富山県で土地価格が上がる不動産の特徴とは?今後はどうなる?

富山県

富山県のここ5年間の土地価格を見ると、住宅地で1.8%のマイナスと他の北陸3県の中で1番下げ幅が少ない結果でした。

ですが、よくよく見ると、北陸新幹線が開通する以前から土地価格の下落幅は小さかったですし、その後も堅調なのです。

 

富山県の公示地価の推移

(参考:国土交通省 地価公示)

 

また、富山県の公示地価232地点を詳しく調べてみたところ、15〜20%近く上昇している地点もいくつかありました。

同じ市でも上がっているところ、下がっているところの格差が広がっているので、気づきにくくなっているようです。

 

そこで、この記事では、過去30年間の富山県の土地価格を追いかけることで、

  • なぜ、富山県の住宅地は、25年連続で下げ続けているのか?
  • この5年間で上昇している不動産の特徴は何か?
  • 今後の富山県の土地価格がどうなるのか?

について、解説していきます。

 

不動産を買いたい人にも、売りたい人にも参考になるはずです。

 

1、これまでの富山県の土地価格の動き

(1)25年連続で土地価格が下落している理由とは?

バブルの真っ只中の1988年から、富山県の公示地価の動きを見ていくと、意外なことに住宅地のピークは、平成バブルがはじけた5年後の平成5年(1993年)でした。

しかも、そこからの下落ペースは2000年ぐらいまでは緩やかでした。かなり安定していたんですね。

 

 富山県の公示地価(住宅地)は、平成5年ごろがピーク

過去30年間の富山県の公示地価の推移

(参考:国土交通省 地価公示)

しかし、そこから富山県の土地価格は、25年連続の下落を続けています。

 

その大きな理由は3つあります。

  • 不良債権処理と公共事業の削減で、不動産市場が崩壊
  • 家を建てる人が減った
  • 郊外に家を建てられるようになった

の3点です。

 

 土地価格が下がる理由①:不良債権処理と公共事業の削減で、不動産市場が崩壊

土地バブルの崩壊が崩壊して、金融機関が本格的に危なくなったのが1997〜1998年ごろでした。

 

経営破綻した金融機関
1997年・(11月)三洋証券

・(11月)北海道拓殖銀行

・(11月)山一證券

・(11月)徳陽シティ銀行

1998年・(10月)長銀

・(12月)日債銀

 

上に挙げた以外にも、多くの信金・信組が破綻しました。

これ以上の破綻を食い止めるために、現在の金融庁が作られ、貸出先を厳しく審査するようになりました。

 

その結果、経営が危ない企業に対してお金を貸すことを止める「貸しはがし」が起きて、余計に景気が悪化していきました。

 

金融機関の「貸しはがし」と土地価格の本格的な下落は、ほぼ同じタイミング

富山県の公示地価と金融機関の貸出残高

(参考:日銀 時系列統計データ検索サイト)

 

さらに、2001年には小泉政権が誕生して、「構造改革」という名の下に、公共事業がどんどん減らされ、その流れは民主党政権にまで続きました。

 

その結果、富山県の年間に6,000億円以上あった行政投資額(公共事業など)が、2〜3,000億円台にまで減ってしまったのです。

 

新潟県の行政投資額は、6,000億円→3,000億円台まで激減

富山県の行政投資額

(参考:国土交通省 地価公示 総務省統計局 行政投資実績)

 

グラフを見ると、ほとんど同じ動きをしてますよね。

金融機関の貸出残高は、2004年以降に持ち直していますが、公共事業はその後も減り続けており、土地価格の下落が止まらないのです。

 

 土地価格が下がる理由②:郊外に家が建てやすくなった

さらに、2000年ごろから、郊外に家がどんどん建てやすくなりました。

 

大店立地法で、ショッピングモールが簡単に建つようになった

ショッピングモールの駐車場

 

2000年に大店立地法(大規模小売店舗立地法)が成立して、イオンモールなどの大きなショッピングモールがカンタンに建てられるようになったのです。

  • 1998年10月:フェアモール富山東
  • 2002年9月:イオンモール高岡
  • 2015年7月:イオンモールとなみ

などなど、富山県でも多くのショッピングセンターが郊外にできていますよね。

そのため、わざわざ土地価格の高い市街地に家を建てる人が減ったのです。

 

 土地価格が下がる理由③:家を建てる人が減った

富山県の新築の戸数を見てみると、1996年までは7,000戸以上あった着工戸数も、この20年で 4,000戸台にまで減少してしまいました。

 

富山県の新設の戸数

(参考:国土交通省 地価公示 総務省統計局 建設着工統計)

 

その理由は、家を建てられる人が減っているからです。

 

働く人が減った(20年間で61万→54万人)

富山県の就業者数(仕事をしている人)を調べてみると、1995年に61万人いましたが、この20年間で54万人にまで減少しています。

働く人が減れば、家を建てる人も減りますから、着工数もどんどん減っていきました。

 

富山県の就業者数

(参考:国土交通省 地価公示 国勢調査 人口の労働力状態,就業者の産業・職業)

 

また、年代別の人口を見ると、家を買う年代の30代人口は、2007年ごろまで増えていますが、2010年代に入ってからは、かなり急激な減少を見せています。

わずか10年で11万人にまで、2割以上も減ってしまったのです。

 

家を買う世代の30代人口は、この10年で15万人→11万人まで減少

富山県の30代人口

(参考:総務省統計局 建設着工統計 総務省 住民基本台帳に基づく人口))

 

そのため、大都市圏ではアベノミクス効果で盛り上がっていても、富山県の住宅の着工戸数も増えない状況となっています。

 

つまり、

  • 家を建てる人が減っている
  • ショッピングセンターが増えて、郊外のどこに住んでも便利な生活ができるようになった

という理由から、市街地の土地に対する需要が減って、土地価格が下げ続ける傾向にあったわけですね。

 

2、この5年間の富山県の土地価格はどうだったのか?

