大阪府で土地価格が上がる不動産の特徴とは?今後はどうなる?

大阪府

アベノミクス効果、東京オリンピック期待もあって、この5年間で大都市圏を中心に不動産価格が大きく上昇しました。

しかし、意外なことに「住宅地」という視点で見ると、大阪府は5年間で0.2%のマイナス、大阪市でも2%の上昇でした。

東京都の8.9%、愛知県の4%と比べても、ほとんど恩恵を受けていないのです。

 

大阪府だけ、住宅地が反応していない

東名阪の公示地価の推移

(参考:国土交通省 地価公示)

 

そこで、大阪府の公示地価1,715地点を詳しく調べてみたところ、この5年間で10%以上も上昇している住宅地が、50地点もありました。

ですが、同じ市内でも、上昇している地点と下落している地点の格差が広がっていました。

 

そのため、

「どこに買えばいいのか?」

「まだ上がるのか?今が売り時なのか?」

がわかりにくくなっているのが現状です。

 

そこで、この記事では、過去30年間の大阪府の土地価格を追いかけることで、

  • なぜ、大阪府の住宅地は、15年連続で下げ続けたのか?
  • この5年間で上昇している不動産の特徴は何か?
  • 今後の大阪府の土地価格がどうなるのか?

について、解説していきます。

 

大阪府の不動産市場が、どのように動いてきて、これからどのように動くのか、が理解できれば、今後の購入、または売却の役に立つはずです。

 

1、これまでの大阪府の土地価格の動き

最初に大阪府の過去30年間の土地価格の流れを追っていきます。

この大きな流れを知ることで、「どんな地域が下げているのか?」その理由がわかるはずです。

 

(1)大阪府の土地価格が、15年間も下げ続けている理由とは?

1989年の大納会で、日経平均は38,915円の史上最高値をつけ、これが株式市場のピークとなりましたが、不動産市場はもう少しあとの1991年(平成3年)が全国的なピークでした。

 

大阪府の公示地価(住宅地)もピークは平成3年で、その後の下落率は全国平均を大きく上回るものでした。

 

 大阪府の公示地価(住宅地)は、平成3年ごろがピーク

大阪府の過去30年間の公示地価

(参考:国土交通省 地価公示)

 

それから、2006年まで15年間の下落を経て、その後も横ばいが続いています。

 

その大きな理由は3つあります。

  • 不良債権処理で、不動産市場が崩壊
  • 家を建てる人が減った
  • 郊外に家を建てられるようになった

の3点です。

 

 土地価格が下がる理由①:不良債権処理で不動産市場が崩壊

不動産バブルの1991年(平成3年)からの数年を除くと、大きく下げ始めたのは1998年ごろからでした。

1997年の11月に山一證券が破綻をして、その後に北海道拓殖銀行や日本債券信用銀行などの一流金融機関が破綻を始め、不良債権問題が大きくなり始めていたタイミングと一致します。

 

大阪府の公示地価と貸出残高の推移

(参考:国土交通省 地価公示) 日銀 時系列統計データ検索サイト)

 

この頃は、金融機関による「貸し剝がし」が話題になってましたよね。

多くの会社がこの貸し剝がしによって倒産してしまい、借入れの担保としていた自宅などの不動産が競売に出されました。

 

競売では、通常の相場の6〜8割で売却されてしまいますので、不動産市場はどんどん下がっていきます。

その結果、土地価格がどんどん下がっていったのです。

 

 土地価格が下がる理由②:駅前はマンション、戸建ては郊外に増えた

土地価格が下がれば、買う人が増えてきます。ですが、それにも関わらず、大阪府の土地価格は下げ続けていきました。

なぜでしょうか?

 

大阪府の新築の戸数推移

(参考:国土交通省 地価公示 総務省統計局 建設着工統計)

 

その理由は2つあります。

 

ⅰ マンションの着工が増えて、住宅の供給量が増えた

1つは、駅前にはマンションが建つようになったため、住宅の供給量が増えたためです。

バブルの真っ最中の頃は、「土地転がし」という言葉もあったぐらいで、転売で儲けようとするヒトタチが多く、なかなかまともに住宅が供給されませんでした。

しかし、その後の総量規制や金利の引き上げなどで、投機目的のお金が回らなくなり、マンション事業者などの実業で商売する人に土地が渡るようになり供給される戸数が増えたのです。

 

大阪府のマンションの着工戸数

(参考:総務省 建設着工統計)

 

