高知県で土地価格が上がったエリアは?あけぼの街道効果で意外な場所が上昇

高知市 高知県

高知県の過去5年間の土地価格を見ると、住宅地で7.6% のマイナスでした。

 

高知県の公示地価の推移

(参考:国土交通省 地価公示)

 

東京オリンピックへの期待で、外国人観光客が増加しています。

西日本ですと、空港も博多港もある福岡県に多くのアジア人観光客が押し寄せています。そのため、福岡県の住宅地では過去5年間で3.2%の上昇となっています。

 

「では、高知県には関係ないのか?」と思ってしまいますよね。

そこで、高知県の公示地価147地点を詳しく調べてみたところ、何ヶ所かプラスの地点がありました。しかも、ほぼ同じ地域に集中していたのです。

 

この記事では、過去30年間の高知県の土地価格を追いかけることで、

  • なぜ、高知県の住宅地は、17年連続で下げ続けているのか?
  • この5年間で上昇している不動産の特徴は何か?
  • 今後の高知県の土地価格がどうなるのか?

について、解説していきます。

 

不動産を買いたい人にも、売りたい人にも参考になるはずです。

 

1、これまでの高知県の土地価格の動き

(1)17年連続で土地価格が下落している理由とは?

1989年の大納会で、日経平均は38,915円の史上最高値をつけ、これが株式市場のピークとなりましたが、不動産市場はもう少しあとの1991年(平成3年)が全国的なピークでした。

 

高知県の公示地価(住宅地)はそれより10年遅く、平成13年(2001年)ごろまでがなだらかなピークでした。

 

 高知県の公示地価(住宅地)は、平成13年ごろがピーク

高知県の過去30年間の土地価格

(参考:国土交通省 地価公示)

 

それから、ほぼ17年間の下落が続いています。

 

その大きな理由は2つあります。

①家を建てる人が減った

②郊外に家を建てられるようになった

の2点です。

 

 土地価格が下がる理由①:家を建てる人が減った

家を建てる人が減れば、土地を欲しがる人が減りますので、土地価格が下がります。

高知県のこの30年間の土地価格と、持ち家(戸建て・マンション)の着工戸数を並べてみると、土地価格が下がるより前の1997年(平成9年)には、かなりの着工数が減少していたことが分かります

 

家を建てる人が減って、土地価格も下落

高知県の新築の戸数推移

(参考:国土交通省 地価公示 総務省統計局 建設着工統計)

 

では、なぜこれほど家を建てる人が減ってしまったのでしょうか?

理由は3つあります。

ⅰ 住宅ローン金利が下げ止まった

1996年ぐらいまでの住宅の着工件数を見ると、かなり勢いがありますよね。実はこの期間は、住宅ローンの金利がどんどん下がっていた時代だったんです。

 

平成3年〜7年で、一気に住宅ローン金利が下がった

住宅ローン金利の推移

(参考:住宅金融支援機構)

 

そのため、同じ3,000万円の家を買う場合でも、月々の支払いが一気に楽になりました。

 

35年返済とすると

・金利6%:月々17万円(全部で7,200万円)

・金利3%:月々11.5万(全部で4,800万円)

になるわけです。

 

しかも、1997年には消費税が5%に増税される予定でしたので、それまで買えなかった人が、一気に駆け込むように家を建てたのです。

そのため、それ以降の住宅を買う人が一気に減ったんですね。

 

ⅱ 年収が減った(318万円→275万円)

年収のピークは1998年になだらかに下げ始めました。公示地価も2001年がピークなので、だいたい同じタイミングです。

買いたい人は、97年の増税前に買っていましたし、その後の年収の低下によって、買える人が減ってしまったんですね。

 

平均年収が減って、住宅の着工件数も減ってしまった

高知県の年収の推移

(参考:総務省統計局 建設着工統計 総務省 市町村税課税状況等の調)

 

ⅲ 働く人が減った(20年間で52.8万→45.2万人)

高知県の就業者数(仕事をしている人)を調べてみると、1995年に41万人いましたが、5年経つごとに1.5〜2万人近くの就業者が減っていきました。

働く人が減ると、家を建てられる人も減りますよね。そのため、新築の戸数も減っていく一方となってしまったのです。

 

高知県の就業者数

(参考:総務省統計局 建設着工統計 国勢調査 人口の労働力状態,就業者の産業・職業)

 

 土地価格が下がる理由②:郊外に家を建てられるようになった

家を建てる人も、家が建つ件数もこのようにして減っていきましたが、実際に土地価格が下がり始めたのは2000年ごろです。時間的に少しズレがありますよね。

なぜ、すぐに下がらなかったのでしょうか?

