山形県で土地価格が上がる不動産の特徴とは?今後はどうなる?

山形県

山形県のここ5年間の土地価格を見ると、住宅地で4.9%のマイナスでした。それに対して、宮城県は全国1位の上昇率となっています。

 

山形県の公示地価の推移

(参考:国土交通省 地価公示)

 

東北6県の過去5年間の土地価格を見ると、震災を受けた岩手、宮城、福島とそれ以外の県とでは、全く違う動きを見せていました。

 

ですが、山形県の公示地価198地点を詳しく調べてみたところ、この5年間で10%以上の上昇している地点がいくつかありました。

決して、全ての地域で下落しているわけではないのです。

 

そこで、この記事では、過去30年間の山形県の土地価格を追いかけることで、

  • なぜ、山形県の住宅地は、18年連続で下げ続けているのか?
  • この5年間で上昇している不動産の特徴は何か?
  • 今後の山形県の土地価格がどうなるのか?

について、解説していきます。

 

不動産を買いたい人にも、売りたい人にも参考になるはずです。

 

1、これまでの山形県の土地価格の動き

(1)17年連続で土地価格が下落している理由とは?

バブルの真っ只中の1988年から、山形県の公示地価の動きを見ていくと、意外なことに住宅地のピークは、ITバブルのあった平成13年(2001年)ごろでした。

住宅バブルが盛り上がらなかった分だけ、息が長かったと言えます。

 

 山形県の公示地価は、平成13年ごろがピーク

過去30年間の山形県の公示地価の推移

(参考:国土交通省 地価公示)

しかし、この頃から山形県の土地価格は17年連続の下落を続けています。

その大きな理由は3つあります。

 

 土地価格が下がる理由①:家を買う年代が減っている

平成28年の調査によると、戸建てを購入する平均年齢は、36.9才だそうです。平成13年ごろならば、もう少し若かったでしょう。

しかし、山形県の年齢別の人口を見ると、若い人ほど減少している傾向にあります。全国平均で比べて見ても、高齢者が多く、若い人が少ないことがわかりました。家を買う年代がどんどん減っているため、土地価格が上がらないのです。

 

山形県の年齢別人口の構成比

(参考:国土交通省 地価公示 総務省 住民基本台帳に基づく人口)

 

 土地価格が下がる理由②:家を買える人が減っている

山形県は、他の都道府県に比べても平均年収が低く、全国平均よりも2割も安くなっています。家を買う若い世代は、もっと年収が低くなりますから、おそらく手取りは12〜14万円ぐらいになります。

結婚するのを躊躇する人もいるでしょうし、家を買う人も減っているのです。

 

山形県の平均年収の推移

(参考:国土交通省 地価公示 総務省 市町村税課税状況等の調)

 

 土地価格が下がる理由③:車があるので、郊外の方が住みやすい

この5年間で給料は少しずつ上昇してきましたが、新築の戸数を見てみると、一時期の年間3,000戸割れから、500戸ほど持ち直したものの、それ以降はほとんど横ばいです。

そのため、土地価格もなかなか上昇する気配がありません。

 

山形県の新設着工住宅戸数の推移

(参考:国土交通省 地価公示 総務省統計局 建設着工統計)

 

それに加えて、土地価格の高い街の中心部ではなく、郊外に家を建てる人が大多数を占めるようになりました。

車での移動が基本となって、郊外のショッピングセンターに行く生活スタイルが定着したため、土地価格の安い地域で家を建てる人が増えているのです。

 

他県を見ても、新築の戸数は増えているのに、土地価格が全然上がらない地域も珍しくありません。それは、土地が余っている郊外に家を建てるからなんですね。

 

(2)なぜ、この5年間で山形県の不動産は上がらなかったのか?

しかし、上で挙げたような、

・若い人が減って、家を建てる人が減っている

・給料が上がらない

といった理由は、多かれ少なかれ全国的に起こっていることです。

ではなぜ、上昇している地域とそうでない地域があるのでしょうか?

 

その1番大きな理由は、「経済的に盛り上がっているかどうか」が原因でした。2010年代に入って、日本には3つの大きな流れが生まれています。

 

それは、

・2011年の震災による復興需要

・2020年のオリンピック開催決定→外国人観光客の増加

・日銀の異次元緩和で円安→輸出企業の利益が増加

の3点です。

 

この3つの動きに影響を受けた地域だけが、土地価格が上昇しているのです。それぞれの地域の特徴をまとめるとこうなります。

 

 土地価格が上昇している地域の特徴

上昇している地域の特徴

 

代表的な都市だけを取り上げていますが、その周辺の都市でも上昇していますし、それ以外の都道府県でも上昇しているところもあります。

また、このように経済が盛り上がって住宅地が上昇しているということは、主に通勤需要による上昇です。

 

駅に近い土地には限りがあるので、住みたい人が増えれば競争になりますので土地価格が上がりやすいのです。

しかし、車での通勤が普通の地域では、住める場所は格段に増えるので、土地価格が上がりにくくなるんですね。

しかも、郊外にショッピングセンターができてしまえば、町中に買い物に行く理由も見当たらなくなりますからね。

 

ちょっと前置きが長くなりましたが、山形県の土地価格が上昇しなかった理由が、これで何となくわかったのではないでしょうか?

