滋賀県で土地価格が上がったエリアは?完全にJR京都線沿いに集中してしまった模様

滋賀県

滋賀県のここ5年間の土地価格を見ると、住宅地で2.6% のマイナス、それに対して、京都府は0.7%のマイナスでした。

 

滋賀県の公示地価の推移

(参考:国土交通省 地価公示)

 

その理由は、外国人観光客数の増加でしょう。

京都府の昨年の外国人延べ宿泊者数は、468万人と3倍以上に増えています。そのため、宿泊施設も足りずホテルや民泊で盛り上がっているのです。

 

そこで、滋賀県の346地点の公示地価を調べてみたところ、この5年間で10%以上も上昇している住宅地がいくつか見つかりました。

 

不動産でも、上がっているところと、下がっているところの格差が広がる「二極化」が進んでいるため、市区町村や県単位で見ても気づけなくなっているんですね。

 

この記事では、過去30年間の滋賀県の土地価格を追いかけることで、

  • なぜ、滋賀県の住宅地は、15年連続で下げ続けたのか?
  • この5年間で上昇している不動産の特徴は何か?
  • 今後の滋賀県の土地価格がどうなるのか?

について、解説していきます。

 

不動産を買いたい人にも、売りたい人にも参考になるはずです。

 

1、これまでの滋賀県の土地価格の動き

(1)なぜ人口が増え続ける滋賀県で、土地価格が半値になったのか?

全国の土地価格は1991年(平成3年)にピークをつけ、滋賀県も同じタイミングで高値をつけましたが、その上昇率は1988年比で +87.2% とかなり高かったようです。

 

 滋賀県の公示地価(住宅地)は、平成3年ごろがピーク

滋賀県の過去30年間の公示地価の推移

(参考:国土交通省 地価公示)

 

ですが、その後は2006年までの15年間下げ続けて、2008年から現在までさらに10年間下げ続け、半値以下になってしまいました。

 

その大きな理由は3つあります。

  • 不良債権処理と公共事業の削減で、不動産市場が崩壊
  • 家を建てる人が減った
  • 郊外に家を建てられるようになった

の3点です。

 

 土地価格が下がる理由①:不良債権処理と公共事業の削減で、不動産市場が崩壊

土地バブルの崩壊が崩壊して、金融機関が本格的に危なくなったのが1997〜1998年ごろでした。

 

経営破綻した金融機関
1997年・(11月)三洋証券

・(11月)北海道拓殖銀行

・(11月)山一證券

・(11月)徳陽シティ銀行

1998年・(10月)長銀

・(12月)日債銀

 

そこで、これ以上の破綻を食い止めるために、現在の金融庁が作られ、貸出先を厳しく審査するようになりました。

 

その結果、経営が危ない企業に対してお金を貸すことを止める「貸しはがし」が起きて、余計に景気が悪化していきました。

 

金融機関の「貸しはがし」と土地価格の本格的な下落は、ほぼ同じタイミング

滋賀県の公示地価と貸出残高

(参考:日銀 時系列統計データ検索サイト)

 

さらに、2001年には小泉政権が誕生して、「構造改革」という名の下に、公共事業がどんどん減らされ、その流れは民主党政権にまで続きました。

 

その結果、年間に5,000億円以上あった行政投資額(公共事業など)が、なんと2,000億円台にまで減ってしまったのです。

 

滋賀県の行政投資額は、5,000億円→2,000億円台まで激減

滋賀県の行政投資額

(参考:国土交通省 地価公示 総務省統計局 行政投資実績)

 

グラフを見ると、金融機関の貸しはがしの時期とほぼ一致します。

2000年以降は、金融機関はお金を貸してくれないし、国も予算を減らしてくるしのダブルパンチで、一気に土地価格が下落していったのです。

 

 土地価格が下がる理由②:郊外に家が建てやすくなった

さらに、2000年ごろのこの時期から、郊外に家がどんどん建てやすくなりました。

 

大店立地法で、ショッピングモールが簡単に建つようになった

ショッピングモールの駐車場

 

2000年に大店立地法(大規模小売店舗立地法)が成立して、イオンモールなどの大きなショッピングモールがカンタンに建てられるようになったのです。

  • 2000年:イオン長浜
  • 2008年:ピエリ守山
  • 2008年:フォレオ大津
  • 2009年:イオンモール草津

などなど、滋賀県でも多くのショッピングセンターが郊外にできていますよね。

そのため、わざわざ土地価格の高い市街地に家を建てる人が減ってきたのです。

 

 土地価格が下がる理由③:家を建てる人が減った

滋賀県の新築の戸数を見てみると、1996年までは1.2万戸以上あった着工戸数も、この20年で 6,000戸台にまでほぼ半減してしまいました。

 

滋賀県の新築の戸数

(参考:国土交通省 地価公示 総務省統計局 建設着工統計)

