神奈川県で土地価格が上がる不動産の特徴とは?今後はどうなる?

神奈川県

アベノミクス効果、東京オリンピック期待もあって、都内の住宅地でも、5年間で8.9%も上昇しました。

しかし、神奈川県を含め、その周辺の3県では、1%前後の上昇しかしていませんでした。

 

神奈川県の公示地価(住宅地)の推移

(参考:国土交通省 地価公示)

 

そこで、神奈川県の公示地価1,787地点を詳しく調べてみたところ、この5年間で10%以上も上昇している住宅地が、170地点近くもありました。

ですが、同じ市内でも、上昇している地点と下落している地点の格差が広がっていました。

 

そのため、

「どこに買えばいいのか?」

「まだ上がるのか?今が売り時なのか?」

がわかりにくくなっているのが現状です。

 

そこで、この記事では、過去30年間の神奈川県の土地価格を追いかけることで、

  • なぜ、神奈川県県の住宅地は、17年連続で下げ続けているのか?
  • この5年間で上昇している不動産の特徴は何か?
  • 今後の神奈川県の土地価格がどうなるのか?

について、解説していきます。

 

神奈川県の不動産市場が、どのように動いてきて、これからどのように動くのか、が理解できれば、今後の購入、または売却の役に立つはずです。

 

1、これまでの神奈川県の土地価格の動き

最初に神奈川県の過去30年間の土地価格の流れを追っていきます。

この大きな流れを知ることで、「どんな地域が下げているのか?」その理由がわかるはずです。

 

(1)神奈川県の土地価格が、27年間も下げ続けている理由とは?

全国の住宅地を見ると、1991年(平成3年)が1番高い時期だったようです。

しかし、神奈川県の公示地価(住宅地)もピークは昭和63年で、東京都と同じタイミングでピークを打ち、平成3年から本格的に下げ始めました。

 

 神奈川県の公示地価(住宅地:青線)は、昭和63年がピーク

神奈川県の過去30年間の公示地価

(参考:国土交通省 地価公示)

 

それから、2006年まで、15年間下げ続け、その後も横ばいが続いています。

 

その大きな理由は3つあります。

  • 不良債権処理で、不動産市場が崩壊
  • 宅地の拡大が止まらない
  • 家を建てる人が減った

の3点です。

 

 土地価格が下がる理由①:不良債権処理で不動産市場が崩壊

不動産バブルの1991年(平成3年)からの数年を除くと、大きく下げ始めたのは1998年ごろからでした。

1997年の11月に山一證券が破綻、拓銀や日債銀行など、大手都市銀行もつぶれて、不良債権問題が大きくなり始めていたタイミングと一致します。

 

神奈川県の公示地価と貸出残高

(参考:国土交通省 地価公示) 日銀 時系列統計データ検索サイト)

 

この頃は、金融機関による「貸し剝がし」が話題になってましたよね。

多くの会社がこの貸し剝がしによって倒産してしまい、借入れの担保としていた自宅や工場などの不動産が競売に出されました。

 

競売では、通常の相場の6〜8割で売却されてしまいますので、不動産市場はどんどん下がっていきます。

その結果、土地価格がどんどん下がっていったのです。

 

 土地価格が下がる理由②:宅地の拡大が止まらない

土地価格が下がれば、買う人が増えてきます。

ですが、神奈川県の着工戸数を見ると、2005年ぐらいまで、かなりの数の家が建っているのに、土地価格は下げ続けていきました。

なぜでしょうか?

 

神奈川県の新築の戸数推移

(参考:国土交通省 地価公示 総務省統計局 建設着工統計)

 

その理由は2つあります。

 

ⅰ そもそも、宅地がどんどん増えている

1つは、宅地がどんどん広がっているからです。

市街地にある農地が宅地になった分もありますし、市街地から離れたエリアでも宅地化が進んでいるため、土地が足りなくなることがなかったのです。

 

神奈川県の宅地の面積推移

*市街化区域農地には、介在田畑を含む。

*1993年に農地面積が大きく減少しているのは、生産緑地になって対象外となったため

(参考:総務省 固定資産の価格等の概要調書)

 

横浜、川崎は、マンションが増えて郊外→駅近にシフト

ちなみに、この11年間の間に川崎市と横浜市の人口は、

  • 川崎市:122→139万人(+17万人)
  • 横浜市:334→365万人(+21万人)

と、かなり人口が増加していることがわかります。

 

1980〜90年代に人気のあったエリアは、郊外の一戸建てでした。

奥さんは家で子育てをして、旦那さんは1〜2時間かけて会社に行くというスタイルだったからです。

 

