鹿児島県で土地価格が上がったエリアは?鹿児島市の再開発が超本気

鹿児島市 鹿児島県

鹿児島県の過去5年間の土地価格を見ると、住宅地では11.1% と、秋田県に次いで下落率の大きい結果となりました。

 

鹿児島県の公示地価の推移

(参考:国土交通省 地価公示)

 

なぜ、こんなに下がっているのか?

ちょっと意外だと思われる方も多いのではないでしょうか。

というのも、この5年間で鹿児島県の人口は確かに減っていますが、鹿児島市ではわずか1.2%の7,000人程度。鹿児島県全体でも、3.6%しか減っていないのです。

宮崎県と同率ですし、むしろ長崎県の方が4%も減っています。

なのに、両方の県ともに5%程度しか下落していないのです。

 

そこで、この記事では、過去30年間の鹿児島県の土地価格を追いかけることで、

  • なぜ、鹿児島県の住宅地は、17年連続で下げ続けているのか?
  • この5年間で上昇している不動産の特徴は何か?
  • 今後の鹿児島県の土地価格がどうなるのか?

について、解説していきます。

 

1、これまでの鹿児島県の土地価格の動き

最初に鹿児島県の過去30年間の土地価格の流れを追っていきます。

この大きな流れを知ることで、「どんな地域が下げているのか?」その理由がわかるはずです。

(1)鹿児島県の土地価格が、下落している理由とは?

1989年の大納会で、日経平均は38,915円の史上最高値をつけ、これが株式市場のピークとなりましたが、不動産市場はもう少しあとの1991年(平成3年)が全国的なピークでした。

 

鹿児島県の公示地価(住宅地)はそれより6〜10年遅く、1997〜2001年(平成9〜13年)ごろまでがなだらかなピークでした。

 

 鹿児島県の公示地価(住宅地)は、1997〜2001年ごろがピーク

鹿児島県の過去30年間の公示地価の推移

(参考:国土交通省 地価公示)

 

それから、ほぼ17年間の下落が続いています。

 

その大きな理由は3つあります。

  • 不良債権処理で、不動産市場が崩壊
  • 家を建てる人が減った
  • 郊外に家を建てられるようになった

の3点です。

 

 土地価格が下がる理由①:不良債権処理で不動産市場が崩壊

鹿児島県の公示地価のピークは1997〜2001年(平成9〜13年)ごろですが、本格的に下げ始めたのは2003年からでした。

1997年の11月に山一證券が破綻をして、その後に北海道拓殖銀行や日本債券信用銀行などの一流金融機関が破綻を始め、不良債権問題が大きくなり始めていました。

 

熊本県の公示地価と貸出残高

(参考:国土交通省 地価公示) 日銀 時系列統計データ検索サイト)

 

この頃は、金融機関による「貸し剝がし」が話題になってましたよね。

多くの会社がこの貸し剝がしによって倒産してしまい、借入れの担保としていた自宅などの不動産が競売に出されてしまいました。

 

競売では、通常の相場の6〜8割で売却されてしまいますので、不動産市場はどんどん下がっていきます。

その結果、土地価格がどんどん下がっていったのです。

 

 土地価格が下がる理由②:郊外に家を建てられるようになった

土地価格が下がれば、買う人が出てきそうなものですが、なかなか買い手が出てこなくなりました。

というのも、2000年ごろから郊外に家を建てる動きが広がっていったからです。

 

2000年の都市計画法の改正で、市街化調整区域でも家が建つようになった

2000年に都市計画法が改正されました。

この法律の改正によって、市街化調整区域(主に市街地から離れた農地)でも自治体がOKすれば、住宅地を作ることができるようになったのです。

 

鹿児島市でも平成16年10月から「鹿児島市市街化調整区域における住宅建築等に関する条例」を制定して、市街化調整区域での建築を許可するようになりました。

 

大店立地法で、ショッピングモールが簡単に建つようになった

ショッピングモールの駐車場

 

しかも、同じ2000年に大店立地法(大規模小売店舗立地法)も成立して、イオンモールなどの大きなショッピングモールがカンタンに建てられるようになりました。

 

・2005年4月:ドルフィンポート

・2006年10月:フレスポジャングルパーク

・2007年10月:イオンモール鹿児島

 

と、かなりの大規模なモールができるようになりました。

 