この5年間で、経済的に盛り上がるきっかけがほとんどなかった、ということだったんですね。これは青森県や秋田県にも共通することでした。

 

(3)山形市は企業誘致で、一人勝ち

そのため、過去5年間の公示地価(住宅地)の動きを市区町村別に見ると、山形市を除いて、5〜10%以上の下落をしています。

山形市は、この5年間の円安効果もあって、製造業の工場誘致が順調です。

山形中央インター産業団地への誘致率は95%を超えて、次の団地を山形北インターチェンジ付近に作る予定です。

山形市、企業の用地開発を緩和 山形北IC周辺に4候補地
 産業団地がほぼ埋まっている山形市は2018年10月から、市街化調整区域のうち、北部に指定した区域で、民間企業が産業用の建築物を建てられるよう開発許可制度を緩和する。約80ヘクタール分の工業用地を緊急的に確保し、山形自動車道の山形北インターチェン..

 

そのため、山形市内に家を買う人が増えており、土地価格の上昇につながっているようです。

 

 山形県の過去5年間の公示地価の変化率

山形県の公示地価の変化率分布

(参考:国土交通省 地価公示)

 

 過去5年間の人口の変化率

山形県全体では、この5年間で人口が4.5%減少しています。

都市部へ人口が流れやすい傾向にあるため、山形市の人口の減少率はまだ1.1%のマイナスと小幅ですが、それ以外のほとんどの都市では、5%以上も減少しています。

これだけ減少スピードが早いと、相続後に不動産を売る人が増えるため、土地価格も下がりやすい状況になってしまいます。

 

山形県の人口変化率の分布図

(参考:山形県 市区町村別推計人口)

 

2、これから山形県の不動産はどうなるのか?

このような土地価格の下落と人口の減少の流れは、これからも続くでしょう。

しかし、これまでの「土地価格の安い郊外に、家がどんどん増えていく」という流れは、少し止まっていく可能性があります。

 

というのも、山形市を含めた多くの自治体では「立地適正化計画」という計画をたてて、家を建てる地域を制限していく動きが出ているからです。

「立地適正化計画」で売れなくなる不動産を見分ける方法
立地適正化計画の詳しい内容と、その影響について解説します。売れなくなる不動産を見分ける際の参考になるはずです。

 

(1)立地適正化計画とは?

立地適正化計画とは、「住んで欲しい地域(居住誘導区域)」と「そうでない地域」にわけることで、今後の行政サービスや商業施設の建設に格差をつけようとする計画です。

これまで多くの都市では、市の中心部を魅力的にしていくことで、郊外に住んでいる人たちを市街地に呼び寄せようと働きかけてきました。

アメとムチで言えば、アメの政策ですね。

 

ですが今後は、郊外のエリアの行政サービスを減らして不便にすることで、市街地に呼び寄せようと働きかけようとしているのです。アメとムチで言えば、ムチの政策です。

例えば、

・バスの運行を減らす

・ニュータウンや、商業施設を建てる場合には届け出が必要

・福祉センターなどの公共施設の削減

などが進められていくのです。

 

 鶴岡市の立地適正化計画図

鶴岡市の立地適正化計画図

(参考:鶴岡市 都市再興基本計画)

赤と青色のエリアが重点地域で、それ以外の地域は今後不便になっていきます。

「車があるから大丈夫」という人もいるでしょう。確かに車さえあれば、いきなり不便になることはないでしょう。

 

しかし、今後はこのエリア「内」とエリア「外」では、土地価格に大きな格差がつく可能性があると思います。

 

(2)山形市はおいしい街

しかし、全く希望がないのかというと、そういう訳ではありません。

山形市が企業誘致に成功している理由は、その人件費の安さと、立地条件です。

・山形県:268.5万円

・福島県:292.4万円

・栃木県:307.9万円

・群馬県:304万円

・茨城県:312.1万円

と、ほぼ1割以上も安いのです。

 

関東への移動コストが他県よりも1時間程度かかるとしても、それ以上に人件費が安いために十分な競争力があるんですね。

そのため、過度な円高にならずに製造業の利益が安定すれば、今後も県南地域を中心に企業の誘致が進む可能性は十分にあると思います。

その際に恩恵を受けるのは、山形市でしょう。

 

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