島根県で土地価格が上がる不動産の特徴とは?今後はどうなる?

江島大橋 島根県

島根県のここ5年間の土地価格を見ると、住宅地で 8.1% のマイナスでした。

中国5県の中では4番目と、かなり下落率の大きな結果となりました。

 

島根県の公示地価の推移

(参考:国土交通省 地価公示)

 

全国的には、東京オリンピックへの期待で外国人観光客が増加しています。

今年の3月に発表された公示地価によると、北海道や、京都、沖縄などの観光地でも商業地を中心に土地価格が上昇していました。盛り上がっているところは、盛り上がっているんですね。

 

ですが、実は島根県でもこれは当てはまります。

今回138地点ある島根県の公示地価を調べてみたところ、上昇している地点はなかったものの、この5年間でもわずか1%程度しか下落していない住宅地もいくつか見つかったのです。

 

そこで、この記事では、過去30年間の島根県の土地価格を追いかけることで、

  • なぜ、島根県の住宅地は、16年連続で下げ続けているのか?
  • この5年間で安定している不動産の特徴は何か?
  • 今後の島根県の土地価格がどうなるのか?

について、解説していきます。

 

不動産を買いたい人にも、売りたい人にも参考になるはずです。

 

1、これまでの島根県の土地価格の動き

(1)16年連続で土地価格が下落している理由とは?

1989年の大納会で、日経平均は38,915円の史上最高値をつけ、これが株式市場のピークとなりましたが、不動産市場はもう少しあとの1991年(平成3年)が全国的なピークでした。

 

意外なことに、島根県の公示地価(住宅地)は、それよりもさらに11年も先の2002年(平成14年)がピークでした。

 

 島根県の公示地価(住宅地)は、平成14年ごろがピーク

島根県の過去30年間の土地価格の推移

(参考:国土交通省 地価公示)

 

その後は16年間下げ続けています。

 

その大きな理由は3つあります。

①景気が悪くなった

②家を建てる人が減っている

③郊外に家を建てられるようになった

の3点です。

 

 土地価格が下がる理由①:景気が悪くなった

島根県の県民総生産と公示地価(住宅地)の関係を見ると、ほぼ同じ動きをしていました。

 

島根県の県民総生産の推移

(参考:内閣府 県民経済計算 国土交通省 地価公示)

 

島根県の県民総生産のピークは2000年、住宅地のピークは2002年ですから、ほぼ同じタイミングで下げ始めてきたのです。

 

 土地価格が下がる理由②:家を建てる人が減った

家を建てる人が減れば、土地を欲しがる人が減りますので、土地価格が下がります。

島根県のこの30年間の土地価格と、持ち家(戸建て・マンション)の着工戸数を並べてみると、土地価格が下がるより前の平成9年ぐらいから、すでに着工戸数が減少していたことがわかります。

 

家を建てる人が減って、土地価格も下落

島根県の新築の戸数推移

(参考:国土交通省 地価公示 総務省統計局 建設着工統計)

 

では、なぜこれほど家を建てる人が減ってしまったのでしょうか?

理由は2つあります。

 

ⅰ 年収が減った

島根県は、全国平均と比べると60万円ほど平均年収が低いです。

下のグラフの緑色の線は、課税対象所得なので、実際の年収はこの3割り増しぐらいです。そうすると、約350万円ぐらいの計算です。

若い人はもっと少ないので、年収280万円ぐらいが平均でしょう。ボーナスなしで月の手取りで16〜18万円ぐらいの計算になります。

 

平均年収が減って、住宅の着工件数も減っている

島根県の平均年収の推移

(参考:国土交通省 地価公示 総務省 市町村税課税状況等の調)

 

年収のピークは1998〜2000年ごろで、公示地価のピークの頃と重なります。そこから大きく下落していくの合わせて、住宅の着工件数も減少していきました。

 

ⅱ 若い世代が減っている

平成28年の調査によると、戸建てを購入する平均年齢は、36.9才だそうです。

しかし、島根県の家を買う年代である30〜44才の人口を見ると、2000年ぐらいにかけて一気に減ってきました。

そこから2013年ぐらいまでの15年間は横ばいでしたが、この5年間でさらに減ってきています。それに合わせて、新築の戸数も減少傾向にあります。

この30-44才人口と住宅の着工戸数の動きも、何となく似ていますよね。

 

島根県の30-44才人口

(参考:国土交通省 地価公示 総務省 住民基本台帳に基づく人口)

 

まとめると、

 

・年収が減って、若い人も減った

・家を建てる人が減った

・土地価格が下落

 

