大分県で土地価格が上がったエリアは?JR九州の駅前開発がすごい

大分市 大分県

大分県の過去5年間の土地価格を見ると、住宅地で3.9% のマイナスでした。

 

大分県の公示地価の推移

(参考:国土交通省 地価公示)

 

東京オリンピックが開催されることになって、外国人観光客が増加しています。

博多港や長崎港へのクルーズ船での入港客も過去最高を更新しているので、福岡県では福岡市を中心に土地価格が上昇しているのです。

 

ですが、大分県についても詳しく調べてみたところ、5%以上も上昇している住宅地が見つかりました。

決して、全てのエリアがマイナスという訳ではなくて、上昇している地域もあるのですが、県や市区町村という単位ではわかりにくくなっているのが現状です。

 

そこで、この記事では、過去30年間の大分県の土地価格を追いかけることで、

  • なぜ、大分県の住宅地は、18年連続で下げ続けているのか?
  • この5年間で上昇している不動産の特徴は何か?
  • 今後の大分県の土地価格がどうなるのか?

について、解説していきます。

 

1、これまでの大分県の土地価格の動き

(1)18年連続で土地価格が下落している理由とは?

1989年の大納会で、日経平均は38,915円の史上最高値をつけ、これが株式市場のピークとなりましたが、不動産市場はもう少しあとの1991年(平成3年)が全国的なピークでした。

 

大分県の公示地価(住宅地)はそれより7〜9年遅く、平成10〜12年(1998〜2000年)ごろまでがなだらかなピークでした。

 

 大分県の公示地価(住宅地)は、平成10〜12年ごろがピーク

大分県の過去30年間の公示地価の推移

(参考:国土交通省 地価公示)

 

それから、ほぼ18年間の下落が続いています。

 

その大きな理由は2つあります。

①家を建てる人が減った

②郊外に家を建てられるようになった

の2点です。

 

 土地価格が下がる理由①:家を建てる人が減った

家を建てる人が減れば、土地を欲しがる人が減りますので、土地価格が下がります。

大分県のこの30年間の土地価格と、持ち家(戸建て・マンション)の着工戸数を並べてみると、それまでは8,000戸を越えていた着工戸数が、1997年(平成9年)には6,000戸、98年には5000戸台にまで一気に減ってしまいました。

 

家を建てる人が減って、土地価格も下落

大分県の新築の戸数の推移

(参考:国土交通省 地価公示 総務省統計局 建設着工統計)

 

では、なぜこれほど家を建てる人が減ってしまったのでしょうか?

理由は3つあります。

ⅰ 住宅ローン金利が下げ止まった

1996年ぐらいまでの住宅の着工件数を見ると、かなり勢いがありますよね。実はこの期間は、住宅ローンの金利がどんどん下がっていた時代だったんです。

 

平成3年〜7年で、一気に住宅ローン金利が下がった

住宅ローン金利の推移

(参考:住宅金融支援機構)

 

そのため、同じ3,000万円の家を買う場合でも、月々の支払いが一気に楽になりました。

 

35年返済とすると

・金利6%:月々17万円(全部で7,200万円)

・金利3%:月々11.5万(全部で4,800万円)

になるわけです。

 

しかも、1997年には消費税が5%に増税される予定でしたので、それまで買えなかった人が、一気に駆け込むように家を建てたのです。

そのため、それ以降の住宅を買う人が一気に減ったんですね。

 

ⅱ 年収が減った(323万円→282万円)

年収のピークは1998年になだらかに下げ始めました。公示地価も2000年がピークなので、だいたい同じタイミングです。

買いたい人は、97年の増税前に買っていましたし、その後の年収の低下によって、買える人が減ってしまったんですね。

 

平均年収が減って、住宅の着工件数も減ってしまった

大分県の平均年収の推移

(参考:国土交通省 地価公示 総務省 市町村税課税状況等の調)

 

ⅲ 働く人が減った(20年間で44.3万→41.0万人)