このように富山県全体で見ると、あまり期待ができない状況にあるわけですが、もう少し地域を絞って詳しく見てみると、この5年間でも土地価格が上昇している地域がありました。

 

(1)コンパクトシティ政策を進めてきた富山市

他の地域に先駆けて、富山市は「コンパクトシティ」を目指して、様々な政策を進めてきました。

代表的なのは、JR富山港線を引き継いだ富山ライトレールですよね。

富山ライトレール

 

ほぼ15分に1本の間隔で電車が来るので、待ち時間を気にせずに利用することができるようになりました。

また、それまでのの市電、市バスを直線の往復運航だけでなく、グルッと市街を回るルートに一部変更することで、街の中心部をくまなく回れるようにしました。

富山駅南側を走るこれらの市電は、多い場合は5分に1本の間隔で走っており、使い勝手が、都内の山手線なみです。

 

これらの公共交通機関の充実に加えて、

  • 昔からの商店街である総曲輪地区を再開発
  • その周辺に住んでもらうために住宅補助
  • 郊外に住む高齢の移住希望者のために、自宅を子育て世代に転貸する制度の整備

などを行うことで、徐々に街の中心部へと人が移り住むようになっています。

 

つまり、富山県では外国人観光客や、好調な製造業による雇用増加などの期待があまり見込めない代わりに、これらのコンパクトシティ政策によって意図的に「一極集中する場所」を作り上げているのです。

 

(2)コンパクトシティの効果は、富山駅周辺だけに限定

実際、このような政策によって、富山駅周辺の地点については、この5年間で土地価格が上昇しています。

 駅からの距離(1分=80m)ごとの土地価格の変化率

 5分以内5-10分10-15分15-20分20-25分25-30分30分以上
富山駅周辺19.0%12.7%-0.9%0.0%0.9%1.4%
その他地域-5.3%-2.9%-1.7%-1.0%-0.7%-4.1%-3.2%
富山県全体-5.3%-2.0%0.7%-0.9%-0.6%-2.7%-2.7%

 

しかし、富山駅から離れた地域では、郊外化が進んでいるため、駅から近いところほど土地価格が下落しています。

そのため、富山市の過去5年間の土地価格は、0.4%の上昇。

富山県全体としては1.8%のマイナスとなっています。

 

 過去5年間の土地価格の変化率

富山県の市区町村別の公示地価変化率

(参考:国土交通省 地価公示)

 

3、これから富山県の不動産はどうなるのか?

このような状況の中で、富山県の今後の土地価格に影響を与える要素が2つあります。

それは、

  • 富山県の再開発事業
  • 2025年問題で公共事業がさらに減る

の2点です。

 

(1)富山県は、再開発で活性化するのか?

富山市が2000年からコンパクトシティ構想をはじめましたが、その効果は賛否両論です。

駅前を中心とした市街地が、「かけたお金ほどに活性化されていない」という声もありますからね。

 

おそらく、富山市のコンパクトシティが「成功」と見なされるには、総曲輪地区ではなく、駅前の再開発が必要なのではないでしょうか?

 

というのも、九州の駅前開発を見ると、かなりうまく行っているからです。

JR九州が運営している駅ビル商業施設の「アミュプラザ」が、福岡だけでなく、長崎、鹿児島、大分でも過去最高の売上を達成しているのです。

 

アミュプラザ鹿児島は、8期連続の最高実績を更新

アミュプラザ鹿児島の売上推移

(参考:JR九州ニュースリリース *PDF)

 

その理由はシンプルです。

イオンモールよりも魅力的な商業施設を駅前に作っているからです。

 

具体的には、

  1. 店舗数が多い(150〜250店舗)
  2. ほぼ毎日、何かしらのイベントをやっている
  3. 若い女性にウケるようなオシャレな店舗づくり

の3点によって、常にお客さんを呼べるような仕組みができているのです。

 

現在の富山市の再開発事業は、今まであったオフィスビルを建て替える程度で、それほど大規模なものがありません。

もし仮に、再開発によって富山駅に大規模な商業施設が作るのであれば、富山駅の線路を上にあげる高架化が済む2023年以降でしょうから、もう少し時間がかかるのではないかと思われます。

(参考:北日本新聞 富山駅の連続立体交差事業、22年度完了困難)

 

また、それ以外の自治体では、そこまでの人口もなければ予算もないため、再開発も中途半端になってしまうでしょう。

そのため、富山市への一極集中が進むのではないでしょうか。

 

(2)2025年問題で、公共事業費がさらに減る

2025年問題とは、

「人口の多い団塊の世代が、75才以上の後期高齢者になることで、社会保障費が一気に増えて国の予算を圧迫する」

という問題です。

 

日本の社会保障費は、2025年に121.3→140.4兆円へと増える

日本の社会保障費の推移

(出典:2040年を見据えた社会保障の将来見通し(内閣府) 社会保障費用統計(国立人口問題研究所)

 

これまでも、社会保障費が増加してきたことが理由で、公共事業がどんどん削られてきました。

その社会保障費がさらに増えるわけですから、新潟県の公共事業は、今後さらに減っていくことになるでしょう。

 

社会保障費の増加に合わせて、公共事業も削られてきた

社会保障費と行政投資額の推移

(参考:国立社会保障・人口問題研究所 総務省統計局 行政投資実績)

 

そのため、公共事業に依存している地域では、今以上に住みにくくなるでしょう。土地価格の下落傾向も続くのではないでしょうか。

 

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