宮崎県で土地価格が上がったエリアは?JR九州の駅前開発がすごい

宮崎駅 宮崎県

宮崎県の過去5年間の公示地価を調べてみたところ、住宅地で4.7% のマイナスとなっていました。

 

宮崎県の公示地価の推移

(参考:国土交通省 地価公示)

 

2013年に東京がオリンピックの開催地と決定して以降、外国人観光客数が大幅に伸びています。

今年は3,000万人を超えるのが確実な見込みで、クルーズ船の入港が増えている福岡県や長崎県では、市の中心部の土地価格が大きく上昇しています。

 

 

訪日外国人数の推移

(参考:日本政府観光局)

 

しかし、福岡市や長崎市だけではないのです。

外国人観光客数があまり多くない大分市や熊本市でも、市街地での土地価格の上昇が始まっています。

 

理由は、駅前の再開発で、「イオンモールに勝てる商業施設」ができ(てい)るからです。

そして現在、宮崎市でも2020年の開業の予定で、再開発の話が進んでいます。

(参考:毎日新聞 西口に複合ビル2棟、JR九州と宮崎交通が共同建設)

 

そこで、この記事では、過去30年間の宮崎県の土地価格を追いかけることで、

  • なぜ、宮崎県の住宅地は、20年連続で下げ続けているのか?
  • この5年間で上昇している不動産の特徴は何か?
  • 今後の宮崎県の土地価格がどうなるのか?

について、解説していきます。

 

1、これまでの宮崎県の土地価格の動き

最初に宮崎県の過去30年間の土地価格の流れを追っていきます。

この大きな流れを知ることで、「どんな地域が下げているのか?」その理由がわかるはずです。

(1)20年連続で土地価格が下落している理由とは?

1989年の大納会で、日経平均は38,915円の史上最高値をつけ、これが株式市場のピークとなりましたが、不動産市場はもう少しあとの1991年(平成3年)が全国的なピークでした。

 

宮崎県の公示地価(住宅地)はそれより7〜11年遅く、平成10〜14年(1998〜2002年)ごろまでがなだらかなピークでした。

 

 宮崎県の公示地価(住宅地)は、平成10〜14年ごろがピーク

宮崎県の過去30年間の土地価格の動き

(参考:国土交通省 地価公示)

 

それから、ほぼ16年間の下落が続いています。

 

その大きな理由は2つあります。

①家を建てる人が減った

②郊外に家を建てられるようになった

の2点です。

 

 土地価格が下がる理由①:家を建てる人が減った

家を建てる人が減れば、土地を欲しがる人が減りますので、土地価格が下がります。

宮崎県のこの30年間の土地価格と、持ち家(戸建て・マンション)の着工戸数を並べてみると、それまでは8,000戸を越えていた着工戸数が、1997年(平成9年)には5,000戸、その後は3,000〜4,000戸台にまで一気に減ってしまいました。

 

家を建てる人が減って、土地価格も下落

宮崎県の新築の戸数推移

(参考:国土交通省 地価公示 総務省統計局 建設着工統計)

 

では、なぜこれほど家を建てる人が減ってしまったのでしょうか?

理由は3つあります。

ⅰ 住宅ローン金利が下げ止まった

1996年ぐらいまでの住宅の着工件数を見ると、かなり勢いがありますよね。実はこの期間は、住宅ローンの金利がどんどん下がっていた時代だったんです。

 

平成3年〜7年で、一気に住宅ローン金利が下がった

住宅ローン金利の推移

(参考:住宅金融支援機構)

 

そのため、同じ3,000万円の家を買う場合でも、月々の支払いが一気に楽になりました。

 

35年返済とすると

・金利6%:月々17万円(全部で7,200万円)

・金利3%:月々11.5万(全部で4,800万円)

になるわけです。

 

しかも、1997年には消費税が5%に増税される予定でしたので、それまで買えなかった人が、一気に駆け込むように家を建てたのです。

そのため、それ以降の住宅を買う人が一気に減ったんですね。

 

ⅱ 年収が減った(298万円→267万円)

年収のピークは1998年で、そこから公示地価とともに、なだらかに下げ始めました。

買いたい人は、97年の増税前に買っていましたし、その後の年収の低下によって、買える人が減ってしまったんですね。

 