ご覧のように、1993年(平成5年)ぐらいから盛り上がってきた住宅の着工戸数は、マンションの着工戸数とほぼ同じ動きをしています。

戸建ては毎年2万戸ぐらいで安定していましたので、マンションの着工戸数次第で、全体の戸数が増減しているのがわかりますね。

 

マンションの建設会社は、あまり高い価格で土地を買うと、販売価格も高くなるため売れ残りのリスクがありますから、なかなか積極的に買いあがることはしません。

そのため、土地価格も安定するようになったのです。

 

ⅱ 郊外にも家を建てるようになった

それとは逆に、車での移動が基本になったことで、郊外でも家を建てる人がどんどん増えていきました。

それを後押しする法律もできたからです。

 

2000年の都市計画法の改正で、市街化調整区域でも家が建つようになった

2000年に都市計画法が改正されました。

この法律の改正によって、市街化調整区域(主に市街地から離れた農地)でも自治体がOKすれば、住宅地を作ることができるようになったのです。

 

大店立地法で、ショッピングモールが簡単に建つようになった

ショッピングモールの駐車場

 

しかも、同じ2000年に大店立地法(大規模小売店舗立地法)も成立して、イオンモールなどの大きなショッピングモールがカンタンに建てられるようになりました。

 

・2004年10月:イオンモール堺北花田

・2004年11月:イオンモールりんくう泉南

・2005年6月:フレスポ東大阪

・2006年9月:イオンモール大日

・2006年11月:イオンモール鶴見緑地

 

などなど、かなりの大規模なモールができるようになりました。

車で通勤するのであれば、駅から遠くバスが通らなくても、もともと農地の土地でも問題ありません。

そのため、幅広いエリアに家を建てることができるようになり、市街地の空洞化が進んでいったのです。

 

 土地価格が下がる理由③:家を建てる人が減った

そのような流れの中で、さらに追い討ちをかけるように、家を建てる人が減ってきました。

 

2006年ごろから家を建てる人が、5万戸→3.5万戸へ3割減

大阪府の新築の戸数推移

(参考:国土交通省 地価公示 総務省統計局 建設着工統計)

 

では、なぜこれほど家を建てる人が減ってしまったのでしょうか?

 

家を建てる世代が減った

家を建てる人の平均年齢は、戸建てで36.9才だそうです。住宅ローンの返済期間もありますし、建てるとするならば30代の比率が多いでしょう。

ですが、大阪府の30代の人口は、2007年にピークを打っていました。ちょうど、住宅の着工戸数が落ち始めるタイミングですね。

 

大阪府の30代人口の推移

(参考:総務省統計局 建設着工統計 総務省 住民基本台帳に基づく人口))

 

ようやくこの5年ぐらいで明るい話題も出てきましたが、すでに141万人→102万人(2007年→2017年)と40万人近くも減ってしまっていました。

東京都や愛知県では、住宅地の土地価格が上昇していますが、大阪府がイマイチ乗り切れていないのは、若い世代の深刻な人口減少が起こっているからでしょう。

 

つまり、

  • 不良債権問題で、市街地の不動産が投げ売りされた
  • 駅近ではマンションが増えて、郊外にも建てられるようになって、土地の不足感が解消された
  • 家を買う若い人が減った

という理由から、市街地の土地に対する需要が減って、土地価格が下げ続けているんですね。

 

2、この5年間の大阪府の土地価格の動き

しかし、この5年間を見ると、全国的に土地価格が上昇に転じ始めています。大阪府でも一部の地域では、その流れに乗っています。

その特徴をここから詳しくみていきましょう。

 

(1)都心部ほど、土地価格が上昇している

過去5年間の公示地価(住宅地)の動きを見ると、商業地だけでなく、住宅地においても都心部を中心とした上昇が見てとれます。

 

大阪府の過去5年間の公示地価の変化率

大阪府の公示地価の変化率の分布

(参考:国土交通省 地価公示)

 

大阪市、京都市、神戸市に囲まれた大阪市より北側と堺市あたりまでで土地価格の上昇が見られますが、そこから外れた地域では、下落傾向にあることがわかります。

また、全国の不動産価格指数を見ても、この5年間で上昇したのは、戸建てではなくマンションでした。

 

不動産価格指数

(参考:国土交通省 不動産価格指数(住宅地))

 

