石川県で土地価格が上がる不動産の特徴とは?今後はどうなる?

金沢市 石川県

石川県のここ5年間の土地価格を見ると、住宅地で4.4%のマイナスでした。

富山県が1番下落率が低く、福井県、新潟県が同じように下落しています。

 

石川県の公示地価の推移

(参考:国土交通省 地価公示)

 

石川県と富山県は、北陸新幹線の影響が大きかったのでしょう。ですが、その割には土地価格が上昇していないように見えますよね。

 

そこで、石川県の公示地価228地点を詳しく調べてみたところ、なんと30%以上も上昇している住宅地がありました。

同じ市の中でも上がっているところ、下がっているところの格差が大きくなっているため、なかなか気づきにくくなっているのです。

 

この記事では、過去30年間の石川県の土地価格を追いかけることで、

  • なぜ、石川県の住宅地は、23年連続で下げ続けているのか?
  • この5年間で上昇している不動産の特徴は何か?
  • 今後の石川県の土地価格がどうなるのか?

について、解説していきます。

 

不動産を買いたい人にも、売りたい人にも参考になるはずです。

 

1、これまでの石川県の土地価格の動き

(1)23年連続で土地価格が下落している理由とは?

全国の土地価格のピークは1991年(平成3年)でしたが、石川県の土地価格のピークは、その4年後の平成7年(1995年)でした。

しかも、そこからの下落ペースは2000年ぐらいまでは緩やかでした。

かなり安定していたんですね。

 

 石川県の公示地価(住宅地)は、平成7年ごろがピーク

石川県の過去30年間の公示地価の推移

(参考:国土交通省 地価公示)

しかし、そこから石川県の土地価格は、23年連続の下落を続けています。

 

その大きな理由は3つあります。

  • 不良債権処理と公共事業の削減で、不動産市場が崩壊
  • 家を建てる人が減った
  • 郊外に家を建てられるようになった

の3点です。

 

 土地価格が下がる理由①:不良債権処理と公共事業の削減で、不動産市場が崩壊

土地バブルの崩壊が崩壊して、金融機関が本格的に危なくなったのが1997〜1998年ごろでした。

 

経営破綻した金融機関
1997年・(11月)三洋証券

・(11月)北海道拓殖銀行

・(11月)山一證券

・(11月)徳陽シティ銀行

1998年・(10月)長銀

・(12月)日債銀

 

上に挙げた以外にも、多くの信金・信組が破綻しました。

これ以上の破綻を食い止めるために、現在の金融庁が作られ、貸出先を厳しく審査するようになりました。

 

その結果、経営が危ない企業に対してお金を貸すことを止める「貸しはがし」が起きて、余計に景気が悪化していきました。

 

金融機関の「貸しはがし」と土地価格の本格的な下落は、ほぼ同じタイミング

石川県の公示地価と金融機関の貸出残高

(参考:日銀 時系列統計データ検索サイト)

 

さらに、2001年には小泉政権が誕生して、「構造改革」という名の下に、公共事業がどんどん減らされ、その流れは民主党政権にまで続きました。

 

その結果、石川県の年間に6,000億円以上あった行政投資額(公共事業など)が、2,000億円台にまで減ってしまったのです。

 

石川県の行政投資額は、6,000億円→2,000億円台まで激減

石川県の行政投資額

(参考:国土交通省 地価公示 総務省統計局 行政投資実績)

 

グラフを見ると、下げ始めから、ほとんど同じ動きをしてますよね。

金融機関の貸出残高は、2004年以降に持ち直していますが、公共事業はその後も減り続けています。

特に公共事業への依存度の地方ほど、土地価格の下落が止まらない状況となっています。

 

 土地価格が下がる理由②:郊外に家が建てやすくなった

さらに、2000年ごろから、郊外に家がどんどん建てやすくなりました。

 

大店立地法で、ショッピングモールが簡単に建つようになった

ショッピングモールの駐車場

 

2000年に大店立地法(大規模小売店舗立地法)が成立して、イオンモールなどの大きなショッピングモールがカンタンに建てられるようになったのです。

  • 2007年11月:アピタタウン金沢ベイ
  • 2008年10月:イオンモールかほく
  • 2017年3月:イオンモール新小松

などなど、石川県でも多くのショッピングセンターが郊外にできていますよね。

そのため、わざわざ土地価格の高い市街地に家を建てる人が減ってきたのです。

 

 土地価格が下がる理由③:家を建てる人が減った

石川県の新築の戸数を見てみると、1996年までは9,000戸近くあった着工戸数も、この20年で 4,000戸台にまでほぼ半減してしまいました。

 

石川県の新築の戸数

(参考:国土交通省 地価公示 総務省統計局 建設着工統計)

 

その理由は、家を建てられる人が減っているからです。

 

働く人が減った(20年間で63万→57万人)

石川県の就業者数(仕事をしている人)を調べてみると、1995年に63万人いましたが、この20年間で57万人にまで減少しています。

働く人が減れば、家を建てる人も減りますから、着工数もどんどん減っていきました。

 

石川県の就業者数

(参考:国土交通省 地価公示 国勢調査 人口の労働力状態,就業者の産業・職業)

 

また、年代別の人口を見ると、家を買う年代の30代人口は、2007年ごろまで増えていますが、2010年代に入ってからは、かなり急激な減少を見せています。

わずか10年で12.5万人にまで、2割以上も減ってしまったのです。

 