平均年収が減って、住宅の着工件数も減ってしまった

宮崎県の平均年収の推移

(参考:国土交通省 地価公示 総務省 市町村税課税状況等の調)

 

ⅲ 働く人が減った(20年間で44.3万→41.0万人)

宮崎県の就業者数(仕事をしている人)を調べてみると、1995年に58.2万人いましたが、2000年には56.7万人と1.5万人も減っていました。

団塊の世代が退職を始めたのは2007年ごろからです。

 

それよりも5年以上も早い時期から下げているということは、働ける若い人が減ってきはじめたのです。

働く若い人が減ると、家を建てられる人も減りますよね。

そのため、新築の戸数も減っていく一方となってしまったのです。

 

宮崎県の就業者数の推移

(参考:国土交通省 地価公示 国勢調査 人口の労働力状態,就業者の産業・職業)

 

 土地価格が下がる理由②:郊外に家を建てられるようになった

家を建てる人も、家が建つ件数もこのようにして減っていきましたが、実際に土地価格が下がり始めたのは2002年ごろです。時間的に少しズレがありますよね。

なぜ、すぐに下がらなかったのでしょうか?

その理由は、郊外に家を建てられるようになったのが、2000年ごろからだからです。

 

2000年の都市計画法の改正で、市街化調整区域でも家が建つようになった

2000年に都市計画法が改正されました。

この法律の改正によって、市街化調整区域(主に市街地から離れた農地)でも自治体がOKすれば、住宅地を作ることができるようになったのです。

 

農家の数がどんどん減ることで、土地が余ってきていた

販売農家数の推移

(参考:総務省統計局 農業構造動態調査)

 

ご覧のように、この30年で農業で生計を立てている農家の方は、半分以下に減ってしまいました。

そのため、農地を手放したい、宅地にしてアパートなどの大家をやりたい、という人が増えていたのです。

 

大店立地法で、ショッピングモールが簡単に建つようになった

ショッピングモールの駐車場

 

しかも、同じ2000年に大店立地法(大規模小売店舗立地法)も成立して、イオンモールなどの大きなショッピングモールがカンタンに建てられるようになりました。

 

・2005年5月:イオンモール宮崎

・2008年12月:イオンモール都城駅前

 

と、かなりの大規模なモールができるようになりました。

 

つまり、

・家を買う人が減った

・ショッピングセンターが増えて、郊外のどこに住んでも便利な生活ができるようになった

という理由から、市街地の土地に対する需要が減って、土地価格が下げ続けているんですね。

 

市区町村別に見ると、全体的に下落傾向

宮崎県の市区町村別の公示地価

(参考:国土交通省 地価公示)

 

市区町村単位で土地価格を見ると、全体的に下落傾向になっています。

 

また、宮崎市よりも土地価格が安く、郊外のショッピングセンターを使った方が生活しやすいと考える世帯では、宮崎市の隣の自治体に家を建てて、そこから通勤する人も多いです。

三股町の人口が増えているのは、そのためでしょう。

 

その一方で、宮崎市から離れた地域では、仕事を求めて宮崎市や大分市、熊本市などの大都市に移住する人もいます。

そのため、宮崎市とその周辺の自治体に人口が集中する状況になっているのです。

 

宮崎市とその周辺都市に人口が流入する傾向

宮崎県の人口変化率

(参考:宮崎県 推計人口と世帯数)

 

(2)上昇している地域の特徴とは?

このようにして、郊外に家が建ちやすくなり、徐々に土地価格も下げてきたわけですが、この5年間でプラスに転じてくる地域も出てきました。

 

宮崎市では、市内の再開発への期待が大きい

宮崎市は40万人の都市であり、長崎市とほぼ同じぐらいの人口があります。

しかも、この5年間の人口を比べると、ほとんど減少しておらず、かなり有望な市場だと認識されているはずです。

 

そのため、今回JR九州が、宮崎交通と共同で駅前に商業施設を建てることになったわけですが、この事業はおそらく成功するのではないかと思います。

というのも、福岡市や北九州、長崎、鹿児島、大分では、JR九州が「アミュプラザ」という駅ビル併設の商業施設を運営していますが、そのほとんどが過去最高の売り上げを示しており、かなり好調だからです。

