静岡県の土地価格はどうなる?過去30年の不動産データから検証

静岡県

東京オリンピックもあと2年後にせまり、外国人観光客数も増えて、かなり不動産市場も加熱してきました。

今年の公示地価では、京都市や北海道など、外国人観光客に人気のエリアで20%以上も上昇しているというニュースも出ています。

 

そうすると、気になるのは「静岡県内ではどうなのか?」ですよね。

しかし、静岡県のこの5年間の土地価格を見ると、住宅地で4.5%のマイナスとなっていました。

お隣の愛知県では4.0%のプラス、神奈川県でも0.9%のプラスと、全く逆の動きになっていたのです。

 

静岡県の公示地価の推移

(参考:国土交通省 地価公示)

 

そこで、静岡県の公示地価672地点を詳しく調べてみたところ、5年間で10%以上の上昇をしている地点もかなり見つかりました。

同じ市内でも、上昇している地点と下落している地点の格差が広がっていたのです。

 

そのため、

「どこに買えばいいのか?」

「まだ上がるのか?今が売り時なのか?」

がわかりにくくなっているのが現状です。

 

この記事では、過去30年間の静岡県の土地価格を追いかけることで、

  • なぜ、静岡県の住宅地は、25年連続で下げ続けたのか?
  • この5年間で上昇している不動産の特徴は何か?
  • 今後の静岡県の土地価格がどうなるのか?

について、解説していきます。

 

1、これまでの静岡県の土地価格の動き

(1)17年連続で土地価格が下落している理由とは?

不動産市場の全国的なピークを見ると、1991年(平成3年)でした。株式市場のピークより2年遅れてやってきました。

 

静岡県の公示地価(住宅地)もほぼ同じの1992年(平成4年)にピークをつけた後、1998年ごろから本格的に下げていきました。

 

 静岡県の公示地価(住宅地)は、平成4年ごろがピーク

静岡県の過去30年の公示地価

(参考:国土交通省 地価公示)

 

その後は、なんと26年間も下げ続けています。

 

その大きな理由は3つあります。

  • 不良債権処理と公共事業の削減で、不動産市場が崩壊
  • 家を建てる人が減った
  • 郊外に家を建てられるようになった

の3点です。

 

 土地価格が下がる理由①:不良債権処理と公共事業の削減で、不動産市場が崩壊

土地バブルの崩壊が崩壊して、金融機関が本格的に危なくなったのが1997〜1998年ごろでした。

 

経営破綻した金融機関
1997年・(11月)三洋証券

・(11月)北海道拓殖銀行

・(11月)山一證券

・(11月)徳山シティ銀行

1998年・(10月)長銀

・(12月)日債銀

 

これ以上、金融機関がつぶれてしまっては日本はヤバイ!ということで、現在の金融庁が作られ、貸出先を厳しく審査するようになりました。

その結果、経営が危ない企業に対してお金を貸すことを止める「貸し剝がし」が起きて、余計に景気が悪化しました。

 

金融機関の「貸し剝がし」と静岡県の公示地価の下落は一致している

静岡県の公示地価と貸出残高

(参考:日銀 時系列統計データ検索サイト)

 

さらに、2001年には小泉政権が誕生して、「構造改革」という名の下に、公共事業費が一律10%カットされました。

その後も、年金や医療費などの社会保障費も増え続けているため、公共事業に回すお金がどんどん減らされていきました。

 

その結果、静岡県の年間に1.2兆円以上あった行政投資額(公共事業など)が、半分以下の5,000億円台にまで減ってしまったのです。

 

静岡県の行政投資は、1.2兆円→5,000億円まで激減

静岡県の行政投資額と公示地価

(参考:国土交通省 地価公示 総務省統計局 行政投資実績)

 

 土地価格が下がる理由②:郊外に家が建てやすくなった

さらに、2000年ごろから、郊外に家がどんどん建てやすくなりました。

 

大店立地法で、ショッピングモールが簡単に建つようになった

ショッピングモールの駐車場

 

しかも、同じ2000年に大店立地法(大規模小売店舗立地法)も成立して、イオンモールなどの大きなショッピングモールがカンタンに建てられるようになりました。

  • 1999年10月:エスパルスドリームプラザ
  • 2001年10月:イオンモール富士宮
  • 2004年8月:イオンモール浜松志都呂
  • 2007年7月:サンストリート浜北
  • 2009年6月:ららぽーと磐田

など、わざわざ駅前に行かなくても、駐車場代も気にせずに買い物を楽しめるようになったのです。

 

 土地価格が下がる理由③:家を建てる人が減った

2010年代に入ると、公共事業も横ばいになって、アベノミクスやオリンピック期待もあって、景気も多少は上向いているように見えます。

ですが、静岡県の土地価格は、ほぼ横ばいであまり恩恵を受けていないようです。

 

静岡県のこの30年間の土地価格と、持ち家(戸建て・マンション)の着工戸数を並べてみると、1996年には30,000戸だったのが、翌年には23,000戸まで激減し、その後は15,000戸まで切り下げていきました。

ピークからほぼ半分に減ってしまったのです。

 

家を建てる人が減って、土地価格も下落

静岡県の新築の戸数推移

(参考:国土交通省 地価公示 総務省統計局 建設着工統計)

 

その理由は、家を建てられる人が減っているからです。

 

働く人が減った(20年間で204万→186万人)

