岡山県で土地価格が上がる不動産の特徴とは?今後はどうなる?

岡山県

岡山県のここ5年間の土地価格を見ると、住宅地で 4.4% のマイナスでした。それに対して、広島県は2.6%、兵庫県も1.8%のマイナスと小幅です。

 

岡山県の公示地価の推移

(参考:国土交通省 地価公示)

 

なぜこのような違いが生まれたのでしょうか?

 

そこで、この記事では、過去30年間の岡山県の土地価格を追いかけることで、

  • なぜ、岡山県の住宅地は、20年連続で下げ続けているのか?
  • この5年間で上昇している不動産の特徴は何か?
  • 今後の岡山県の土地価格がどうなるのか?

について、解説していきます。

 

1、これまでの岡山県の土地価格の動き

(1)23年連続で土地価格が下落している理由とは?

全国の土地価格は1991年(平成3年)がピークでしたが、岡山県ではそれから7年後の1998年ごろまで、ピークの水準を維持してきました。

 

 岡山県の公示地価(住宅地)は、平成10年ごろまでがピーク

岡山県の過去30年間の公示地価の推移

(参考:国土交通省 地価公示)

 

しかし、平成10年からなんと20年連続で下げ続けています。

 

その大きな理由は3つあります。

  • 不良債権処理と公共事業の削減で、不動産市場が崩壊
  • 家を建てる人が減った
  • 郊外に家を建てられるようになった

の3点です。

 

 土地価格が下がる理由①:不良債権処理と公共事業の削減で、不動産市場が崩壊

土地バブルの崩壊が崩壊して、金融機関が本格的に危なくなったのが1997〜1998年ごろでした。

 

経営破綻した金融機関
1997年・(11月)三洋証券

・(11月)北海道拓殖銀行

・(11月)山一證券

・(11月)徳陽シティ銀行

1998年・(10月)長銀

・(12月)日債銀

 

岡山県でも、玉野信用金庫、岡山市民信用金庫、岡山県信用組合などが破綻しました。

そのため、これ以上の破綻を食い止めるために、現在の金融庁が作られ、貸出先を厳しく審査するようになりました。

 

その結果、経営が危ない企業に対してお金を貸すことを止める「貸しはがし」が起きて、余計に景気が悪化していきました。

 

金融機関の「貸しはがし」と土地価格の本格的な下落は、ほぼ同じタイミング

岡山県の公示地価と金融機関の貸出残高

(参考:日銀 時系列統計データ検索サイト)

 

さらに、2001年には小泉政権が誕生して、「構造改革」という名の下に、公共事業がどんどん減らされ、その流れは民主党政権にまで続きました。

 

その結果、岡山県の年間に7,000億円以上あった行政投資額(公共事業など)が、なんと3,000億円台にまで減ってしまったのです。

 

岡山県の行政投資額は、7,000億円→3,000億円台まで激減

岡山県の行政投資額

(参考:国土交通省 地価公示 総務省統計局 行政投資実績)

 

グラフを見ると、ほとんど同じ動きをしてますよね。

金融機関の貸出残高は、2004年以降に持ち直していますが、公共事業はその後も減り続けており、特に地方での土地価格の下落が止まらなくなっています。

 

 土地価格が下がる理由②:郊外に家が建てやすくなった

さらに、2000年ごろから、郊外に家がどんどん建てやすくなりました。

 

大店立地法で、ショッピングモールが簡単に建つようになった

ショッピングモールの駐車場

 

2000年に大店立地法(大規模小売店舗立地法)が成立して、イオンモールなどの大きなショッピングモールがカンタンに建てられるようになったのです。

  • 1999年9月:イオンモール倉敷
  • 2007年10月:イオンモール津山
  • 2011年12月:三井アウトレットパーク倉敷
  • 2014年12月:イオンモール岡山

などなど、岡山県でも多くのショッピングセンターが郊外にできていますよね。

そのため、わざわざ土地価格の高い市街地に家を建てる人が減ってきたのです。

 

 土地価格が下がる理由③:家を建てる人が減った

岡山県の新築の戸数を見てみると、1996年までは1.3万戸あった着工戸数も、この20年で 7,000戸台にまでほぼ半減してしまいました。

 

岡山県の新築の戸数

(参考:国土交通省 地価公示 総務省統計局 建設着工統計)

 

その理由は、家を建てられる人が減っているからです。

 

働く人が減った(20年間で99万→90万人)

岡山県の就業者数(仕事をしている人)を調べてみると、1995年に99万人いましたが、この20年間で90万人にまで減少しています。

働く人が減れば、家を建てる人も減りますから、着工数もどんどん減っていきました。

 

岡山県の就業者数

(参考:国土交通省 地価公示 国勢調査 人口の労働力状態,就業者の産業・職業)

 