 

その理由は、

・店舗数が多い(150〜250店舗)

・ほぼ毎日、何かしらのイベントをやっている

・若い女性にウケるようなオシャレな店舗づくり

の3点によって、常にお客さんを呼べるような仕組みができているからです。

 

ようするに、「イオンモールに勝てる魅力」があるからなんですね。

 

そして、宮崎市にもいよいよ、イオンモールに勝てるレベルの商業施設ができます。

しかも、すぐ隣にできた高層マンション「MJRザ・ガーデン宮崎駅前」もJR九州が手がけています。

マンションと商業施設の両方で勝負してきていますので、商業施設もかなり気合の入ったものになるはずです。

 

すでに半分売れているようです

MRJザ・ガーデン宮崎駅前

(参考:JR九州 MRJザ・ガーデン宮崎駅前)

 

【住宅地】宮崎駅前の住宅地「宮崎市大橋1丁目109番」では、5年で2.5%の上昇

赤、青、黄色の家のマークが、宮崎駅周辺で上昇している地点です。それぞれ、

 

赤色:宮崎市大橋1丁目(2.5%)

黄色:宮崎市江平東(2.2%)

青色:宮崎市堀川町(2.0%)

 

と、まだ上昇率は控え目です。

 

2、これから宮崎県の土地価格はどうなるのか?

このような状況にある宮崎県の土地価格ですが、今後はどうなるのでしょうか?

郊外に土地が建つ流れは、なかなか変わりませんし、この5年間で宮崎県の人口は4万人以上減っています。

 

そう考えると、

・宮崎市の中心部では、商業地とその周辺の住宅地で土地価格が上昇

・宮崎市内でも郊外の住宅地では、土地価格は下落

・宮崎市の周辺の自治体には人が流れるので、土地価格は安定

・それ以外の地域では、人が出て行くので土地価格は下落

という傾向は、当分続くのではないでしょうか。

 

ただし、それ以外にもう1点だけ、注意が必要なポイントがあります。

それが「立地適正化計画」です。

立地適正化計画で、中心部に公共サービスが集中

立地適正化計画とは、「住んで欲しい地域(居住誘導区域)」と「そうでない地域」にわけることで、今後の行政サービスや商業施設の建設に格差をつけようとする計画です。

 

これまで多くの都市では、市の中心部を魅力的にしていくことで、郊外に住んでいる人たちを市街地に呼び寄せようと働きかけてきました。

アメとムチで言えば、アメの政策ですね。

 

ですが、車での移動が基本の多くの自治体では、いくら中心地を再開発しても、郊外に人が流れてしまい、効果があまりありませんでした。

そこで、今後は、郊外のエリアの行政サービスを減らして不便にすることで、市街地に呼び寄せようと働きかけようとしているのです。

アメとムチで言えば、ムチの政策です。

 

例えば、

・バスの運行を減らす

・ニュータウンや、商業施設を建てる場合には届け出が必要

・福祉センターなどの公共施設の削減

などが進められていくのです。

 

 都城市の立地適正化計画のイメージ

都城市の立地適正化計画

 

(参考:都城市 立地適正化計画)

 

上の図は、都城市の立地適正化計画のイメージ図です。青線とピンクで囲まれたエリアが優先地域(都市機能誘導区域)になります。

このエリアを中心に、住宅地の優先エリア(居住誘導区域)を今後設定していく計画のようです。

 

車での移動を基本とする若い世代はあまり困らないかもしれませんが、バスや車の運転がきつくなってくる高齢者にとっては、これらのエリア内に移住しないと何かと不便に感じるようになるかもしれません。

 

この点については、こちらの記事で詳しく解説しましたので、ご参考ください。

「立地適正化計画」で売れなくなる不動産を見分ける方法
立地適正化計画の詳しい内容と、その影響について解説します。売れなくなる不動産を見分ける際の参考になるはずです。

 

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この記事で、大まかな傾向については解説しましたが、実際に検討する場合には、もっと具体的な情報が必要でしょう。

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