宮城県で土地価格が上がる不動産の特徴とは?今後はどうなる?

宮城県

宮城県のここ5年間の土地価格を見ると、住宅地で12.5%の上昇と全国で最も高い上昇率を示していました。

同じ東北の秋田県が15%以上も下落していることを考えると、かなり格差が拡大している印象です。

 

宮城県の公示地価の推移

(参考:国土交通省 地価公示)

 

その理由は、復興需要の効果でしょう。

2011年から2017年までの6年間で、約33兆円ものお金が、復興費用として宮城、福島、岩手の3県に使われました。

 

復興予算の執行状況

(参考:復興庁 予算の執行状況)

 

それまで0.4倍台だった求人倍率も1倍を超え、多くの仕事が生まれていますし、新しく家を建てる人も増えましたので、土地価格が上昇したのです。

 

ですが、宮城県の公示地価575地点を詳しく調べてみたところ、この5年間で50%以上の上昇している地点もあれば、10%近く下落している地点もありました。

同じ県内でも、かなり土地価格の動きに格差が広がっているのです。

 

そこで、この記事では、過去30年間の宮城県の土地価格を追いかけることで、

  • なぜ、宮城県の住宅地は、20年連続で下げ続けたのか?
  • この5年間で上昇している不動産の特徴は何か?
  • 今後の宮城県の土地価格がどうなるのか?

について、解説していきます。

 

不動産を買いたい人にも、売りたい人にも参考になるはずです。

 

1、これまでの宮城県の土地価格の動き

最初に宮城県の過去30年間の土地価格の流れを追っていきます。

この大きな流れを知ることで、「どんな地域が下げているのか?」その理由がわかるはずです。

(1)宮城県の土地価格が、20年間も下げ続けた理由とは?

1989年の大納会で、日経平均は38,915円の史上最高値をつけ、これが株式市場のピークとなりましたが、不動産市場はもう少しあとの1991年(平成3年)が全国的なピークでした。

 

宮城県の公示地価(住宅地)も、ほぼ同時期で平成3〜4年ごろがピークとなっています。全国平均よりもはるかに上昇したようですね。

 

 宮城県の公示地価(住宅地)は、平成3〜4年ごろがピーク

宮城県の過去30年間の土地価格の推移

(参考:国土交通省 地価公示)

 

それから、2012年まで、ほぼ20年間の下落が続きました。

 

その大きな理由は3つあります。

  • 不良債権処理と公共事業の削減で、不動産市場が崩壊
  • 家を建てる人が減った
  • 郊外に家を建てられるようになった

の3点です。

 

 土地価格が下がる理由①:不良債権処理と公共事業の削減で、不動産市場が崩壊

土地バブルの崩壊が崩壊して、金融機関が本格的に危なくなったのが1997〜1998年ごろでした。

 

経営破綻した金融機関
1997年・(11月)三洋証券

・(11月)北海道拓殖銀行

・(11月)山一證券

・(11月)徳陽シティ銀行

1998年・(10月)長銀

・(12月)日債銀

 

これ以上、金融機関がつぶれてしまっては日本はヤバイ!ということで、現在の金融庁が作られ、貸出先を厳しく審査するようになりました。

その結果、経営が危ない企業に対してお金を貸すことを止める「貸し剝がし」が起きて、余計に景気が悪化しました。

 

金融機関の「貸し剝がし」と宮城県の公示地価の下落は一致している

宮城県の公示地価と貸出残高

(参考:日銀 時系列統計データ検索サイト)

 

さらに、2001年には小泉政権が誕生して、「構造改革」という名の下に、公共事業費が一律10%カットされました。

その後も、年金や医療費などの社会保障費も増え続けているため、公共事業に回すお金がどんどん減らされていきました。

 

その結果、宮城県の年間9,000億円以上あった行政投資額(公共事業など)が、震災前には3,000億円台にまで減ってしまったのです。

 

宮城県の行政投資は、9,000億円→3,000億円台まで激減

宮城県の行政投資額

(参考:国土交通省 地価公示 総務省統計局 行政投資実績)

 

しかし、その行政投資額も、復興予算が下りるようになったおかげで、2016年には1兆3,000億円以上に膨れ上がり、土地価格も上昇基調に転じてきたわけですね。

 

 土地価格が下がる理由②:郊外に家が建てやすくなった

また、2000年ごろから、郊外に家がどんどん建てやすくなりました。

 

大店立地法で、ショッピングモールが簡単に建つようになった

ショッピングモールの駐車場

 

2000年に大店立地法(大規模小売店舗立地法)が成立して、イオンモールなどの大きなショッピングモールがカンタンに建てられるようになりました。

  • 2000年4月:イオンモール利府
  • 2007年2月:イオンモール名取
  • 2007年3月:イオンモール石巻
  • 2008年10月:仙台泉アウトレットモール

と、かなりの大規模なモールができるようになりました。

 

 土地価格が下がる理由③:家を建てる人が減った

宮城県のこの30年間の土地価格と、持ち家(戸建て・マンション)の着工戸数を調べてみると、それまでは18,000戸を越えていた着工戸数が、1997年(平成9年)には15,000戸、その後は6,000〜7,000戸台にまで一気に減ってしまいました。

震災後は1万戸前後まで回復していますが、少しずつ減少傾向にあります。

 