つまり、ショッピングセンターが増えて、郊外のどこに住んでも便利な生活ができるようになったのです。

そのため、市街地の土地価格がいくら下がっても、見向きもされなくなってしまったんですね。

 

 土地価格が下がる理由③:家を建てる人が減った

鹿児島県の持ち家(戸建て・マンション)の着工戸数を見ると、それまでは13,000戸を越えていた着工戸数が、1997年(平成9年)には8,000戸、その後は4,000〜6,000戸台にまで一気に減ってしまいました。

 

家を建てる人がほぼ半分に減ってしまった

鹿児島県の新築の戸数推移

(参考:国土交通省 地価公示 総務省統計局 建設着工統計)

 

では、なぜこれほど家を建てる人が減ってしまったのでしょうか?

 

ⅰ 金利の低下と消費税増税で、96年までに買いたい人は買ってしまった

住宅ローン金利の推移

(参考:住宅金融支援機構)

 

1991〜96年にかけて、住宅ローンは8%から2%台にまで下がりました。

さらに97年には、消費税が5%に増税になる予定となっていました。

 

そのため、バブルの時に家を買えなかった人はこのタイミングで、駆け込むように家を買ったのです。

97年以降は、その反動で着工件数が減少してしまったんですね。

 

ⅱ 働く人が減った(20年間で84.3万→75.4万人)

鹿児島県の就業者数(仕事をしている人)を調べてみると、1995年に84.3万人いましたが、2000年には82.9万人と1.4万人も減っていました。

 

鹿児島県の就業者数の推移

(参考:国土交通省 地価公示 国勢調査 人口の労働力状態,就業者の産業・職業)

 

人口の多い団塊の世代が退職を始めたのは、2007年ごろからですから、それよりも5年以上も早い時期から下げています。

家を買う中心世代の30代の人口も、22.6万→19.3万人(1994年→2002年)と、3万人以上も減少しています。

 

 

鹿児島県の30代人口の推移

(参考:総務省統計局 建設着工統計 総務省 住民基本台帳に基づく人口))

 

つまり、

  • 不良債権問題で、市街地の不動産が投げ売りされた
  • 土地価格は安くなったものの、ショッピングモールが増えて郊外の方が住みやすくなった
  • 家を買う人が減った

という理由から、市街地の土地に対する需要が減って、土地価格が下げ続けているんですね。

 

(2)上昇している地域の特徴とは?

ただし、市街地の中でも、全ての地域が下落しているわけではありません。

上昇している地点の特徴を見ると、鹿児島市のような大都市と、それ以外の中小都市では、ちょっと傾向が違うようです。

 

鹿児島市では、市内の再開発への期待が大きい

福岡市や北九州、長崎、鹿児島、大分では、JR九州が「アミュプラザ」という駅ビル併設の商業施設を運営していますが、そのほとんどが過去最高の売り上げを示しており、かなり好調です。

 

その理由は、

  1. 店舗数が多い(150〜250店舗)
  2. ほぼ毎日、何かしらのイベントをやっている
  3. 若い女性にウケるようなオシャレな店舗づくり

の3点によって、常にお客さんを呼べるような仕組みができているからです。

 

ようするに、「イオンモールに勝てる魅力」があるからなんですね。

 

鹿児島県にもアミュプラザ鹿児島がありますが、こちらはオープンが2009年と9年前なこともあって、この5年間で見ると土地価格へのインパクトはあまりありませんでした。

ですが、売上は堅調に伸びていますし、今後も市の中心部が活性化していく流れは変わらないでしょう。

 

アミュプラザ鹿児島は、8期連続の最高実績を更新

アミュプラザ鹿児島の売上推移

(参考:JR九州ニュースリリース *PDF)

 

【住宅地】鹿児島中央駅周辺の住宅地「鹿児島市上之園町」では、5年で3.9%の上昇

赤、青、黄色の家のマークが、鹿児島中央駅周辺で上昇している地点です。

それぞれ、

 

  • 赤色:鹿児島市上之園町(3.9%)
  • 黄色:鹿児島市荒田(3.3%)
  • 青色:鹿児島市武(2.9%)

 

と、まだ上昇率は控え目ですが、県内の住宅地の上昇率1〜3位となっています。

 

あまり上昇していないように思えますが、鹿児島中央駅の周辺の住宅地は、福岡を除くとかなり高い水準にあります。

坪60〜70万円以上しますので、今後の再開発で大きく変わって来ないと、価格も上がりづらいのかもしれませんね。

 

市区町村別に見ると、全体的に下落傾向

では、鹿児島市以外の都市ではどうなっているでしょうか?