静岡県の就業者数(仕事をしている人)を調べてみると、1995年に204万人いましたが、5年後の2000年までに2万人強、さらに5年後の2005年までに10万人以上減ってしまいました。

団塊の世代の退職は2007年頃からですから、その前に大きく減っているということは、働く若い人が減っているということです。

 

働く若い人が減ると、家を建てられる人も減りますよね。そのため、新築の戸数も減っていく一方となってしまったのです。

 

静岡県の就業者数の推移

(参考:国土交通省 地価公示 国勢調査 人口の労働力状態,就業者の産業・職業)

 

さらに、家を買う年代の30代人口は、2007年に54万人いましたが、10年後の2017年には2割以上減少して、42万人にまで減ってしまいました。

 

静岡県の30代の人口

(参考:総務省統計局 建設着工統計 総務省 住民基本台帳に基づく人口))

 

そのため、多少景気が良くなったところで、住宅の着工戸数も増えず、土地価格も上昇しない状況となっているのです。

 

つまり、

  • 公共事業の減少と少子高齢化で、働く人が減ってしまった
  • ショッピングセンターが増えて、郊外のどこに住んでも便利な生活ができるようになった

という理由から、市街地の土地に対する需要が減って、土地価格が下げ続けているんですね。

 

2、この5年間の静岡県の土地価格の動き

しかし、この5年間を見ると、全国的に土地価格が上昇に転じ始めています。また、静岡県内の一部でも、上昇している地域があります。

ここからは、その特徴を詳しくみていきましょう。

 

(1)円安効果によって、製造業の強い浜松市で上昇が目立つ

過去5年間の公示地価(住宅地)の動きを見ると、2%以上の上昇をしているのは、

  • 静岡市葵区
  • 浜松市中区
  • 長泉町

の3市町で、ほとんどの市町村で下落をしていました。

 

静岡県の過去5年間の公示地価の変化率

静岡県の公示地価の変化率

(参考:国土交通省 地価公示)

 

特に上昇率の高かった地域は、

  • 静岡市葵区の静岡駅から南側
  • 浜松市中区の佐鳴湖周辺の住宅地

の2地域で、5年間で10%以上も上昇している地点も10地点以上あります。

 

この5年間の東名阪の3大都市圏では、「通勤圏の駅近のマンション」への需要によって上昇しています。

静岡県では車での移動が基本の方も多いため、必ずしも駅に近いわけではありませんが、中心部に近くて、環境のいい郊外の戸建てへの需要が高いようです。

その結果、葵区、浜松市中区での土地価格の上昇につながっているのです。

 

(2)人口はこの5年で、約1.6%のマイナス

静岡県の過去5年間の人口の変化率

静岡県の人口変化率

(参考:静岡県 市区町村別推計人口)

 

人口の増減を見ると、浜松市周辺への人口の移動が目立ちますね。

愛知県では、トヨタ効果によって名古屋から三河地区の人口の上昇が目立っていますが、静岡県内ではスズキ効果による浜松市周辺の人口増加が起こっているようです。

 

しかし、移動手段が車であることと、駅周辺の商業施設がふるわないため、人口の集中があまり進まないようです。

そのため、人口は増えても土地価格は上昇しないという状況になっています。

 

3、オリンピック後の静岡県の不動産はどうなるのか?

このような状況の中で、静岡県の今後の土地価格に影響を与える要素が2つあります。

それは、

  • 2022年問題
  • 日銀の量的緩和政策

の2点です。

 

(1)2022年問題で、生産緑地が宅地に解禁になる

2022年問題とは、

「都市部にある農地が、宅地に解禁になることで、土地価格や家賃が下落するだろう」

と言われている問題です。

 

生産緑地

→全国に約3,989万坪、戸建てで約133万戸分の広さになります。

生産緑地が解禁になる2022年問題で、日本の不動産はどうなるのか?
生産緑地が解禁になる2022年問題によって、どのような影響が起こるのか?どこの市町村に多く分布しているのか?を解説します。

 

実は、静岡県でもこの生産緑地があります。中でも静岡市は220ha超もあり、かなりの影響が予想されます。

静岡県の生産緑地の分布

静岡県の生産緑地の分布

(出典:都市計画区域、市街化区域、地域地区の決定状況)

 

1ヘクタール(ha)は、約3,000坪ですので、30坪の戸建てで100戸分になります。赤のエリアは、100ha以上ある地域なので、静岡市では2万戸以上の家が建つ可能性があるのです。

 

ただでさえ、人口が減少して土地に対するニーズが減っているところに、農地から宅地へと転用する動きが増えれば、土地価格は下がっていくでしょう。

特に静岡市では葵区の一部での上昇にとどまっており、人口も減少傾向にあるため、大量の土地供給で土地価格が値崩れする可能性があります。

 

(2)日銀の量的緩和政策は、2023年まで続く?

2013年から土地価格が上昇している理由の1つに、円安によるスズキなどの製造業の業績の改善があります。

それまで円ドル相場が80〜90円だったのが、110円ぐらいにまで回復したため、業績が良くなって雇用も増えているわけですからね。特に浜松市はその恩恵を受けているはずです。

 

この政策は日銀の黒田総裁が始めた政策なのですが、今年の4月に再任されたので2023年までは現在の政策から大きな変更はなさそうです。

ということは、あと5年ぐらいはこの円安誘導の政策が続く可能性があります。

そう考えると、浜松市はこれまでの流れが当分続きそうですね。静岡市の方は、2022年問題の方を優先して検証した方がいいでしょう。

 

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