その理由は、郊外に家を建てられるようになったのが、2000年ごろからだからです。

 

2000年の都市計画法の改正で、市街化調整区域でも家が建つようになった

2000年に都市計画法が改正されました。

この法律の改正によって、市街化調整区域(主に市街地から離れた農地)でも自治体がOKすれば、住宅地を作ることができるようになったのです。

 

農家の数がどんどん減ることで、土地が余ってきていた

販売農家数の推移

(参考:総務省統計局 農業構造動態調査)

 

ご覧のように、この30年で農業で生計を立てている農家の方は、半分以下に減ってしまいました。

そのため、農地を手放したい、宅地にしてアパートなどの大家をやりたい、という人が増えていたのです。

 

大店立地法で、ショッピングモールが簡単に建つようになった

ショッピングモールの駐車場

 

しかも、同じ2000年に大店立地法(大規模小売店舗立地法)も成立して、イオンモールなどの大きなショッピングモールがカンタンに建てられるようになりました。

 

2000年12月にイオンモール高知ができて、みんなそっちに行ってしまいましたよね。

 

つまり、

・家を買う人が減った

・ショッピングセンターが増えて、郊外のどこに住んでも便利な生活ができるようになった

という理由から、市街地の土地に対する需要が減って、土地価格が下げ続けているんですね。

 

香美市の中心部に近い「土佐山田町百石町」では、5年で1.6%の上昇

 

 

このように下げ続けている土地価格ですが、一部では上昇している地域もありました。

それが、上の地図の下の赤色、青色の家のマークの地点です。

 

赤色:香美市土佐山田町百石町(1.6%)

青色:香美市土佐山田町西本町(0.9%)

 

と微々たる上昇率ですが、全ての地域が下げるわけではないようです。

では、なぜ上昇したのでしょうか?

その理由は、おそらく「あけぼの街道」の開通でしょう。

 

あけぼの街道

(参考:高知県 国道195号あけぼの街道(高知バイパス)の開通状況)

 

あけぼの街道が開通したことで、香美市と高知市までの移動が格段に便利になりました。そのため、あけぼの街道へアクセスしやすく、生活にも便利な市街地への需要が上がったものと思われます。

 

最近ですと、北陸新幹線が開通して、金沢や富山の土地価格が上昇していますが、影響力は小さいながらも、同じような期待から上昇しているのでしょう。

高知県で今後上昇してくる土地は、このように以前よりも便利になっていく場所や、大型のショッピングセンターの周辺になってくるでしょう。

 

2、これから高知県の土地価格はどうなるのか?

このような状況にある高知県の土地価格ですが、今後はどうなるのでしょうか?

郊外に土地が建つ流れは、なかなか変わりませんし、この5年間で高知県の人口は3.5万人以上減っています。

おそらく、今後もこの流れは続くでしょう。

 

ただし、1点だけ、注意が必要なポイントがあります。それが「立地適正化計画」です。

(1)立地適正化計画で、中心部に公共サービスが集中

立地適正化計画とは、「住んで欲しい地域(居住誘導区域)」と「そうでない地域」にわけることで、今後の行政サービスや商業施設の建設に格差をつけようとする計画です。

 

これまで多くの都市では、市の中心部を魅力的にしていくことで、郊外に住んでいる人たちを市街地に呼び寄せようと働きかけてきました。

アメとムチで言えば、アメの政策ですね。

 

ですが、車での移動が基本の多くの自治体では、いくら中心地を再開発しても、郊外に人が流れてしまい、効果があまりありませんでした。

そこで、今後は、郊外のエリアの行政サービスを減らして不便にすることで、市街地に呼び寄せようと働きかけようとしているのです。

アメとムチで言えば、ムチの政策です。

 

例えば、

・バスの運行を減らす

・ニュータウンや、商業施設を建てる場合には届け出が必要

・福祉センターなどの公共施設の削減

などが進められていくのです。

 

 高知市の立地適正化計画のイメージ

高知市の立地適正化計画

(参考:高知市 立地適正化計画)

 

上の図は、高知市の立地適正化計画のイメージ図です。青色で塗られたエリアが優先地域(居住誘導区域)になります。

市街化区域の中でも、赤色の部分が区域「外」となりますし、それ以外のエリアはそもそもの対象外ということになります。

 

車での移動を基本とする若い世代はあまり困らないかもしれませんが、バスや車の運転がきつくなってくる高齢者にとっては、このエリア内に移住しないと何かと不便に感じるようになるでしょう。

 

そのため、今後はこのエリア「内」とエリア「外」では、土地価格に大きな格差がつくのではないでしょうか。

この点については、こちらの記事で詳しく解説しましたので、ご参考ください。

「立地適正化計画」で売れなくなる不動産を見分ける方法
立地適正化計画の詳しい内容と、その影響について解説します。売れなくなる不動産を見分ける際の参考になるはずです。

 

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