家を買う世代の30代人口は、この10年で16.7万人→12.5万人まで減少

石川県の30代人口

(参考:総務省統計局 建設着工統計 総務省 住民基本台帳に基づく人口))

 

そのため、大都市圏ではアベノミクス効果で盛り上がっていても、石川県の住宅の着工戸数も増えない状況となっています。

 

つまり、

  • 家を建てる人が減っている
  • ショッピングセンターが増えて、郊外のどこに住んでも便利な生活ができるようになった

という理由から、市街地の土地に対する需要が減って、土地価格が下げ続ける傾向にあったわけですね。

 

2、金沢市の土地価格が上昇している理由

しかし、この5年間の土地価格の動きを見てみると、金沢市の土地価格の上昇が目立っています。

ここからは、詳しくその内容を見てみましょう。

 

(1)外国人観光客が増加している

2015年に北陸新幹線が開通して、金沢市にも観光客がたくさん来るようになりました。

それまでは、関西から温泉を求めて来るお客さんが多かったので、加賀・白山エリアの方が観光客が多かったのですが、北陸新幹線の開通で、金沢エリアの方が逆転しました。

 

特に影響が大きいのが、外国人観光客の伸びです。

下の表は、東名阪と北陸4県を除く観光客数と、全体の宿泊客数を調べたものです。

北陸新幹線が開通した2015年から、それぞれ大きく上昇しています。

このことからも、東北・北海道などからの地方客ではなく、東京観光をした後に北陸を回ってきた外国人観光客の影響だと推測されます。

 

外国人観光客数、宿泊客数ともに増えている

金沢市の観光客数の推移

(参考:金沢市 統計表 14-28・29 観光統計)

 

実感としても、外国人観光客が増えていると感じている方も多いでしょう。

兼六園の入場者数も、北陸新幹線開通後はそれまでの1.5倍、100万人も増えています。

 

兼六園の入場者数の推移

(参考:金沢市 統計表 14-27 観光統計)

 

そのため、金沢駅から兼六園にかけての市の中心部での経済活動が活発になり、仕事が増えたことでの通勤需要が生まれています。

具体的には、市の中心部の住宅地の土地価格が上昇していますし、野々市市や津幡町などの隣接する自治体での土地価格も上昇しています。

 

 石川県の過去5年間の土地価格の変化率

石川県の市区町村別の公示地価変化率

(参考:国土交通省 地価公示)

 

札幌市や福岡市などでも、同じようなことが起こっています。

札幌駅、福岡駅周辺の商業地が盛り上がって来ることで、通勤も生活もしやすい郊外の市の土地価格が上昇しています。

鉄道が発達しているところでは、駅近のマンション価格が上昇しているところもあります。

 

 石川県の過去5年間の人口は、もっと広範囲で増えている

石川県の市区町村別の人口の変化率

(参考:石川県 市区町村別推計人口)

 

過去5年間の人口の変化を見ると、もっと広範囲で増えていますが、郊外に家が建つと土地価格は上がりません。

そのため、金沢市周辺以外では、人口増加が土地価格の上昇にまでつながっていないようですね。

 

3、これから石川県の不動産はどうなるのか?

このような状況の中で、石川県の今後の土地価格に影響を与える要素が2つあります。

それは、

  • オリンピック後の観光客数の変化
  • 2025年問題で公共事業がさらに減る

の2点です。

 

(1)オリンピック後の観光客数は、他国の例では減っていない

外国人観光客数の増加によって、商業地を中心ににぎわっている金沢市周辺ですが、気になるのは、「オリンピック後の外国人観光客数がどうなるか?」ですよね。

過去のオリンピックと外国人観光客数の関係を調べた調査があるのですが、それによると、オリンピックが終わって観光客数が減ったところはないようです。

 

開催国のオリンピック前後の観光客数

オリンピック開催国の外国人観光客数の推移

(参考:国土交通省 観光庁 *PDFファイル)

 

ですから、引き続き商業地を中心に、にぎわいは続くと見ていいでしょう。

逆を言えば、これまでの金沢市への一極集中していた状況が続くとも言えます。

そのため、これらの地域から離れたところでは、人口も土地価格の下落も進んでいくのではないでしょうか?

 

(2)2025年問題で、公共事業費がさらに減る

2025年問題とは、

「人口の多い団塊の世代が、75才以上の後期高齢者になることで、社会保障費が一気に増えて国の予算を圧迫する」

という問題です。

 

日本の社会保障費は、2025年に121.3→140.4兆円へと増える

日本の社会保障費の推移

(出典:2040年を見据えた社会保障の将来見通し(内閣府) 社会保障費用統計(国立人口問題研究所)

 

これまでも、社会保障費が増加してきたことが理由で、公共事業がどんどん削られてきました。

その社会保障費がさらに増えるわけですから、石川県の公共事業は、今後さらに減っていくことになるでしょう。

 

社会保障費の増加に合わせて、公共事業も削られてきた

社会保障費と行政投資額の推移

(参考:国立社会保障・人口問題研究所 総務省統計局 行政投資実績)

 

そのため、公共事業に依存している地域では、今以上に住みにくくなるでしょう。土地価格の下落傾向も続くのではないでしょうか。

 

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