長崎県で土地価格が上がったエリアは?外国人観光客効果がすごい

長崎市 長崎県

東京オリンピックが開催されることになって、外国人観光客が増加しています。

長崎港や博多港へのクルーズ船での入港客も過去最高を更新しているので、長崎市内でも上昇している地域が増えています。

 

長崎県の公示地価の推移

(参考:国土交通省 地価公示)

 

ところが、長崎県の過去5年間の土地価格を見ると、住宅地で5.4% のマイナスでした。県全体で見ると、上昇していないように見えてしまいます。

 

そこで、長崎県の公示地価263地点について、詳しく調べてみたところ、この5年間で20%以上も上昇している住宅地が見つかりました。

決して、全てのエリアがマイナスという訳ではいのです。

 

この記事では、過去30年間の長崎県の土地価格を追いかけることで、

  • なぜ、長崎県の住宅地は、17年連続で下げ続けているのか?
  • この5年間で上昇している不動産の特徴は何か?
  • 今後の長崎県の土地価格がどうなるのか?

について、解説していきます。

 

不動産を買いたい人にも、売りたい人にも参考になるはずです。

 

1、これまでの長崎県の土地価格の動き

(1)17年連続で土地価格が下落している理由とは?

全国の土地価格は1991年(平成3年)がピークでしたが、長崎県の公示地価(住宅地)はそれより8〜10年遅く、平成11〜13年(1999〜2001年)ごろまで上昇しました。

 

 長崎県の公示地価(住宅地)は、平成11〜13年ごろがピーク

長崎県の過去30年間の公示地価の推移

(参考:国土交通省 地価公示)

 

それから、ほぼ17年間の下落が続いています。

 

その大きな理由は3つあります。

  • 不良債権処理と公共事業の削減で、不動産市場が崩壊
  • 家を建てる人が減った
  • 郊外に家を建てられるようになった

の3点です。

 

 土地価格が下がる理由①:不良債権処理と公共事業の削減で、不動産市場が崩壊

土地バブルの崩壊が崩壊して、金融機関が本格的に危なくなったのが1997〜1998年ごろでした。

 

経営破綻した金融機関
1997年・(11月)三洋証券

・(11月)北海道拓殖銀行

・(11月)山一證券

・(11月)徳陽シティ銀行

1998年・(10月)長銀

・(12月)日債銀

 

長崎県でも、長崎第一信用組合が経営破綻し、九州銀行が親和銀行に吸収されました。

そのため、これ以上の破綻を食い止めるために、現在の金融庁が作られ、貸出先を厳しく審査するようになりました。

 

その結果、経営が危ない企業に対してお金を貸すことを止める「貸しはがし」が起きて、余計に景気が悪化していきました。

 

金融機関の「貸しはがし」と土地価格の本格的な下落は、ほぼ同じタイミング

長崎県の公示地価と金融機関の貸出残高

(参考:日銀 時系列統計データ検索サイト)

 

さらに、2001年には小泉政権が誕生して、「構造改革」という名の下に、公共事業がどんどん減らされ、その流れは民主党政権にまで続きました。

 

その結果、年間に7,000億円以上あった行政投資額(公共事業など)が、なんと3,000億円台にまで減ってしまったのです。

 

長崎県の行政投資額は、7,000億円→3,000億円台まで激減

長崎県の行政投資額

(参考:国土交通省 地価公示 総務省統計局 行政投資実績)

 

地方では、公共事業が景気に占める比率が高いため、これほど長い期間減り続ければ、土地価格も下がらざるを得ませんでした。

 

 土地価格が下がる理由②:郊外に家が建てやすくなった

さらに、2000年ごろから、郊外に家がどんどん建てやすくなりました。

 

大店立地法で、ショッピングモールが簡単に建つようになった

ショッピングモールの駐車場

 

2000年に大店立地法(大規模小売店舗立地法)が成立して、イオンモールなどの大きなショッピングモールがカンタンに建てられるようになったのです。

  • 2000年4月:ゆめタウン夢彩都
  • 2000年11月:イオン時津ショッピングセンター
  • 2008年10月:みらい長崎ココウォーク

などなど、長崎県でも多くのショッピングセンターが郊外にできていますよね。

そのため、わざわざ土地価格の高い市街地に家を建てる人が減ってきたのです。

 

 土地価格が下がる理由③:家を建てる人が減った

長崎県の新築の戸数を見てみると、1996年までは9,000戸以上あった着工戸数も、この20年で 4,000戸台にまでほぼ半減してしまいました。

 

長崎県の新築の戸数

(参考:国土交通省 地価公示 総務省統計局 建設着工統計)

 

その理由は、家を建てられる人が減っているからです。

 

働く人が減った(20年間で72.6万→64.4万人)

長崎県の就業者数(仕事をしている人)を調べてみると、1995年に72.6万人いましたが、この20年間で64.4万人にまで減少しています。

 