 

その理由は、家を建てられる人が減っているからです。

 

家を買う世代の30代人口は、この10年で20.5万人→17万人まで減少

滋賀県の30代人口

(参考:総務省統計局 建設着工統計 総務省 住民基本台帳に基づく人口))

 

滋賀県は、2015年の国勢調査でも人口が増加しており、就業者人口も増えている県ですが、家を購入する中心そうである30代の人口は2007年から徐々に減っているのです。

そのため、着工件数が増えないのです。

 

つまり、

  • 家を建てる人が減っている
  • ショッピングセンターが増えて、郊外のどこに住んでも便利な生活ができるようになった

という理由から、市街地の土地に対する需要が減って、土地価格が下げ続ける傾向にあったわけですね。

 

2、この5年間の滋賀県の土地価格の動き

このように滋賀県全体で見ると、あまり期待できないように見えますが、詳しく見ていくと、一部の地域では上昇しています。

そこで、ここからはその点を詳しく見ていきましょう。

 

京都市への通勤需要で、一部地域で上昇

例えば、埼玉県、神奈川県、千葉県などの都心のベッドタウン県では、東京への通勤需要によって土地価格が上昇しています。

特に通勤に便利な駅に近い場所は、土地に限りがあるので人気化すると上昇しやすくなります。

 

滋賀県でも、このことは当てはまります。

2013年に東京オリンピックの開催が決まってから、日本中に多くの外国人観光客が来るようになりました。

 

それによって、京都市の人気が高まり、商業地では昨年だけで20%以上も土地価格が上昇している地点も出てきました。

宿泊施設が足りないということで、大津市にも宿泊利用の外国人が増えていますよね。

 

そのため、京都市への通勤客が増え、駅から近い土地ほど上昇傾向にあります。

 駅からの徒歩圏(1分=80m)ごとの土地価格の変化率

徒歩圏区分5分以内5-10分10-15分15-20分20-25分25-30分30分以上
大津市周辺9.4%6.9%4.8%3.3%2.0%1.4%-2.9%
その他地域-5.3%-5.4%-4.0%-5.0%-5.6%-6.2%-5.1%
滋賀県全体1.3%-0.2%1.4%-0.9%-3.3%-2.4%-4.1%

*大津市周辺:大津市、野洲市、栗東市、草津市、守山市、近江八幡市

(出典:国土数値情報ダウンロードサービス)

 

このように、上昇している地点は、地域のごく1部のため、市区町村全体、県全体で土地価格を見ると、相変わらず全く上がっていないように見えてしまうのが、最近の不動産市場の特徴です。

 

 過去5年間の土地価格の変化率

滋賀県の市区町村別の公示地価

(参考:国土交通省 地価公示)

 

大津市では、北部の土地価格が下落しているため、大津市全体で見るとマイナスになっています。

ですが、草津市から野洲市にかけての沿線沿いで上昇しているのは、通勤需要のためです。

 

3、これから滋賀県の土地価格はどうなるのか?

このような状況の中で、滋賀県の今後の土地価格に影響を与える要素が2つあります。

それは、

  • 京都市の外国人観光客の動向
  • 2022年問題

の2点です。

 

(1)京都市の外国人観光客は、今後も堅調な可能性大

京都市への通勤需要で駅周辺の土地価格が上昇しているのであれば、京都市の景気次第とも言えます。

そうなると気になるのはオリンピック後だと思いますが、過去のオリンピック開催国のその後の外国人観光客数の推移を見ると、引き続き堅調に推移しているようです。

 

オリンピック開催国の外国人観光客数の推移

(参考:国土交通省 観光庁 *PDFファイル)

 

ですから、今後も外国人観光客は増えていくでしょうし、京都市もまだまだ盛り上がっていくでしょう。

そう考えると、大津市とその周辺の通勤地帯は、引き続き需要は強いのではないでしょうか。

 

(2)2022年問題で、中途半端な通勤需要は吹き飛ばされるかも

「2022年に、大都市圏にある農地(生産緑地)が、宅地に解禁されることで地価が下落する。」

と言われている問題です。

 

このような農地が宅地に変わっていきます。

約3,989万坪、戸建てで約133万戸分の土地なので、かなりの影響が出ると心配されています。

 

京都市は、生産緑地の面積で全国1位

 

生産緑地の面積ランキング

(出典:都市計画区域、市街化区域、地域地区の決定状況)

 

実は、京都市が全国で1番生産緑地が多いのです。

約600haですので、30坪の戸建てで約6万戸分の広さになります。もちろん、いきなり全ての農地が宅地に変わるわけではありませんが、かなりの影響が出るはずです。

 

具体的には、京都市から遠い通勤エリアの野洲市あたりでは、わざわざ遠くから通勤するよりも、「住宅地が増える京都市でよくね?」と住宅の需要が減るかもしれません。

 

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