺の市町村からも人が移り住んできます。東広島市あたりも人口が増えていますが、円安によって製造業が息を吹き返していることが背景にあるようです。

 

広島県の過去5年間の人口の変化率

広島県の人口変化率の分布

(参考:広島県 人口移動統計調査)

 

このように、「そこの土地でなければいけない」という大きな理由が生まれている地域では、土地価格が上昇しているのです。

 

2、これから山口県の土地価格はどうなるのか?

このような状況にある山口県の土地価格ですが、今後はどうなるのでしょうか?

おそらく、この傾向は今後も続くでしょう。

 

郊外に土地が建つ流れは、なかなか変わりませんし、この5年間で山口県の人口は6万人以上減っています。

福岡市の景気がかなりいいので、そちらに流れてしまう人も多いですからね。

 

ただし、1点だけ、注意が必要なポイントがあります。それが「立地適正化計画」です。

(1)立地適正化計画で、中心部に公共サービスが集中

立地適正化計画とは、「住んで欲しい地域(居住誘導区域)」と「そうでない地域」にわけることで、今後の行政サービスや商業施設の建設に格差をつけようとする計画です。

 

これまで多くの都市では、市の中心部を魅力的にしていくことで、郊外に住んでいる人たちを市街地に呼び寄せようと働きかけてきました。

アメとムチで言えば、アメの政策ですね。

 

ですが、車での移動が基本の多くの自治体では、いくら中心地を再開発しても、郊外に人が流れてしまい、効果があまりありませんでした。

そこで、今後は、郊外のエリアの行政サービスを減らして不便にすることで、市街地に呼び寄せようと働きかけようとしているのです。

アメとムチで言えば、ムチの政策です。

 

例えば、

・バスの運行を減らす

・ニュータウンや、商業施設を建てる場合には届け出が必要

・福祉センターなどの公共施設の削減

などが進められていくのです。

 

 周南市の立地適正化計画のイメージ

周南市の立地適正化計画案

(参考:周南市立地適正化計画(改定素案)に対するパブリック・コメントの実施について)

 

上の図は、周南市の立地適正化計画のイメージ図です。赤色の線で囲まれたエリアが優先地域になります。

中心市街地から鉄道やバス路線で地域を結び、その拠点となる場所に住む場所を集約したい、というのがこの計画の本音です。

 

車での移動を基本とする若い世代はあまり困らないかもしれませんが、バスや車の運転がきつくなってくる高齢者にとっては、このエリア内に移住しないと何かと不便に感じるようになるでしょう。

 

そのため、今後はこのエリア「内」とエリア「外」では、土地価格に大きな格差がつくのではないでしょうか。

この点については、こちらの記事で詳しく解説しましたので、ご参考ください。

「立地適正化計画」で売れなくなる不動産を見分ける方法
立地適正化計画の詳しい内容と、その影響について解説します。売れなくなる不動産を見分ける際の参考になるはずです。

 

買いたい、売りたい人は、こちらの記事もどうぞ

この記事で、大まかな傾向については解説しましたが、実際に検討する場合には、もっと具体的な情報が必要でしょう。

興味のある方は、こちらもご参考ください。

 

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