長崎県の就業者数

(参考:国土交通省 地価公示 国勢調査 人口の労働力状態,就業者の産業・職業)

 

また、家を買う年代の30代人口は、2007年ごろまで増えていますが、それからわずか10年で、ほぼ2割減の14万人にまで減ってしまったのです。

 

家を買う世代の30代人口は、この10年で18万人→14万人まで減少

長崎県の30代人口

(参考:総務省統計局 建設着工統計 総務省 住民基本台帳に基づく人口))

 

そのため、働く若い人が減れば、家を建てる人も減りますから、着工数もどんどん減ってしまったのです。

 

つまり、

  • 家を建てる人が減っている
  • ショッピングセンターが増えて、郊外のどこに住んでも便利な生活ができるようになった

という理由から、市街地の土地に対する需要が減って、土地価格が下げ続ける傾向にあったわけですね。

 

2、この5年間の長崎県の土地価格の動き

このように長崎県全体で見ると、あまり期待できない状況なのですが、もう少し詳しく見ていくと、上昇している地域もいくつかありました。

そこで、ここからは市町村別に詳しく見ていきます。

 

長崎市では、外国人観光客数の増加で、駅前の再開発が影響

九州新幹線が開通するということで、長崎駅周辺の再開発が進んでいます。

また、中国からのクルーズ船の入港者数が過去最高を記録しています。

 

クルーズ船での外国人観光客は100万人を突破

長崎県へのクルーズ入港状況

(参考:長崎県 クルーズ客船の「平成29年入港実績」「平成30年入港見込」)

 

長崎港が、全体の7〜8割を占めますので、かなりのインパクトがあると言えます。

今一番土地を高く買ってくれる企業は、外国人観光客をあてにしたホテル会社なので、これほど観光客数が伸びている長崎市には、かなりの投資資金が流れているのでしょう。

その影響が、周辺の住宅地にまで広がっているという状況です。

 

長崎市の中心部近くの住宅地「長崎市上西山町2-22」では、5年で22%の上昇

赤、青、黄色の家のマークが、長崎市で上昇している地点です。それぞれ、

  • 赤色:長崎市上西山町(22%)
  • 黄色:長崎市伊良林(18.6%)
  • 青色:長崎市片淵(11.7%)

と、なかなかの上昇率となっています。

 

市町村別に見ると、ほとんどの地域で土地価格が下落

 

長崎県の公示地価の変化率

(参考:国土交通省 地価公示)

 

長崎市でも駅前を中心とした一部の地域が上昇しているだけですが、他の自治体でも似たような状況にあります。

 

そんな中で、時津町は、イオン時津、ドンキホーテ近くのエリアで上昇しているため、プラスの上昇率となっています。

大都市の郊外で、しかも、面積の狭い自治体では、土地も安くてショッピングセンターに近いエリアで上昇するケースがよく見られます。

それ以外のエリアでは、どこも下落傾向にあります。

 

3、これから長崎県の土地価格はどうなるのか?

このような状況の中で、新潟県の今後の土地価格に影響を与える要素が2つあります。

それは、

  • オリンピック後の外国人観光客の動向
  • 2025年問題で公共事業がさらに減る

の2点です。

 

(1)オリンピック後の観光客数は、他国の例では減っていない

外国人観光客数の増加によって、商業地を中心ににぎわっている長崎市ですが、気になるのは、「オリンピック後の外国人観光客数がどうなるか?」ですよね。

過去のオリンピックと外国人観光客数の関係を調べた調査があるのですが、それによると、オリンピックが終わって観光客数が減ったところはないようです。

 

開催国のオリンピック前後の観光客数

オリンピック開催国の外国人観光客数の推移

(参考:国土交通省 観光庁 *PDFファイル)

 

ですから、引き続き商業地を中心ににぎわいは続くと見ていいでしょう。逆を言えば、これまでの長崎市に一極集中していた状況が続くとも言えます。

 

(2)2025年問題で、公共事業費がさらに減る

2025年問題とは、

「人口の多い団塊の世代が、75才以上の後期高齢者になることで、社会保障費が一気に増えて国の予算を圧迫する」

という問題です。

 

日本の社会保障費は、2025年に121.3→140.4兆円へと増える

日本の社会保障費の推移

(出典:2040年を見据えた社会保障の将来見通し(内閣府) 社会保障費用統計(国立人口問題研究所)

 

これまでも、社会保障費が増加してきたことが理由で、公共事業がどんどん削られてきました。

その社会保障費がさらに増えるわけですから、長崎県の公共事業は、今後さらに減っていくことになるでしょう。

 

社会保障費の増加に合わせて、公共事業も削られてきた

社会保障費と行政投資額の推移

(参考:国立社会保障・人口問題研究所 総務省統計局 行政投資実績)

 

そのため、公共事業に依存している地域では、今以上に住みにくくなるでしょう。土地価格の下落傾向も続くのではないでしょうか。

 

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