東京都で土地価格が上がる不動産の特徴とは?今後はどうなる?

東京都

この5年間で東京都内の土地価格は大きく上昇しました。

アベノミクス効果、東京オリンピック期待もあって、都内の住宅地の平均で見ても、5年間で8.9%も上昇しています。

 

東京都の公示地価の推移

(参考:国土交通省 地価公示)

 

そこで、東京都の公示地価2,602地点を詳しく調べてみたところ、5年間で10%以上の上昇をしている地点が500地点近くも見つかりました。

ただし、同じ市内でも上がっているところと、下がっているところが混じっているため、市区町村単位・都道府県単位で見るとわかりにくくなっているようです。

 

この記事では、過去30年間の東京都の土地価格を追いかけることで、

  • なぜ、東京都の住宅地は、18年連続で下げ続けているのか?
  • この5年間で上昇している不動産の特徴は何か?
  • 今後の東京都の土地価格がどうなるのか?

について、解説していきます。

 

不動産を買いたい人にも、売りたい人にも参考になるはずです。

 

1、これまでの東京都の土地価格の動き

最初に大阪府の過去30年間の土地価格の流れを追っていきます。

この大きな流れを知ることで、「どんな地域が下げているのか?」その理由がわかるはずです。

 

(1)東京都の土地価格が、18年間も下げ続けている理由とは?

1989年の大納会で、日経平均は38,915円の史上最高値をつけ、これが株式市場のピークとなりましたが、不動産市場はもう少しあとの1991年(平成3年)が全国的なピークでした。

 

東京都の公示地価(住宅地)のピークは、1988年(昭和63年)で、もっとも早く迎えました。

 

 東京都の公示地価(住宅地)は、昭和63年がピーク

東京都の過去30年間の土地価格

(参考:国土交通省 地価公示)

 

それから、2006年まで18年間も下落が続きました。

 

その大きな理由は2つあります。

①高層マンションが増えた

②家を建てる人が減った

の2点です。

 

 土地価格が下がる理由①:高層マンションが増えた

東京都の公示地価と持ち家の着工件数の推移を見ると、2003年まで着工件数が大きく伸びているのに対して、公示地価は下落を続けています。

 

2003年まで着工件数が増えていったのに、土地価格は下落していった

東京都の新築の戸数の推移

(参考:国土交通省 地価公示 総務省統計局 建設着工統計)

 

なぜ、土地価格が上昇しなかったのでしょうか?

バブル当時があまりにも高すぎて、普通の人が手が届く価格になるまでに時間がかかった、ということもあるでしょう。

 

ですが、1番大きい理由は、マンションの購入が増えたからでしょう。

東京の人口は、土地価格があまりに高くなってしまったために、郊外へ移り住む人が増えてしまって1996年まで減少を続けていました。

つまり、まだその当時では、なかなか普通の人が都内に家を持つことは難しかったわけです。

 

ですが、1997年に建築基準法が改正されて規制が緩和されたこともあって、より多くの住戸を建てることが可能になりました。

また、マンションの立地は、使わなくなった工場などの再開発で建てられることも多く、国や自治体からの補助金も出たため、値段も押さえ目で販売されていました。

 

そのため、2003年にかけて都内のマンションの着工戸数は伸びに伸びていったわけです。2003年のピーク時には、持ち家目的で建てられる住居の6割以上がマンションになっていました。

 

新築の戸数に占めるマンションの比率

(参考:総務省 建設着工統計)

 

ですが、マンションは駅に近い場所に建てることが多く、その範囲は限られてきます。

そのため、同じ区内でも駅に近いエリアは上昇して、駅から遠いエリアは上がらない、という状況が生まれてしまいます。

区全体、市町村全体で平均すると土地価格はマイナス、という状況が続いてしまったんですね。

 

 土地価格が下がる理由②:家を建てる人が減った

そこにさらに追い討ちをかけたのが、働く若い人の減少です。

働く人が減った(20年間で630万→586万人)

東京都の就業者数(仕事をしている人)を調べてみると、1995年に630万人いましたが、2015年には586万人と44万人も減っていました。

 

東京都の就業者数の推移

(参考:総務省統計局 建設着工統計 国勢調査 人口の労働力状態,就業者の産業・職業)

 

しかし、住宅の着工戸数は2003年ぐらいまで上昇し続けていましたし、本格的に下げ始めるのは2006年ごろからです。

その理由は家を買う中心世代である30代の人口が、この頃まで増えていたからです。

 

東京都の30代人口の推移

(参考:総務省統計局 建設着工統計 総務省 住民基本台帳に基づく人口))