ですが、横浜市や川崎市に多くのマンションが建つことで、もっと仕事場にも近くて、生活に便利なエリアに住むことができるようになりました。

2008年まで住宅の着工戸数に占めるマンションの比率はかなり高く、40%以上を越えていました。その多くが横浜や川崎で建てられたものです。

 

神奈川県の着工戸数とマンション比率

(参考:総務省 住宅着工統計)

 

そのため、横浜市や川崎市の郊外エリアの人気が下がり、土地価格の下落につながってしまっているのです。

 

ⅱ 横浜市、川崎市以外では、逆に郊外に家を建てるようになった

都心への通勤に便利な横浜市や川崎市では、駅の近くに住めるマンションが人気となりましたが、それ以外の地域では逆に駅から離れたエリアでの住宅の建設が進みました。

 

県内で働く場合には、車での移動が基本の方も多いですから、狭い市街地に住むよりも、広い家が建てられる郊外の方が住みやすいですからね。

しかも、法律による後押しもありました。

 

2000年の都市計画法の改正で、市街化調整区域でも家が建つようになった

2000年に都市計画法が改正されました。

この法律の改正によって、市街化調整区域(主に市街地から離れた農地)でも自治体がOKすれば、住宅地を作ることができるようになったのです。

 

大店立地法で、ショッピングモールが簡単に建つようになった

ショッピングモールの駐車場

 

さらに、同じ2000年に大店立地法(大規模小売店舗立地法)も成立して、イオンモールなどの大きなショッピングモールがカンタンに建てられるようになりました。

 

・2001年11月:イオンモール大和

・2003年3月:湘南モールフィル

・2007年12月:トレッサ横浜

・20011年11月:テラスモール湘南

 

などなど、かなりの大規模なモールができるようになりました。

駅前で駐車料金を払って買い物をするよりも、郊外のショッピングモールで買い物をした方がいいという人が増えていったのです。

 

 土地価格が下がる理由③:家を建てる人が減った

そのような流れの中で、さらに追い討ちをかけるように、家を建てる人が減ってきました。

2008年ぐらいまでは5〜7万戸ぐらいあった着工戸数が、リーマンショック後の2009年以降はほぼ4万戸台で横ばいになってしまったのです。

 

神奈川県の着工戸数は、6万戸→4万戸の3割減へ

神奈川県の新築の戸数推移

(参考:国土交通省 地価公示 総務省統計局 建設着工統計)

 

なぜこれほど家を建てる人が減ってしまったのでしょうか?

 

家を建てる世代が減った

家を建てる人の平均年齢は、戸建てで36.9才だそうです。住宅ローンの返済期間もありますし、建てるとするならば30代の比率が多いでしょう。

ですが、神奈川県の30代の人口は、2007年にピークを打っていました。ちょうど、住宅の着工戸数が落ち始めるタイミングだったんですね。

 

神奈川県の30代人口の推移

(参考:総務省統計局 建設着工統計 総務省 住民基本台帳に基づく人口))

 

ようやくこの5年ぐらいで明るい話題も出てきましたが、すでに116万人→91万人(2007年→2017年)と25万人近くも減ってしまっていました。

そのため、買い手も減っているため、着工戸数も伸びないのです。

 

つまり、

  • 不良債権問題で、市街地の不動産が投げ売りされた
  • 宅地がどんどん増えていって、以前からある土地が求められなくなった
  • 家を買う若い人が減った

という理由から、「都心部に近い便利な場所」と「それ以外の郊外」で土地価格の二極化が進んでしまったのです。

 

2、この5年間の神奈川県の土地価格の動き

この5年間を市区町村別の土地価格の動きを実際に見てみることで、これまでの説明が当てはまるか確かめてみましょう。

 

(1)都心部ほど、土地価格が上昇している

過去5年間の公示地価(住宅地)の動きを見ると、商業地だけでなく、住宅地においても横浜市と川崎市を中心に上昇しています。

やはり、都心回帰の傾向は、この5年間も継続しています。

 

神奈川県の過去5年間の公示地価の変化率

神奈川県の公示地価の変化率の分布

(参考:国土交通省 地価公示)

 

全国の不動産価格指数を見ても、この5年間で上昇したのは、戸建てではなくマンションでした。

 

不動産価格指数

(参考:国土交通省 不動産価格指数(住宅地))

 

「職住近接」という言葉をたまに聞きますよね。共働きで子持ちの世帯では、保育園への送り迎えなども考えると、通勤に時間をかけてられません。

そのため、職場に近い駅近のマンションが人気化したため、オフィス街に近い地域の住宅地も一緒に上昇してしまった、という状況なのです。

 

