長野県で土地価格が上がる不動産の特徴とは?今後はどうなる?

松本城 長野県

長野県のここ5年間の土地価格を見ると、住宅地で6.6%のマイナスとかなり大きな下落率でした。

 

長野県の土地価格の推移

(参考:国土交通省 地価公示)

 

2013年にオリンピックの開催地が東京に決定してから以降、外国人観光客が増え続けています。

山梨県は富士山もありますし、長野県も松本城や善光寺のおかげで、外国人の延べ宿泊者数は70万人を超えてきました。

経済へも良い影響が出ているはずなのに、なぜこれほどに土地価格が上がらないのでしょうか?

 

そこで、この記事では、過去30年間の長野県の土地価格を追いかけることで、

  • なぜ、長野県の住宅地は、21年連続で下げ続けているのか?
  • この5年間で上昇している不動産の特徴は何か?
  • 今後の長野県の土地価格がどうなるのか?

について、解説していきます。

 

不動産を買いたい人にも、売りたい人にも参考になるはずです。

 

1、これまでの長野県の土地価格の動き

(1)21年連続で土地価格が下落している理由とは?

全国の土地価格は、1991年(平成3年)にピークを打ちましたが、長野県ではその6年後の1997年まで維持していました。

ちょうど長野オリンピックで盛り上がっていた時期ですね。

しかし、オリンピック後の下落ペースは速く、2005年ぐらいまでは真っ逆さまに落ちていくような状態でした。

 

 長野県の公示地価(住宅地)は、平成9年ごろがピーク

長野県の過去30年間の公示地価の推移

(参考:国土交通省 地価公示)

その後も1度もいいところがないまま、21年連続の下落を続けています。

 

ここまで長引いている理由は3つあります。

  • 不良債権処理と公共事業の削減で、不動産市場が崩壊
  • 家を建てる人が減った
  • 郊外に家を建てられるようになった

の3点です。

 

 土地価格が下がる理由①:不良債権処理と公共事業の削減で、不動産市場が崩壊

土地バブルの崩壊が崩壊して、金融機関が本格的に危なくなったのが1997〜1998年ごろでした。

オリンピックで盛り上がっていたのは長野県だけで、それ以外の地域では、大変なことになっていたんですね。

 

経営破綻した金融機関
1997年・(11月)三洋証券

・(11月)北海道拓殖銀行

・(11月)山一證券

・(11月)徳陽シティ銀行

1998年・(10月)長銀

・(12月)日債銀

 

上に挙げた以外にも、多くの信金・信組が破綻しました。

これ以上の破綻を食い止めるために、現在の金融庁が作られ、貸出先を厳しく審査するようになりました。

 

その結果、経営が危ない企業に対してお金を貸すことを止める「貸しはがし」が起きて、余計に景気が悪化していきました。

 

金融機関の「貸しはがし」と土地価格の本格的な下落は、ほぼ同じタイミング

長野県の公示地価と貸出残高

(参考:日銀 時系列統計データ検索サイト)

 

さらに、2001年には小泉政権が誕生して、「構造改革」という名の下に、公共事業がどんどん減らされ、その流れは民主党政権にまで続きました。

 

その結果、長野県の年間に1.3兆円以上あった行政投資額(公共事業など)が、なんと4,000億円台にまで減ってしまったのです。

 

長野県の行政投資額は、1.3兆円→4,000億円台まで激減

長野県の行政投資額

(参考:国土交通省 地価公示 総務省統計局 行政投資実績)

 

グラフを見ると、公共事業が凄まじい勢いで減っているのがわかりますね。

金融機関の貸出残高は、2004年以降に持ち直していますが、地方ほど公共事業への依存度が高いため、ここまで減らされてしまうと、どうにもならなくなってしまいました。

 

 土地価格が下がる理由②:郊外に家が建てやすくなった

さらに、2000年ごろから、郊外に家がどんどん建てやすくなりました。

 

大店立地法で、ショッピングモールが簡単に建つようになった

ショッピングモールの駐車場

 

2000年に大店立地法(大規模小売店舗立地法)が成立して、イオンモールなどの大きなショッピングモールがカンタンに建てられるようになったのです。

  • 1999年4月:イオンモール佐久平
  • 2004年8月:イオン上田ショッピングセンター
  • 2011年4月:アリオ上田
  • 2016年7月:レイクウォーク岡谷
  • 2017年9月:イオンモール松本

などなど、長野県でも多くのショッピングセンターが郊外にできていますよね。

そのため、わざわざ土地価格の高い市街地に家を建てる人が減ってきたのです。

 

 土地価格が下がる理由③:家を建てる人が減った

長野県の新築の戸数を見てみると、1996年までは1.8万戸以上あった着工戸数も、この20年で 8,000戸台にまで半分以上も減ってしまいました。

 

長野県の新築の戸数

(参考:国土交通省 地価公示 総務省統計局 建設着工統計)

 

その理由は、家を建てられる人が減っているからです。

 

働く人が減った(20年間で122万→107万人)

長野県の就業者数(仕事をしている人)を調べてみると、1995年に122万人いましたが、この20年間で107万人にまで、15万人も減少していました。

働く人が減れば、家を建てる人も減ります。

そのため、着工数もどんどん減っているのです。

 