家を建てる人が、ほぼ半分に減ってしまった

宮城県の新築の戸数の推移

(参考:国土交通省 地価公示 総務省統計局 建設着工統計)

 

その理由は、家を建てられる人が減っているからです。

 

働く人が減った(20年間で116万→108万人)

宮城県の就業者数(仕事をしている人)を調べてみると、1995年に116万人いましたが、2000年から2010年にかけて115万人から106万人と9万人も減少しました。

2000年からの減少は、公共事業の削減によって仕事が減った時期と一致します。

それが震災からの復興需要によって、少しずつ戻りつつあるのが現状です。

 

宮城県の就業者数の推移

(参考:国土交通省 地価公示 国勢調査 人口の労働力状態,就業者の産業・職業)

 

しかし、年代別の人口を見ると、家を買う年代の30代人口は、2010年ごろまで増えていますが、2010年代に入ってからは、かなり急激な減少を見せています。

公共事業で仕事は増えているものの、少子高齢化の影響もあって、買い手となる世代が減る一方なのです。

 

家を買う世代の30代人口は、この10年で32.8万人→28.6万人まで減少

宮城県の30代人口

(参考:総務省統計局 建設着工統計 総務省 住民基本台帳に基づく人口))

 

そのため、住宅の着工戸数もジリジリと減りつつあります。

 

つまり、

  • 家を建てる人が減っている
  • ショッピングセンターが増えて、郊外のどこに住んでも便利な生活ができるようになった

という理由から、市街地の土地に対する需要が減って、土地価格が下げ続ける傾向にあったわけですね。

 

2、この5年間の宮城県の土地価格の動き

しかし、このような流れも、震災によって変化しました。

復興予算がついて公共事業が復活したため、仕事も増えたからです。

ここからは、市町村別に詳しく見ていきたいと思います。

 

(1)震災後の仙台市への人口流入で、仙台市の経済が拡大した

過去5年間の公示地価(住宅地)の動きを見ると、仙台市を中心に、その周辺へと土地価格の上昇が広がっているような印象です。

また、石巻市や気仙沼市などに被災地でも、公示地価が上昇しています。

 

宮城県の過去5年間の公示地価の変化率

宮城県の公示地価の変化率

(参考:国土交通省 地価公示)

 

では、人口はどう変化しているのかというと、このように仙台市への一極集中が進んでいました。

被災地では沿岸部から高台へ、住む場所を変える動きがありましたが、人口そのものは減少傾向にありました。

 

宮城県の過去5年間の人口の変化率

宮城県の5年間の人口変化率

(参考:宮城県 市区町村別推計人口)

 

復興需要を担う業者の多くは仙台市にあるでしょうし、仕事を失った方々が、職を求めて仙台市に移り住んだというケースも多かったでしょう。

人が増えると、建物が必要になりますし、人が生活するためのいろいろなサービスのための仕事が増えます。

 

例えば、仙台市のサービス業の年間生産額は、震災以降の3年間で1,000億円も増えました。人が増えることで、仙台市の経済が大きく拡大しているのです。

 

仙台市のサービス業の生産額

(参考:データで見る仙台の産業)

 

3、これから宮城県の不動産はどうなるのか?

このような状況の中で、宮城県の今後の土地価格に影響を与える要素が2つあります。

それは、

  • 復興事業による公共工事
  • 仙台市への一極集中

の2点です。

 

(1)復興事業による公共工事は、どうなるのか?

冒頭でご紹介したように、震災による復興予算は、年々減少傾向にあります。

復興特別税は2037年末までですので、あと20年ほどは復興予算がつくことになりますが、復興特別税は年間約3,700億円しかありません。

 

復興関連予算の歳入内訳

(参考:復興庁 予算の執行状況)

 

また、東電からの回収金は、主に福島の原発関連の費用に充てられるものですから、公共事業としての土木工事や住宅建設については、今後減少していくでしょう。

それ以外のお金は、国の財政状況によって影響を受けるため、今後は減っていくはずです。

 

宮城県に限らず、地方の経済は公共事業によって何とか保ててきた側面があります。

ですから、今後の復興予算の縮小ペースにもよりますが、徐々に景気も萎んでいくのではないでしょうか?

 

(2)仙台市への一極集中が進む

しかし、復興関連予算の規模もまだ数兆円規模と大きいですし、仙台市への人口の流入も引き続き続いています。

そのため、仙台市への一極集中は、今後も続いていくでしょう。

 

そうすると増えてくるのが、賃貸物件へのニーズです。

仙台市の不動産業の売り上げは年々増加傾向にありますが、これは賃貸物件の取り扱い数が増えているからです。

 

仙台市へ移り住む人が多いため、賃貸手数料が増えている

仙台の不動産業の生産高

(参考:データで見る仙台の産業)

また、その動きに比例して、地下鉄の利用者数も年々増加傾向にあります。

 

地下鉄利用者が増加→駅近物件へのニーズが高まっている

仙台の地下鉄の利用状況

(参考:データで見る仙台の産業)

 

このような流れは止まらないでしょうから、駅から近い物件に対するニーズは引き続き強いでしょう。駅から近いエリアでは、引き続き土地価格も上昇するものと思われます。

逆に、仙台市やその周辺から離れた地域では、人口の減少が続くので土地価格は下がり続けるのではないでしょうか。

 

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