栃木県で土地価格が上がる不動産の特徴とは?今後はどうなる?

栃木県

栃木県のここ5年間の土地価格を見ると、住宅地で7.0%のマイナスとほぼお隣の茨城県、群馬県と同じ下落率でした。

 

栃木県の公示地価の推移

(参考:国土交通省 地価公示)

 

東京都を中心に、その周りの3県もほとんど同率の上昇率。キレイに3つのグループに分かれています。

 

ですが、栃木県の公示地価466地点を詳しく調べてみたところ、この5年間で10%以上の上昇をしている地点がいくつかありました。

決して、全ての地域で下落しているわけではないのです。

 

そこで、この記事では、過去30年間の栃木県の土地価格を追いかけることで、

  • なぜ、栃木県の住宅地は、26年連続で下げ続けているのか?
  • この5年間で上昇している不動産の特徴は何か?
  • 今後の栃木県の土地価格がどうなるのか?

について、解説していきます。

 

不動産を買いたい人にも、売りたい人にも参考になるはずです。

1、これまでの栃木県の土地価格の動き

(1)26年連続で土地価格が下落している理由とは?

全国の土地価格のピークは 1991年(平成3年)でしたが、栃木県は1年遅い1992年(平成4年)でした。

しかも、平成4年までの土地価格の上昇はかなり高く、その後の下落も2000年ごろまでは緩やかだったようです。

 

 栃木県の公示地価は、平成4年ごろがピーク

栃木県の過去30年の公示地価の推移

(参考:国土交通省 地価公示)

しかし、栃木県の土地価格は、なんと26年連続の下落を続けています。

 

その大きな理由は3つあります。

  • 不良債権処理と公共事業の削減で、不動産市場が崩壊
  • 家を建てる人が減った
  • 郊外に家を建てられるようになった

の3点です。

 

 土地価格が下がる理由①:不良債権処理と公共事業の削減で、不動産市場が崩壊

土地バブルの崩壊が崩壊して、金融機関が本格的に危なくなったのが1997〜1998年ごろでした。

 

経営破綻した金融機関
1997年・(11月)三洋証券

・(11月)北海道拓殖銀行

・(11月)山一證券

・(11月)徳陽シティ銀行

1998年・(10月)長銀

・(12月)日債銀

 

「これ以上、金融機関がつぶれてしまっては日本はヤバイ!」ということで、現在の金融庁が作られ、貸出先を厳しく審査するようになりました。

その結果、経営が危ない企業に対してお金を貸すことを止める「貸しはがし」が起きて、余計に景気が悪化しました。

 

金融機関の「貸しはがし」と土地価格の本格的な下落は、ほぼ同じタイミング

栃木県の公示地価と金融機関の貸出残高

(参考:日銀 時系列統計データ検索サイト)

 

さらに、2001年には小泉政権が誕生して、「構造改革」という名の下に、公共事業費が一律10%カットされました。

その後も、年金や医療費などの社会保障費も増え続けているため、公共事業に回すお金がどんどん減らされていきました。

 

その結果、栃木県の年間に6,000億円以上あった行政投資額(公共事業など)が、3,000億円台にまで減ってしまったのです。

 

栃木県の行政投資額は6,000→3,000億円台まで半減

栃木県の行政投資額

(参考:国土交通省 地価公示 総務省統計局 行政投資実績)

 

グラフを見ると、ほとんど同じ動きをしてますよね。

金融機関の貸出残高は、2004年以降に持ち直していますが、公共事業はその後も2008年まで下げ続けたため、土地価格も一緒に下げ続けてしまったのです。

 

 土地価格が下がる理由②:郊外に家が建てやすくなった

さらに、2000年ごろから、郊外に家がどんどん建てやすくなりました。

 

大店立地法で、ショッピングモールが簡単に建つようになった

ショッピングモールの駐車場

 

2000年に大店立地法(大規模小売店舗立地法)が成立して、イオンモールなどの大きなショッピングモールがカンタンに建てられるようになったのです。

  • 2003年4月:イオンモール佐野新都市
  • 2004年10月:ベルモール
  • 2005年11月:インターパークショッピングビレッジ
  • 2007年3月:おやまゆうえんハーヴェストウォーク
  • 2007年9月:アシコタウンあしかが

などなど、栃木県でも多くのショッピングセンターが郊外にできていますよね。

そのため、わざわざ土地価格の高い市街地に家を建てる人が減ってきたのです。

 

 土地価格が下がる理由③:家を建てる人が減った

栃木県の新築の戸数を見てみると、1996年までは1.5万戸以上あった着工戸数も、どんどん減少しています。

アベノミクスが始まった平成25年に1万戸を越えたものの、翌年からのマイナス金利政策には反応せず8,000戸台で安定してしまっています。

 

栃木県の新築の戸数

(参考:国土交通省 地価公示 総務省統計局 建設着工統計)

 

その理由は、家を建てられる人が減っているからです。

 

働く人が減った(20年間で104万→96万人)

栃木県の就業者数(仕事をしている人)を調べてみると、1995年に104万人いましたが、公共事業が一気に減った2000年から本格的に減少し始め、96万人にまで減少しています。

 

栃木県の就業者数

(参考:国土交通省 地価公示 国勢調査 人口の労働力状態,就業者の産業・職業)

 

また、年代別の人口を見ると、家を買う年代の30代人口は、2007年ごろまで増えていますが、2010年代に入ってからは、かなり急激な減少を見せています。

 