(2)都心部ほど、人口も増加している

一方で、人口の増加エリアは、都心部に近い川崎・横浜エリアと湘南エリアの2つに分かれています。

車での移動が基本で、県内で働く人にとっては、もっと安く住めて、生活にも便利な湘南エリアが人気なのでしょう。

 

神奈川県の過去5年間の人口の変化率

神奈川県の人口変化率の分布

(参考:神奈川県 人口統計調査)

 

厚木市や伊勢原市、綾瀬市などでは、人口が増えていますが、土地価格は下落しています。

郊外への住宅地が郊外に作られていくことで、以前からある市街地の土地価格が下落しているためでしょう。

 

(3)同じ地域でも、駅からの距離によって、上昇率が違う

職場に近い利便性の良い場所に人が増えているのであれば、駅から近い地域の方が人気が出ますよね。

過去5年間の公示地価(住宅地)の変化率を駅からの距離(1分=80m)で分けて調べてみたところ、駅からの距離が離れていくほどに、上昇率が下がっていく傾向にありました。

 

駅からの距離で見たときの公示地価(住宅地)の上昇率

 5分以内5-10分以内10-15分以内15-20分以内20-25分以内25-30分以内30分以上
横浜市12.0%10.1%7.5%4.2%1.9%1.3%0.4%
川崎市10.3%10.4%5.5%5.8%1.9%1.3%1.9%
その他-1.6%0.7%-2.0%-3.1%-4.3%-6.6%-7.3%
神奈川県全体6.0%6.1%3.4%0.5%-1.5%-3.3%-5.1%

(出典:国土数値情報ダウンロードサービス)

 

横浜市、川崎市でも、20分以上離れたあたりから、需要が一気に鈍るようです。

その他の市区町村では、10分以上かかるところはかなり人気がなくなってきているようですね。

 

2、オリンピック後の神奈川県の不動産はどうなるのか?

このような状況の中で、神奈川県の今後の土地価格に影響を与える要素が2つあります。

それは、

  • オリンピック選手村のマンションが大量放出
  • 2022年問題

の2点です。

 

(1)選手村に使われるマンション約5,000戸が、大量供給される

東京オリンピック後の土地価格は神奈川県内にも影響を与えるでしょう。

というのも、オリンピック後に選手村にかなりのマンションが放出されるからです。

「お買い得マンション」が五輪後にかつてないほど増えそうな理由
2020年の東京五輪・パラリンピックを機に、東京では過去に例がないほど大量のマンション供給が行われる可能性がある。しかもそれはかなり「お買い得」なはずだ。公開抽選で誰にでもチャンスが生まれる可能性が高い。どうしてそうなりそうか、説明しよう。

 

「都心は高すぎるから、神奈川の少し安いところにマンションを買って、そこから通勤しよう」というニーズを神奈川から奪ってしまう可能性があるのです。

通勤目的で買われているマンションは、影響を受けるでしょうね。

 

(2)2022年問題で、生産緑地が宅地に解禁になる

2022年問題とは、

「都市部にある農地が、宅地に解禁になることで、土地価格や家賃が下落するだろう」

と言われている問題です。

 

生産緑地

→全国に約3,989万坪、戸建てで約133万戸分の広さになります。

生産緑地が解禁になる2022年問題で、日本の不動産はどうなるのか?
生産緑地が解禁になる2022年問題によって、どのような影響が起こるのか?どこの市町村に多く分布しているのか?を解説します。

 

実は、神奈川県はこの生産緑地が東京、大阪、埼玉に次いで4番目に多く、しかも横浜市や川崎市に多いのです。

神奈川県の生産緑地の分布

神奈川県の生産緑地の分布

(出典:都市計画区域、市街化区域、地域地区の決定状況)

 

1ヘクタール(ha)は、約3,000坪ですので、30坪の戸建てで100戸分になります。ピンクと赤のエリアは、100ha以上ある地域なので、1万戸以上の家が建つ可能性があるのです。

 

現在人口の多くが、都心部に集中しています。川崎市や横浜市の中心部の区では、人口も増加していますが、郊外の区では減少も始まっています。

そこに大量の宅地が放出されれば、土地価格や家賃にも大きな影響があるはずです。

 

横浜市よりも東京寄りの地域では、2022年問題とオリンピック選手村の大量放出でかなり影響を受けるはずです。

購入を検討している方は、それまで待ったほうがいいでしょう。

売却を検討されている方は、早めに準備をすることをオススメします。

 

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