という16年間だったんですね。

 

 土地価格が下がる理由③:郊外に家を建てられるようになった

2000年に都市計画法が改正されました。

この法律の改正によって、市街化調整区域(主に市街地から離れた農地)でも自治体がOKすれば、住宅地を作ることができるようになったのです。

 

販売農家数の推移

(参考:総務省統計局 農業構造動態調査)

 

ご覧のように、この30年で農業で生計を立てている農家の方は、半分以下に減ってしまいました。

そのため、農地を手放したい、宅地にしてアパートなどの大家をやりたい、という人が増えていたのです。

 

しかし、この法律は国が決めたことであって、自治体が運用する際には、さらに条例が必要になります。

松江市が、市街化調整区域での緩和を進めたのは、2008年からでした。そのため、この頃から住宅地の土地価格の下げ率が大きくなっています。

 

松江市の公示地価の推移

(参考:国土交通省 地価公示)

 

安い農地に家を建てるわけですから、当然安く家も買うことができます。

農家も儲からないので減る一方でしたし、農地を売りたい農家も多くいたため、どんどん郊外に家が建つようになったのです。

 

大店立地法で、ショッピングモールが簡単に建つようになった

ショッピングモールの駐車場

 

しかも、同じ2000年に大店立地法(大規模小売店舗立地法)も成立して、イオンモールなどの大きなショッピングモールがカンタンに建てられるようになりました。

 

松江市は、松江駅の隣にイオン松江が以前からあったため、あまり影響はありませんでしたが、出雲市では、

・2008年:ゆめタウン出雲

・2016年:イオンモール出雲

ができたため、他の都市からも多くの人が移り住むようになりました。この5年間で人口が増えているのは、出雲市だけですからね。

 

しかし、出雲市の市街地はそれほど大きくありませんし、市の中心地からちょっと離れた場所にいくらでも家を建てられる土地があります。

そのため、ゆめタウンやイオンモールの周辺でも、あまり土地価格が上昇せず、年々下落傾向にあるのです。

 

2、これから島根県の土地価格はどうなるのか?

このような状況にある島根県の土地価格ですが、今後はどうなるのでしょうか?

おそらく、この傾向は今後も続くでしょう。

郊外に土地が建つ流れは、なかなか変わりませんし、この5年間で島根県の人口は2万人以上減っています。土地を買う人も年々減っていますからね。

 

ただし、1点だけ、注意が必要なポイントがあります。それが「立地適正化計画」です。

(1)立地適正化計画で、中心部に公共サービスが集中

立地適正化計画とは、「住んで欲しい地域(居住誘導区域)」と「そうでない地域」にわけることで、今後の行政サービスや商業施設の建設に格差をつけようとする計画です。

 

これまで多くの都市では、市の中心部を魅力的にしていくことで、郊外に住んでいる人たちを市街地に呼び寄せようと働きかけてきました。

アメとムチで言えば、アメの政策ですね。

 

ですが、車での移動が基本の多くの自治体では、いくら中心地を再開発しても、郊外に人が流れてしまい、効果があまりありませんでした。

そこで、今後は、郊外のエリアの行政サービスを減らして不便にすることで、市街地に呼び寄せようと働きかけようとしているのです。

アメとムチで言えば、ムチの政策です。

 

例えば、

・バスの運行を減らす

・ニュータウンや、商業施設を建てる場合には届け出が必要

・福祉センターなどの公共施設の削減

などが進められていくのです。

 

 鳥取市の立地適正化計画のイメージ

鳥取市の都市計画マスタープラン

(参考:鳥取市 都市計画マスタープラン )

 

上の図は、鳥取市の立地適正化計画のイメージ図です。

中心市街地から鉄道やバス路線で地域を結び、その拠点となる場所に住む場所を集約したい、というのがこの計画の本音です。

 

車での移動を基本とする若い世代はあまり困らないかもしれませんが、バスや車の運転がきつくなってくる高齢者にとっては、このエリア内に移住しないと何かと不便に感じるようになるでしょう。

 

島根県では、この計画を策定した自治体はまだありませんが、松江市は今年の9月ごろをめどに優先エリアの設定をしようとしています。

そのため、今後はこのエリア「内」とエリア「外」では、土地価格に大きな格差がつくのではないでしょうか。

この点については、こちらの記事で詳しく解説しましたので、ご参考ください。

「立地適正化計画」で売れなくなる不動産を見分ける方法
立地適正化計画の詳しい内容と、その影響について解説します。売れなくなる不動産を見分ける際の参考になるはずです。

 

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