家を買う世代の30代人口は、この10年で29万人→23万人まで減少

栃木県の30代人口

(参考:総務省統計局 建設着工統計 総務省 住民基本台帳に基づく人口))

 

そのため、大都市圏ではアベノミクス効果で盛り上がっていても、栃木県の住宅の着工戸数も増えない状況となっています。

 

つまり、

  • 家を建てる人が減っている
  • ショッピングセンターが増えて、郊外のどこに住んでも便利な生活ができるようになった

という理由から、市街地の土地に対する需要が減って、土地価格が下げ続ける傾向にあったわけですね。

 

2、この5年間の栃木県の土地価格の動き

しかし、このような郊外へと家が建つ流れが、この5年間で少しずつ変わってきています。

きっかけは、オリンピック開催決定による外国人観光客数の増加です。

 

(1)東京への通勤需要の増加で、宇都宮線沿線で土地価格が上昇

例えば、埼玉県、神奈川県、千葉県などの都心のベッドタウン県では、東京への通勤需要によって土地価格が上昇しています。

通勤に便利な駅に近い場所は、土地に限りがあるので人気化すると上昇しやすくなります。そのため、駅から近いほど土地価格が上昇する傾向にあります。

 

栃木県でも、このことは当てはまります。

2015年に宇都宮線が東京駅まで行けるようになったことで、通勤需要が一気に上がりました。

 駅からの距離(1分=80m)ごとの土地価格の変化率

 5分以内5-10分10-15分15-20分20-25分25-30分30分以上
宇都宮駅、自治医大駅、小山駅6.2%10.3%3.4%1.2%-0.4%-3.7%
その他地域-10.7%-8.9%-7.1%-8.2%-7.6%-9.2%-7.8%
栃木県全体-10.7%-8.5%-5.8%-6.9%-5.5%-7.0%-6.7%

(出典:国土数値情報ダウンロードサービス)

 

宇都宮駅、自治医大駅、小山駅では、駅周辺の開発が進んでいて、マンションも立ち並び、買い物にも便利な駅になっています。

そのため、この3駅では、駅から近いほど土地価格が上昇しています。

 

雀宮駅、石橋駅、小金井駅の3駅も東京への通勤という意味では、条件を満たしているのですが、駅周辺にマンションがなく、買い物する場所もないので、通勤ニーズを取り込めていないようです。

これらの地域では、今後の駅の開発状況によっては化ける可能性もありますので、注目ですね。

 

 過去5年間の土地価格の変化率は、全体で見るとマイナス

栃木県の公示地価の変化率の分布図

(参考:国土交通省 地価公示)

 

そのため、市区町村別に見ると、土地価格は上昇していないように見えます。

小山市、下野市、宇都宮市でも、上昇している地点が駅周辺の一部だけだからです。

 

 栃木県の過去5年間の人口の変化率

栃木県の人口変化率の分布図

(参考:栃木県 市区町村別推計人口)

 

過去5年間の人口についても同様です。乗降者数の多い宇都宮市と小山市の人口が増えていることと、宇都宮市の郊外の壬生町の人口が増えています。

宇都宮市に通勤する人は、車での移動が基本なため、土地の安い壬生町に家を買い、そこから通勤しているのです。

 

3、これから栃木県の不動産はどうなるのか?

このような状況の中で、栃木県の今後の土地価格に影響を与える要素が2つあります。

それは、

  • 2022年問題で、東京への通勤需要が都内と埼玉にとられる
  • 2025年問題で公共事業がさらに減る

の2点です。

 

(1)2022年問題で、東京への通勤需要が都内と埼玉にとられる

2022年問題とは、

「都市部にある農地が、宅地に解禁になることで、土地価格や家賃が下落するだろう」

と言われている問題です。

 

生産緑地

→全国に約3,989万坪、戸建てで約133万戸分の広さになります。

 

実は、埼玉県はこの生産緑地が、東京、大阪に次いで3番目に多いのです。

 

埼玉県の生産緑地の分布は、さいたま市に多い

埼玉県の生産緑地の分布

(出典:都市計画区域、市街化区域、地域地区の決定状況)

 

1ヘクタール(ha)は、約3,000坪ですので、30坪の戸建てで100戸分になります。ピンクと赤のエリアは、100ha以上ある地域なので、1万戸以上の家が建つ可能性があるのです。

 

そのため、東京や埼玉でも、土地価格や家賃が下落すると予想されます。

買いたいと考えているならば、2022年以降にした方がもっと安く買える可能性がありますが、売るつもりならば早めに動いた方がいいかもしれませんね。

 

(2)2025年問題で、公共事業費がさらに減る

2025年問題とは、

「人口の多い団塊の世代が、75才以上の後期高齢者になることで、社会保障費が一気に増えて国の予算を圧迫する」

という問題です。

 

日本の社会保障費は、2025年に121.3→140.4兆円へと増える

日本の社会保障費の推移

(出典:2040年を見据えた社会保障の将来見通し(内閣府) 社会保障費用統計(国立人口問題研究所)

 

これまでも、社会保障費が増加してきたことが理由で、公共事業がどんどん削られてきました。

その社会保障費がさらに増えるわけですから、栃木県の公共事業は、今後さらに減っていくことになるでしょう。

 

社会保障費の増加に合わせて、公共事業も削られてきた

社会保障費と行政投資額の推移

(参考:国立社会保障・人口問題研究所 総務省統計局 行政投資実績)

 

そのため、公共事業に依存している地域では、今以上に住みにくくなるでしょう。土地価格の下落傾向も続くのではないでしょうか。

 

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