また、年代別の人口を見ると、家を買う年代の30代人口は、団塊ジュニア(1971〜74年生まれ)のおかげで2007年ごろまで増えていますが、2010年代に入ってからは、かなり急激な減少を見せています。

わずか10年でほぼ2割減の21万人にまで減ってしまったのです。

 

家を買う世代の30代人口は、この10年で27万人→21万人まで減少

岡山県の30代人口

(参考:総務省統計局 建設着工統計 総務省 住民基本台帳に基づく人口))

 

若い人が減ってしまえば、家を建てる人も減りますよね。

そのため、不動産市場が都市部で盛り上がっていても、あまり反応がないのです。

 

つまり、

  • 家を建てる人が減っている
  • ショッピングセンターが増えて、郊外のどこに住んでも便利な生活ができるようになった

という理由から、市街地の土地に対する需要が減って、土地価格が下げ続ける傾向にあったわけですね。

 

2、この5年間の岡山県の土地価格の動き

このように岡山県全体で見ると、あまり期待ができないように思えてきますが、詳しく見ていくと、上昇している地点もけっこうありました。

ここからは、その点について詳しく見ていきます。

 

岡山市は、イオンモール岡山のおかげで岡山駅周辺で上昇

岡山市内では、一部のエリアで土地価格が上昇していました。

2014年に岡山駅前にイオンモール岡山が開業したことで、その周辺の住宅地の土地価格が上昇しているのです。

 

「岡山市中区住吉町2丁目65番」では、5年間で23%の上昇

 

これはかなりショッキングな事実を示していると思います。

これまで多くの自治体では、駅前の活性化策として、商店街でイベントをやったり、新しいビルを建ててテナントを集めたりしていました。

ですが、ほとんどの地域で失敗してきました。青森、秋田、富山などなど、ビルの運営会社が破綻したり、シャッター商店街に逆戻りしたりと、うまく集客に結びつかなかったのです。

 

ですが、イオンのような大規模なショッピングセンターができたことで、土地価格も上がりましたし、岡山駅の乗降者数も増加しています。

 

イオンモール岡山オープンで、乗降客数が10%増加

岡山駅の乗降客数の推移

(参考:総務省統計局 JR主要駅の乗降客数)

 

下手に行政や商店街がいろいろ考えるよりも、「イオンでよくね?」という状況なんです。求められているのは、イオンかもしれないんですね。

 

しかし、このような魅力的な商業施設がないエリアでは、郊外に家が建つ流れが止まらないため、ほとんどの地域の土地価格がマイナスになっています。

 

市区町村別に見ると、ほとんどのエリアがマイナス

 

岡山市の公示地価の分布図

(参考:国土交通省 地価公示)

 

早島町は、岡山市と倉敷市に挟まれ、土地価格も安いため、例外的に土地価格が上昇していますが、それ以外のエリアでは、岡山駅周辺が上昇しているという状況です。

 

3、これから岡山県の土地価格はどうなるのか?

このような状況の中で、岡山県の今後の土地価格に影響を与える要素が2つあります。

それは、

  • 岡山市の再開発事業
  • 2025年問題で公共事業がさらに減る

の2点です。

 

(1)岡山市の再開発事業で、駅周辺の魅力が上がる

イオンモール岡山の効果で、岡山駅周辺の土地価格が上昇していますが、今後も岡山市内での再開発が目白押しです。

 

岡山駅周辺で、再開発が予定されているエリア

*紺色のお店マークは、イオン岡山

  • イトーヨーカドー跡地(赤旗):37階建てのタワーマンション
  • 駅前町1丁目(青旗):高層ビル2棟(オフィス、商業施設等)

 

今後は、イオンモール岡山を中心として、住居(マンション)や商業施設が増えていくことになるでしょう。

お店が増えれば、そのエリアの魅力がもっと上がりますので、そこに住みたい人も増えてくるはずです。

岡山市の土地価格は、駅前を中心に今後も堅調に推移しそうです。

 

(2)2025年問題で、公共事業費がさらに減る

2025年問題とは、

「人口の多い団塊の世代が、75才以上の後期高齢者になることで、社会保障費が一気に増えて国の予算を圧迫する」

という問題です。

 

日本の社会保障費は、2025年に121.3→140.4兆円へと増える

日本の社会保障費の推移

(出典:2040年を見据えた社会保障の将来見通し(内閣府) 社会保障費用統計(国立人口問題研究所)

 

これまでも、社会保障費が増加してきたことが理由で、公共事業がどんどん削られてきました。

その社会保障費がさらに増えるわけですから、岡山県の公共事業は、今後さらに減っていくことになるでしょう。

 

社会保障費の増加に合わせて、公共事業も削られてきた

社会保障費と行政投資額の推移

(参考:国立社会保障・人口問題研究所 総務省統計局 行政投資実績)

 

そのため、公共事業に依存している地域では、今以上に住みにくくなるでしょう。土地価格の下落傾向も続くのではないでしょうか。

 

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