 

逆を言えば、この年代が減少に転じてしまった今となっては、住宅の着工戸数は今後も減り続けることになるでしょう。

駅近の人気物件は引き続き堅調かもしれませんが、ちょっと不便なところへのニーズはどんどん減っていくのではないでしょうか。

 

つまり、

  • マンションが増えて、駅近しか買われなくなった
  • 家を買う人が減った

という理由から、駅から通り郊外のエリアの土地価格が下がり続けているため、市区町村全体で見ると、あまり上昇していないように見えるんですね。

 

2、この5年間の東京都の土地価格の動き

しかし、この5年間を見ると、全国的に土地価格が上昇に転じ始めています。東京都でも、上昇している範囲がどんどん広がっているように見えます。

その特徴をここから詳しくみていきましょう。

 

(1)都心部ほど、土地価格が上昇している

過去5年間の公示地価(住宅地)の動きを見ると、商業地だけでなく、住宅地においても都心部を中心とした上昇が見てとれます。

 

東京都の過去5年間の公示地価の変化率

東京都の過去5年間の公示地価の変化率

(参考:国土交通省 地価公示)

 

(2)都心部ほど、人口も増加している

また、人口も都心部を中心に増加している傾向にあります。

 

東京都の過去5年間の人口の変化率

東京都の過去5年間の人口変化率(参考:東京都 住民基本台帳による東京都の世帯と人口)

 

そのため、中央区、千代田区を中心に人口が5年間で2割前後も上昇し、その周辺の区でも5%以上の人口の増加が進んでいます。

東京都全体で見ても、1,313万人→1,363万人と約50万人、4%も増加しています。

 

このことから、決してアベノミクスやオリンピック期待でバブル的に上昇しているわけではなく、「人が増えることで、土地価格が上昇している」という、とてもわかりやすい地価の上がり方をしていると言えます。

 

(3)同じ地域でも、駅からの距離によって、上昇率が違う

職場に近い利便性の良い場所に人が増えているのであれば、駅から近い地域の方が人気が出ますよね。

過去5年間の公示地価(住宅地)の変化率を駅からの距離(1分=80m)で分けて調べてみたところ、駅からの距離が離れていくほどに、上昇率が下がっていく傾向にありました。

 

駅からの距離で見たときの公示地価(住宅地)の上昇率

 全体5分以内5-10分10-15分15-20分20-25分25-30分30分以上
23区内14.5%18.0%15.3%11.7%8.3%5.4%3.9%3.5%
23区外4.0%5.3%5.6%5.1%4.0%1.9%1.8%0.0%
東京都全体8.9%14.0%11.8%7.9%5.0%2.6%1.9%0.2%

(出典:国土数値情報ダウンロードサービス)

 

特に区外では、20分以上離れたあたりから、需要が一気に鈍るようです。

やはり、郊外の環境のいい戸建てに対するニーズは、どんどん減っているとみていいでしょう。

 

3、オリンピック後の東京の不動産はどうなるのか?

このような状況の中で、東京都の今後の土地価格に影響を与える要素が2つあります。

それは、

  • オリンピック選手村のマンションが大量放出
  • 2022年問題

の2点です。

 

(1)選手村に使われるマンション約5,000戸が、大量供給される

東京オリンピック後に選手村として使われるマンションが、約5,000戸放出される予定です。

過去の事例から見ても、安く売り出される可能性が高いということなので、現在高騰しているマンションに手が出ないと感じている世帯では、これらの物件を狙ってくるでしょう。

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そのため、特に23区外の市からの通勤需要を奪う可能性があります。

 

(2)2022年問題で、生産緑地が宅地に解禁になる

2022年問題とは、

「都市部にある農地が、宅地に解禁になることで、土地価格や家賃が下落するだろう」

と言われている問題です。

 

生産緑地

→全国に約3,989万坪、戸建てで約133万戸分の広さになります。

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実は、東京都はこの生産緑地が1番多く、特に町田市や八王子市、立川市などのちょっと郊外の市町村に多いのです。

東京都の生産緑地の分布

東京都内の生産緑地の分布

(出典:都市計画区域、市街化区域、地域地区の決定状況)

 

1ヘクタール(ha)は、約3,000坪ですので、30坪の戸建てで100戸分になります。ピンクと赤のエリアは、100ha以上ある地域なので、1万戸以上の家が建つ可能性があるのです。

 

現在人口の多くが、都心部に集中しています。人口が増えている市もありますが、23区内ほどの勢いはありません。

そこに大量の宅地が放出されれば、土地価格や家賃は下落していくのではないでしょうか?

 

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