和歌山県で土地価格が上がる不動産の特徴とは?今後はどうなる?

和歌山城から見る和歌山市 和歌山県

和歌山県のここ5年間の土地価格を見ると、住宅地で 11% のマイナスとかなり大きな下落率でした。それに対して、奈良県はわずか 2.0% のマイナスです。

 

和歌山県の公示地価の推移

(参考:国土交通省 地価公示)

 

なぜ、和歌山県だけが、これほど大きく下げているのでしょうか?

 

そこで、この記事では、過去30年間の和歌山県の土地価格を追いかけることで、

  • なぜ、和歌山県の住宅地は、27年連続で下げ続けているのか?
  • この5年間で上昇している不動産の特徴は何か?
  • 今後の和歌山県の土地価格がどうなるのか?

について、解説していきます。

 

不動産を買いたい人にも、売りたい人にも参考になるはずです。

 

1、これまでの和歌山県の土地価格の動き

(1)27年連続で土地価格が下落している理由とは?

全国の土地価格のピークは1991年(平成3年)で、和歌山県も同時期にピークをつけていましたが、その上昇率は全国平均をはるかに上回っていたようです。

 

 和歌山県の公示地価(住宅地)は、平成3年ごろがピーク

和歌山県の過去30年の公示地価の推移

(参考:国土交通省 地価公示)

 

しかし、それからなんと27年連続で下落を続けています。

 

その大きな理由は3つあります。

  • 不良債権処理と公共事業の削減で、不動産市場が崩壊
  • 家を建てる人が減った
  • 郊外に家を建てられるようになった

の3点です。

 

 土地価格が下がる理由①:不良債権処理と公共事業の削減で、不動産市場が崩壊

土地バブルの崩壊が崩壊して、金融機関が本格的に危なくなったのが1997〜1998年ごろでした。

 

経営破綻した金融機関
1997年・(11月)三洋証券

・(11月)北海道拓殖銀行

・(11月)山一證券

・(11月)徳陽シティ銀行

1998年・(10月)長銀

・(12月)日債銀

 

和歌山県でも、和歌山県商工信用組合、紀北信用組合が破綻しました。

そのため、これ以上の破綻を食い止めるために、現在の金融庁が作られ、貸出先を厳しく審査するようになりました。

 

その結果、経営が危ない企業に対してお金を貸すことを止める「貸しはがし」が起きて、余計に景気が悪化していきました。

 

金融機関の「貸しはがし」と土地価格の本格的な下落は、ほぼ同じタイミング

和歌山県の公示地価と金融機関の貸出残高

(参考:日銀 時系列統計データ検索サイト)

 

さらに、2001年には小泉政権が誕生して、「構造改革」という名の下に、公共事業がどんどん減らされ、その流れは民主党政権にまで続きました。

 

その結果、和歌山県の年間に5,000億円近くあった行政投資額(公共事業など)が、一時期は2,000億円台にまで減ってしまったのです。

 

和歌山県の行政投資額は、5,000億円→2,000億円台まで激減

和歌山県の行政投資額

(参考:国土交通省 地価公示 総務省統計局 行政投資実績)

 

グラフを見ると、2008年ぐらいまでは、ほとんど同じ動きをしてますよね。

この数年は行政投資額も持ち直していますが、次の理由で、土地価格の下落が続いています。

 

 土地価格が下がる理由②:郊外に家が建てやすくなった

さらに、2000年ごろから、郊外に家がどんどん建てやすくなりました。

 

大店立地法で、ショッピングモールが簡単に建つようになった

ショッピングモールの駐車場

 

2000年に大店立地法(大規模小売店舗立地法)が成立して、イオンモールなどの大きなショッピングモールがカンタンに建てられるようになったのです。

  • 1999年4月:イオン新宮
  • 1999年11月:ロマンシティ御坊
  • 2004年11月:イオンモールりんくう泉南
  • 2011年10月:シーサイド海南
  • 2014年3月:イオンモール和歌山

などなど、和歌山や大阪でも多くのショッピングセンターが郊外にできていますよね。

 

そのため、和歌山市でも、

  • 1998年:大丸百貨店が撤退
  • 2001年:丸正百貨店も倒産、ビブレも撤退

など、わざわざ駐車場代を払って、駅周辺で買い物をする人が減ってしまったのです。

 

 土地価格が下がる理由③:家を建てる人が減った

和歌山県の新築の戸数を見てみると、1996年までは7,000戸以上あった着工戸数も、この20年で 3,000戸台にまでほぼ半減してしまいました。

 

和歌山県の新築の戸数

(参考:国土交通省 地価公示 総務省統計局 建設着工統計)

 

その理由は、家を建てられる人が減っているからです。

 

働く人が減った(20年間で52万→44.5万人)