大分県の就業者数(仕事をしている人)を調べてみると、1995年に60.1万人いましたが、5年経つごとに2万人近くの就業者が減っていきました。

人口の多い団塊の世代が退職を始めたのは、2007年ごろからですから、それよりも5年以上も早い時期から下げています。

 

つまり、働ける若い人が減ってきはじめたのです。

働く若い人が減ると、家を建てられる人も減りますよね。そのため、新築の戸数も減っていく一方となってしまったのです。

 

大分県の就業者数の推移

(参考:国土交通省 地価公示 国勢調査 人口の労働力状態,就業者の産業・職業)

 

 土地価格が下がる理由②:郊外に家を建てられるようになった

家を建てる人も、家が建つ件数もこのようにして減っていきましたが、実際に土地価格が下がり始めたのは2000年ごろです。時間的に少しズレがありますよね。

なぜ、すぐに下がらなかったのでしょうか?

その理由は、郊外に家を建てられるようになったのが、2000年ごろからだからです。

 

2000年の都市計画法の改正で、市街化調整区域でも家が建つようになった

2000年に都市計画法が改正されました。

この法律の改正によって、市街化調整区域(主に市街地から離れた農地)でも自治体がOKすれば、住宅地を作ることができるようになったのです。

 

農家の数がどんどん減ることで、土地が余ってきていた

販売農家数の推移

(参考:総務省統計局 農業構造動態調査)

 

ご覧のように、この30年で農業で生計を立てている農家の方は、半分以下に減ってしまいました。

そのため、農地を手放したい、宅地にしてアパートなどの大家をやりたい、という人が増えていたのです。

 

大店立地法で、ショッピングモールが簡単に建つようになった

ショッピングモールの駐車場

 

しかも、同じ2000年に大店立地法(大規模小売店舗立地法)も成立して、イオンモールなどの大きなショッピングモールがカンタンに建てられるようになりました。

 

・2000年12月:トキハわさだタウン

・2002年4月:パークプレイス大分

・2007年11月:ゆめタウン別府

 

と、かなりの大規模なモールができるようになりました。

 

つまり、

・家を買う人が減った

・ショッピングセンターが増えて、郊外のどこに住んでも便利な生活ができるようになった

という理由から、市街地の土地に対する需要が減って、土地価格が下げ続けているんですね。

 

(2)上昇している地域の特徴とは?

上昇している地点の特徴を見ると、大分市のような大都市と、それ以外の中小都市では、ちょっと傾向が違うようです。

 

大分市では、「JRおおいたシティ」の開業効果がデカイ

2015年4月に「JRおおいたシティ」が、開業しました。来場者数も3年連続で2,000万人を超えて、売り上げも好調のようです。

 

アミュプラザ大分は、昨年の売上が233億円と過去最高

アミュプラザ大分の売上推移

(参考:JR九州 ニュースリリース *PDF)

 

大分県立美術館でも話題性のあるイベントが行われますし、商業施設としての規模もかなり大きいですよね。

つまりは、「イオンモールよりも行きたいと感じるか?」が重要なのです。

 

他の県庁所在地でも、中心部が廃れてしまって駅の再開発をやっていますが、あまりうまく行っていないところが多いのは、その規模が中途半端なため、結局郊外のショッピングセンターに流れてしまうからなんですね。

 

大分市は、その点でイオンモールとも互角の戦いができる商業施設となっているため、駅前の商業地でも10%以上の上昇している地点が出てきましたし、住宅地においても5%以上の上昇地点が出てきました。

 

大分駅近くの住宅地「大分市金池南2-11-2」では、5年で9.2%の上昇

赤、青、黄色の家のマークが、大分市で上昇している地点です。それぞれ、

 

赤色:大分市金池南(9.2%)

黄色:大分市下郡中央(7.4%)

青色:大分市高崎(4.6%)

 

と、なかなかの上昇率となっています。

 