長野県の就業者数

(参考:国土交通省 地価公示 国勢調査 人口の労働力状態,就業者の産業・職業)

 

また、年代別の人口を見ると、家を買う年代の30代人口は、2007年ごろまで増えていますが、2010年代に入ってからは、かなり急激な減少を見せています。

わずか10年で29.3万人→21.7万人と、ほぼ4分の3にまで減ってしまったのです。

 

家を買う世代の30代人口は、この10年で29.3万人→21.7万人まで減少

長野県の30代人口

(参考:総務省統計局 建設着工統計 総務省 住民基本台帳に基づく人口))

 

そのため、大都市圏ではアベノミクスやオリンピック期待で盛り上がっていても、長野県の着工戸数には反応しにくくなっているのです。

 

つまり、

  • 家を建てる人が減っている
  • ショッピングセンターが増えて、郊外のどこに住んでも便利な生活ができるようになった

という理由から、市街地の土地に対する需要が減って、土地価格が下げ続ける傾向にあったわけですね。

 

2、この5年間の長野県の土地価格の動き

このように県全体で見ると、あまり期待できない状況にありますが、市町村別に細かく見ていくと、上昇している地点もいくつかありました。

 

長野県の外国人観光客数の増加によって、通勤需要が発生

まず、この5年間で東京オリンピックの開催が決まり、外国人観光客が増えました。

長野県もこの流れにうまく乗って、昨年度実績で約99.5万人と全国14位のかなり多い県となっています。

 

東京オリンピック開催決定後、長野県の外国人観光客は4倍以上に増加

長野県の外国人延べ宿泊数

(参考:観光庁 宿泊旅行統計調査)

 

東京オリンピック期待から、外国人観光客が増えていますが、長野県でもかなりの勢いで増え続けているんですね。

市区町村別に土地価格の変化率を見ると、軽井沢町が突出していました。

外国人のリゾート気分を味わいたいというニーズにうまく対応しているためと思われます。

 

過去5年間の公示地価(住宅地)を見ると、軽井沢町が12.5%の上昇

 

長野県の市区町村別の公示地価変化率

(参考:国土交通省 地価公示)

 

また、他の観光地が盛り上がっている都市でもそうなのですが、従業員の通勤需要で観光地の周辺の住宅地が上昇する傾向にあります。

長野市では、長野駅の南側の住宅地が。

松本市では、松本城周辺から、塩尻市の北部にかけての住宅地で上昇しています。

 

長野市、松本市周辺の住宅地(上昇地点)

住所最寄駅駅からの距離公示地価(/㎡)5年間変化率
長野市若里1-19-47長野14008800013.7%
塩尻市大字広丘高出字下桔梗ケ原2213番22塩尻2200502009.1%
塩尻市大字広丘吉田字若宮12番5外村井1100538005.1%
長野市北条町3番17長野1800757004.8%
塩尻市大門六番町3-16塩尻850571004.4%
松本市笹部1-4-27-3南松本2300587003.9%
松本市寿北6-15-21平田1400485003.9%
松本市開智1-2-11松本1200864003.6%
松本市井川城2-12-2南松本1300594003.3%
松本市清水1-5-7松本1900721003.0%
長野市大字高田字川端東沖725番79長野2200731003.0%

 

3、これから長野県の土地価格はどうなるのか?

このような状況の中で、長野県の今後の土地価格に影響を与える要素が2つあります。

それは、

  • 東京オリンピック後の外国人観光客の動向
  • 2025年問題で、公共事業がさらに減っていく

の2点です。

 

(1)オリンピック後の観光客数は、他国の例では減っていない

外国人観光客数の増加によって、商業地を中心ににぎわっている軽井沢、松本周辺ですが、気になるのは、「オリンピック後の外国人観光客数がどうなるか?」ですよね。

過去のオリンピックと外国人観光客数の関係を調べた調査があるのですが、それによると、オリンピックが終わって観光客数が減ったところはないようです。

 

開催国のオリンピック前後の観光客数

オリンピック開催国の外国人観光客数の推移

(参考:国土交通省 観光庁 *PDFファイル)

 

ですから、引き続き商業地を中心に、にぎわいは続くと見ていいでしょう。

逆を言えば、これまでの軽井沢、松本、長野などの観光地に集中していた状況が続くとも言えます。

 

(2)2025年問題で、公共事業費がさらに減る

2025年問題とは、

「人口の多い団塊の世代が、75才以上の後期高齢者になることで、社会保障費が一気に増えて国の予算を圧迫する」

という問題です。

 

日本の社会保障費は、2025年に121.3→140.4兆円へと増える

日本の社会保障費の推移

(出典:2040年を見据えた社会保障の将来見通し(内閣府) 社会保障費用統計(国立人口問題研究所)

 

これまでも、社会保障費が増加してきたことが理由で、公共事業がどんどん削られてきました。

その社会保障費がさらに増えるのです。今後はさらに公共事業が減るのは確実でしょう。

 

社会保障費の増加に合わせて、公共事業も削られてきた

社会保障費と行政投資額の推移

(参考:国立社会保障・人口問題研究所 総務省統計局 行政投資実績)

 

そのため、仕事を求めて長野市や松本市などの大都市へ移住する人が増えるはずです。

そう考えると、大都市から離れた地域では、今後も土地価格は下げ続けるのではないでしょうか。

 

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