和歌山県の就業者数(仕事をしている人)を調べてみると、1995年に52万人いましたが、この20年間で44.5万人にまで減少しています。

働く人が減れば、家を建てる人も減りますから、着工数もどんどん減っていきました。

 

和歌山県の就業者数

(参考:国土交通省 地価公示 国勢調査 人口の労働力状態,就業者の産業・職業)

 

また、年代別の人口を見ると、家を買う年代の30代人口は、2007年ごろまで増えていますが、2010年代に入ってからは、かなり急激な減少を見せています。

わずか10年で3.5万人も減って、10万人を割ってしまいました。

 

家を買う世代の30代人口は、この10年で13.5万人→10万人まで減少

和歌山県の30代人口

(参考:総務省統計局 建設着工統計 総務省 住民基本台帳に基づく人口))

 

そのため、大都市圏ではアベノミクス効果で盛り上がっていても、和歌山県の住宅の着工戸数には何の反応もない状況となっています。

 

つまり、

  • 家を建てる人が減っている
  • ショッピングセンターが増えて、郊外のどこに住んでも便利な生活ができるようになった

という理由から、市街地の土地に対する需要が減って、土地価格が下げ続ける傾向にあったわけですね。

 

2、この5年間の和歌山県の土地価格の動き

このように和歌山県全体で見ると、土地価格は下げ続けているように見えますが、一部のエリアでは上昇に転じてきました。

ここでは、詳しくその内容を見てみましょう。

 

新日鉄住金のおかげで、和歌山市の一部では土地価格が上昇

2013年からの量的緩和政策のおかげで、円ドル相場が110〜120円台まで円安になったため、新日鉄住金の業績が急回復しました。

 

新日鉄住金の当期純利益は、ここ5年間1000〜2000億円をキープ

新日鉄住金の当期純利益の推移

(参考:新日鉄住金 実績と業績見通し)

 

そのため、新日鉄住金の和歌山工場に通勤しやすくて、利便性もいい和歌川よりも西側の住宅地の価格が上昇しています。

 

「和歌山市東高松4-1-21」では、5年間で8.3%の上昇

 

市町村別に見ると、ほとんどのエリアでマイナス

しかし、このような土地価格の上昇は、一部でしかありません。

よほど業績のいい企業に勤めていれば、土地価格の高い場所に家を建てるかもしれませんが、そうでない場合には郊外へ建てることになります。

そのため、自治体単位で見ると、土地価格は下落しているように見えてしまいます。

 

市区町村別に見ると、ほとんどのエリアがマイナス

和歌山県の市区町村別の公示地価変化率

(参考:国土交通省 地価公示)

 

田辺市と上富田町は、高台の住宅地へのニーズが上昇したため、土地価格も上昇していました。

台風や洪水の水害が増えているため、安全なエリアへのニーズが高まっているのでしょう。

しかし、それ以外のエリアではマイナスが続いています。

 

3、これから和歌山県の土地価格はどうなるのか?

このような状況の中で、和歌山県の今後の土地価格に影響を与える要素が2つあります。

それは、

  • 日銀による量的緩和政策(円安政策)
  • 2025年問題で公共事業がさらに減る

の2点です。

 

(1)日銀の量的緩和政策は、2023年まで続く?

2013年から土地価格が上昇している理由の1つに、円安による新日鉄住金などの製造業の業績の改善があります。

それまで円ドル相場が80〜90円だったのが、110円ぐらいにまで回復したため、業績が良くなって雇用も増えているわけですからね。

 

日銀の黒田総裁が2023年まで続投することが決まりましたので、新日鉄住金の業績も安定しそうです。

そのため、和歌山市内の和歌川以西の住宅地に対するニーズは続きそうです。

 

(2)2025年問題で、公共事業費がさらに減る

2025年問題とは、

「人口の多い団塊の世代が、75才以上の後期高齢者になることで、社会保障費が一気に増えて国の予算を圧迫する」

という問題です。

 

日本の社会保障費は、2025年に121.3→140.4兆円へと増える

日本の社会保障費の推移

(出典:2040年を見据えた社会保障の将来見通し(内閣府) 社会保障費用統計(国立人口問題研究所)

 

これまでも、社会保障費が増加してきたことが理由で、公共事業がどんどん削られてきました。

その社会保障費がさらに増えるわけですから、和歌山県の公共事業は、今後さらに減っていくことになるでしょう。

 

社会保障費の増加に合わせて、公共事業も削られてきた

社会保障費と行政投資額の推移

(参考:国立社会保障・人口問題研究所 総務省統計局 行政投資実績)

 

そのため、公共事業に依存している地域では、今以上に住みにくくなるでしょう。土地価格の下落傾向も続くのではないでしょうか。

 

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