他の市区町村別に見ると、ほとんどの地域で土地価格が下落

大分県の市区町村別の公示地価の推移

(参考:国土交通省 地価公示)

 

大分市でも駅前を中心とした一部の地域が上昇しているだけですが、他の自治体でも似たような状況にあります。

 

ただし、温泉リゾートが外国人向けに好調です。

湯布院の駅周辺の商業地では、20%以上も上昇していましたし、別府でも3%上昇している地点が出てきました。

 

意外と感じる人もいるかもしれませんが、大分県は全国でも外国人の観光客数が多い県で、宿泊延べ人数で100万人以上を受けています。

そのため、新しくホテルを建設しようという動きもあり、周辺の土地価格も今後は連れ高するかもしれません。

 

大分県の外国人の延べ宿泊者数は、全国で13位、九州で2位

大分県の外国人延べ宿泊者数の推移

(参考:観光庁 宿泊旅行統計調査)

 

2、これから大分県の土地価格はどうなるのか?

このような状況にある大分県の土地価格ですが、今後はどうなるのでしょうか?

郊外に土地が建つ流れは、なかなか変わりませんし、この5年間で大分県の人口は3万人以上減っています。

 

一方で、外国人観光客数は、オリンピック後も安定してくると思われます。

というのも、過去のオリンピック開催国のその後の外国人観光客数を見ると、むしろ増えているところが多いからです。

リピーターとなる人も増えるので、観光客数の底上げが起こるようです。

 

(1)オリンピック開催国は、その後も観光客数が好調

 

オリンピック開催国の外国人観光客数の推移

(参考:国土交通省 観光庁 *PDFファイル)

 

そのため、

・駅前の再開発が好調で、土地価格が上昇する大分市

・外国人観光客の恩恵を受けて土地価格が上昇する別府、湯布院

・郊外へ人が流れ、土地価格が下がるそれ以外の自治体

という二極化が進むのではないでしょうか?

 

ただし、それ以外にもう1点だけ、注意が必要なポイントがあります。

それが「立地適正化計画」です。

(2)立地適正化計画で、中心部に公共サービスが集中

立地適正化計画とは、「住んで欲しい地域(居住誘導区域)」と「そうでない地域」にわけることで、今後の行政サービスや商業施設の建設に格差をつけようとする計画です。

 

これまで多くの都市では、市の中心部を魅力的にしていくことで、郊外に住んでいる人たちを市街地に呼び寄せようと働きかけてきました。

アメとムチで言えば、アメの政策ですね。

 

ですが、車での移動が基本の多くの自治体では、いくら中心地を再開発しても、郊外に人が流れてしまい、効果があまりありませんでした。

そこで、今後は、郊外のエリアの行政サービスを減らして不便にすることで、市街地に呼び寄せようと働きかけようとしているのです。

アメとムチで言えば、ムチの政策です。

 

例えば、

・バスの運行を減らす

・ニュータウンや、商業施設を建てる場合には届け出が必要

・福祉センターなどの公共施設の削減

などが進められていくのです。

 

 大分市の立地適正化計画のイメージ

大分県の立地適正化計画のイメージ

(参考:大分市 立地適正化計画)

 

上の図は、大分市の立地適正化計画のイメージ図です。青色の線で囲まれたエリアが優先地域(居住誘導区域)になります。

駅やバス停の周辺にエリアを設定していく計画のようです。

 

車での移動を基本とする若い世代はあまり困らないかもしれませんが、バスや車の運転がきつくなってくる高齢者にとっては、このエリア内に移住しないと何かと不便に感じるようになるかもしれません。

 

そのため、今後はこのエリア「内」とエリア「外」では、土地価格に大きな格差がつくのではないでしょうか。

この点については、こちらの記事で詳しく解説しましたので、ご参考ください。

「立地適正化計画」で売れなくなる不動産を見分ける方法
立地適正化計画の詳しい内容と、その影響について解説します。売れなくなる不動産を見分ける際の参考になるはずです。

 

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