「職住近接」という言葉をたまに聞きますよね。共働きで子持ちの世帯では、保育園への送り迎えなども考えると、通勤に時間をかけてられません。

そのため、職場に近い駅近のマンションが人気化したため、オフィス街に近い地域の住宅地も一緒に上昇してしまった、という状況なのです。

 

(2)都心部ほど、人口も増加している

大阪府の過去5年間の人口の変化率

大阪府の人口変化率の分布

(参考:大阪府 推計人口(月報))

そのため、北区、中央区、西区、浪速区を中心に人口が5年間で1割前後も上昇しています。

このことから、決してアベノミクスやオリンピック期待でバブル的に上昇しているわけではなく、「人が増えることで、土地価格が上昇している」という、とてもわかりやすい地価の上がり方をしていると言えます。

 

(3)同じ地域でも、駅からの距離によって、上昇率が違う

職場に近い利便性の良い場所に人が増えているのであれば、駅から近い地域の方が人気が出ますよね。

過去5年間の公示地価(住宅地)の変化率を駅からの距離(1分=80m)で分けて調べてみたところ、駅からの距離が離れていくほどに、上昇率が下がっていく傾向にありました。

 

駅からの距離で見たときの公示地価(住宅地)の上昇率

 5分以内5〜10分10〜15分15〜20分20〜25分25〜30分30分以上
大阪市2.4%3.5%0.1%-3.1%-2.9%-1.8%-2.9%
堺市5.7%5.5%2.7%1.1%-0.7%-0.2%-1.3%
その他市町村0.0%0.8%-0.6%-2.2%-1.9%-3.9%-5.0%
大阪府全体1.4%1.9%-0.1%-1.7%-1.8%-3.3%-4.5%

(出典:国土数値情報ダウンロードサービス)

 

特にその他の市町村では、10分以上離れたあたりから、需要が一気に鈍るようです。

よくよく公示地価と人口の地図を見比べてみると、土地価格は上昇しているけれども、人口はあまり増えていない地域もありますよね。

これは、郊外の人口が減って、駅近のマンションへ移り住んでいる人が多いためと思われます。

 

3、オリンピック後の大阪の不動産はどうなるのか?

このような状況の中で、大阪府の今後の土地価格に影響を与える要素が2つあります。

それは、

  • 2022年問題
  • オリンピック後の外国人観光客数の動向

の2点です。

 

(1)2022年問題で、生産緑地が宅地に解禁になる

2022年問題とは、

「都市部にある農地が、宅地に解禁になることで、土地価格や家賃が下落するだろう」

と言われている問題です。

 

生産緑地

→全国に約3,989万坪、戸建てで約133万戸分の広さになります。

生産緑地が解禁になる2022年問題で、日本の不動産はどうなるのか?
生産緑地が解禁になる2022年問題によって、どのような影響が起こるのか?どこの市町村に多く分布しているのか?を解説します。

 

実は、大阪府はこの生産緑地が2番目に多く、しかも、都心部ではなく郊外の市町村にも広く分布しているのです。

 

大阪府の生産緑地の分布

大阪府の生産緑地の分布

(出典:都市計画区域、市街化区域、地域地区の決定状況)

 

1ヘクタール(ha)は、約3,000坪ですので、30坪の戸建てで100戸分になります。赤のエリアは、100ha以上ある地域なので、1万戸以上の家が建つ可能性があるのです。

 

現在人口の多くが、都心部に集中しています。郊外の戸建てを建てたいというニーズはあまり高くありません。

そんな中で、郊外の市町村に多くの宅地ができた時に、何が起こるでしょうか?おそらく土地が余ってしまうことでの下落が起こるものと思われます。

 

(2)オリンピック後の外国人観光客数はどうなるのか?

2013年9月に東京でのオリンピック開催が決定してから、外国人観光客数が増加しています。

大阪府は東京に次いで2番目に外国人の延べ宿泊者数が多く、今年の公示地価でも商業地ではかなりの上昇をしています。

 

ホテルの建設もかなり盛り上がっていますし、今後も観光客数が増える、または維持できるかで、大阪府の土地価格にもかなり影響が出てくるでしょう。

そこで、過去のオリンピック開催国のその後の観光客数を調べてみたところ、その後も堅調な国が多いことがわかりました。

 

オリンピック開催国の外国人観光客数の推移

 

オリンピック開催国の外国人観光客数の推移

(参考:国土交通省 観光庁 *PDFファイル)

 

2025年の大阪万博がどうなるかわかりませんが、まだまだ引き続き、外国人観光客の増加による恩恵を受けるのではないでしょうか。

 

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