市区町村単位で土地価格を見ると、全体的に下落傾向になっています。

 

鹿児島県の公示地価の変化率

(参考:国土交通省 地価公示)

 

また、鹿児島市よりも土地価格が安く、郊外のショッピングセンターを使った方が生活しやすいと考える世帯では、鹿児島市の隣の姶良市に家を建てて、そこから通勤する人も多いです。

 

その一方で、鹿児島市から離れた地域では、仕事を求めて大都市に移住する人もいます。

そのため、鹿児島市とその周辺の自治体に人口が集中する状況になっているのです。

 

鹿児島市の郊外の姶良市に人口が流入する傾向

鹿児島県の人口変化率

(参考:鹿児島県 推計人口と世帯数)

 

2、これから鹿児島県の土地価格はどうなるのか?

このような状況の中で、鹿児島県の今後の土地価格に影響を与える要素が2つあります。

それは、

  • 鹿児島市の再開発事業
  • 立地適正化計画

の2点です。

 

(1)2021年にかけて、鹿児島市で再開発が目白押し

鹿児島市では、2021年にかけて大規模な再開発事業が目白押しです。

主なものだけでも、

 

  • 中央町19・20番街:2020年10月
  • 千日町1・4番街:2020年秋
  • 交通局跡:2022年春
  • JR西口:2020年春

 

などなど、かなり鹿児島市の中心部の景色も変わってくるはずです。

 

 

低層階に商業施設を入れて、上層階はホテルやマンション住戸として活用するため、中心部の人口も増えるでしょうし、入居者がうまく集まれば他にもマンションが建ってくるでしょう。

この周辺の土地価格も上昇してくるのではないでしょうか。

 

(2)立地適正化計画で、中心部に公共サービスが集中

立地適正化計画とは、鹿児島市の下の図のように、市内の中で優先エリアを設定して、そこに公共サービスや商業施設を集約させていこうという計画です。

 

 鹿児島市の立地適正化計画のイメージ

鹿児島県の立地適正化計画

 

(参考:鹿児島市 立地適正化計画)

 

上の図は、鹿児島市の立地適正化計画のイメージ図です。黄色で塗られたエリアが優先エリアになります。

 

なぜこんなことをするかというと、これから高齢化が進んで税金が減っていくため、公共サービスの予算を減らしても、多くの人に提供できるように狭いエリアに住んでもらいたいからです。

 

このエリア内に、さらにいくつかの中心部(都市機能誘導区域)を設定して、そこにスーパーや病院などの施設を誘致、または維持していく計画です。

 

地域に拠点を作って、そこに施設を誘導していく

鹿児島市の誘導施設リスト

(参考:鹿児島市 立地適正化計画)

 

右側の赤色の♦️マークは、今後誘導または設置を計画する施設になります。

スーパーや病院、金融機関のATMなどが対象となっています。

 

これらの拠点では、今よりも便利になっていく反面、この拠点から離れたエリアでは、逆に不便になっていくでしょう。

今後の土地価格にも大きな影響を与えるはずです。

 

この点については、こちらの記事で詳しく解説しましたので、ご参考ください。

「立地適正化計画」で売れなくなる不動産を見分ける方法
立地適正化計画の詳しい内容と、その影響について解説します。売れなくなる不動産を見分ける際の参考になるはずです。

 

買いたい、売りたい人は、こちらの記事もどうぞ

この記事で、大まかな傾向については解説しましたが、実際に検討する場合には、もっと具体的な情報が必要でしょう。

興味のある方は、こちらもご参考ください。

 

1、買いたい人がすべき、後悔しない立地条件の確かめかた

10年後も大丈夫?家を買うなら気をつけたい3つのこと
人口が減少していく日本で、これから家を買う場合に気をつけたい3つのポイントをまとめました。

 

2、売りたい人がすべき、数百万円単位で高く売るためのコツ

不動産を数百万円高く売りたい人がすべき、たった1つのこと
あなたが調べようとしている不動産価格は、もしかしたら間違っているかもしれません。その理由とは?

 

 

 

 

コメント