岩手県で土地価格が上がる不動産の特徴とは?今後はどうなる?

岩手県

岩手県のここ5年間の土地価格を見ると、住宅地で2.7%のマイナス、宮城県は上昇率で1位、福島県は3位でした。

それに対して、秋田県は最下位、青森県でも10%以上のマイナスと、東北6県の中でもかなり格差が広がっているようです。

 

岩手県の公示地価の推移

(参考:国土交通省 地価公示)

 

ここまで格差が起こったきっかけは、やはり震災による復興需要の有無です。

しかし、宮城県や福島県に比べて、土地価格が上昇していない理由は何なのでしょうか?

 

岩手県の公示地価186地点を詳しく調べてみたところ、10%以上も上昇している地点がいくつもありました。決して、上昇していないわけではないのです。

 

そこで、この記事では、過去30年間の岩手県の土地価格を追いかけることで、

  • なぜ、岩手県の住宅地は、17年連続で下げ続けているのか?
  • この5年間で上昇している不動産の特徴は何か?
  • 今後の岩手県の土地価格がどうなるのか?

について、解説していきます。

 

不動産を買いたい人にも、売りたい人にも参考になるはずです。

 

1、これまでの岩手県の土地価格の動き

(1)17年連続で土地価格が下落している理由とは?

バブルの真っ只中の1988年から、青森県の公示地価の動きを見ていくと、意外なことに住宅地のピークは、ITバブルのあった平成13年(2001年)ごろでした。

住宅バブルが盛り上がらなかった分だけ、息が長かったと言えます。

 

 岩手県の公示地価は、平成13年ごろがピーク

過去30年間の岩手県の公示地価の推移

(参考:国土交通省 地価公示)

しかし、この頃から岩手県の土地価格は17年連続の下落を続けています。

その大きな理由は3つあります。

  • 公共事業が減少
  • 郊外のショッピングセンターが人気で、中心街が空洞化
  • 家を建てる人が減った

の3点です。

 

 土地価格が下がる理由①:公共事業が減少

1番大きいのは、公共事業が減少したことでしょう。

地方の経済に占める割合が大きい土木、建設業の仕事がなくなってしまいました。

 

岩手県の公示地価と公共事業、復興費用

(参考:国土交通省 地価公示財務省 統計表一覧 第20表復興庁 毎年度の予算・決算等)

 

公共事業費は、2001年ごろから本格的に減り始め、2003年にかけて行われた不良債権処理の影響もあって、その後は経済がおかしくなっていきました。

2004年ごろから都心部や製造業が少しずつ持ち直してきましたが、その後も公共事業費は減り続け、地方の土地価格に大きな影響を与えていったのです。

 

 土地価格が下がる理由②:家を建てる人が減った

公共事業の減少とほぼ同じタイミングで、人口の減少が目立つようになりました。

 

岩手県の人口推移

 

(総務省統計局 国勢調査)

 

2000年から2015年にかけて、岩手県では人口が約10%、13.6万人も減少しています。

 

岩手県の就業者数の推移

(参考:国土交通省 地価公示 国勢調査 人口の労働力状態,就業者の産業・職業)

 

それだけではありません。就業者(働いている人)の人口も、ほぼ同じタイミングで減少しています。

つまり、少子高齢化のせいだけでなく、仕事がなくなって、他の地域に引っ越した人も多いのです。

 

家を建てる中心世代の30代の人口も、人口が多い団塊世代の子供(団塊ジュニア)が30代に達した2007年をピークに減少を続けています。

 

岩手県の30代人口

(参考:総務省統計局 建設着工統計 総務省 住民基本台帳に基づく人口))

 

そのため、家を建てる人が減っているのです。

 

 土地価格が下がる理由③:郊外のショッピングセンターが人気化して、中心街が空洞化した

それに加えて、中心街が廃れてきましたよね。

盛岡市の住宅地も、2003年以降は毎年4〜5%も値下がりしていきました。

その理由として、郊外にショッピングモールが建てられるようになったことも大きいでしょう。

 

大店立地法で、ショッピングモールが簡単に建つようになった

ショッピングモールの駐車場

 

2000年に、大店立地法(大規模小売店舗立地法)が成立して、イオンモールなどの大きなショッピングモールがカンタンに建てられるようになりました。

 

・2003年8月:イオンモール盛岡

・2006年9月:イオンモール盛岡南

・2007年2月:イオンスーパーセンター一関

 

などなど、かなりの大規模なショッピングセンターができるようになりました。

駐車場代を払って、わざわざ街の中心部で買い物をするよりも、郊外のショッピングセンターに行った方が、安いし、買い物にも便利ですよね。

 

そのため、郊外に家を建てる人が増えて、市街地の土地価格が下がっていったのです。

 

まとめると、

  • 公共事業が減って、仕事が減った
  • 働く人が減っているので、家を建てる人も減っている
  • しかも郊外に建てた方が安いし、買い物に便利

という理由から、市街地の土地価格が下がり、郊外に家が建つ流れが止まらないのです。

 

2、この5年間の岩手県の土地価格の動き

ここまで30年間の流れを見てきましたが、オリンピック期待もあって、都心部では不動産市場もかなり盛り上がっています。

そこで、市区町村別に岩手県の土地価格を詳しく見ていきたいと思います。

 

盛岡市周辺と沿岸部で、土地の需要が集中している

公共事業は減少し続けていますが、震災のあった岩手、宮城、福島の3県では復興事業で予算が降りるので、仕事が増えています。

過去5年間の公示地価(住宅地)の動きを市区町村別に見ると、沿岸部と内陸部とで二極化していることがわかります。

 

 岩手県の過去5年間の公示地価の変化率

岩手県の公示地価の変化率の分布

(参考:国土交通省 地価公示)

 

被災した地域では、海岸から離れた場所に新しく家を建てる人が増えたために、土地価格は大きく上昇しました。これは宮城県、福島県でも同様に起こっています。

 

 過去5年間の人口の変化率

しかし、盛岡市へ人が移ってきた形跡はあまりありませんでした。

仙台市や福島市、郡山市などの人口は、この5年間で増加しているのに対し、盛岡市は2%のマイナスだったのです。

 

岩手県の人口変化率の分布図

(参考:岩手県 市区町村別推計人口)

 

滝沢村、矢巾町で人口が増えていますが、これは土地価格の安い場所に家を建てたい人が移り住んだ結果と言えます。

車での移動が基本になって、郊外にショッピングセンターが増えた2000年ごろから続く傾向ですよね。

 

3、これから岩手県の不動産はどうなるのか?

被災地域での復興事業はこれからも続きますので、沿岸部を中心に土地価格は堅調に推移するでしょうが、それ以外の地域では人口の減少は止まらないでしょう。

ただし、これまでの「土地価格の安い郊外に、家がどんどん増えていく」という流れは、少し止まっていく可能性があります。

 

というのも、花巻市や北上市など、多くの自治体では「立地適正化計画」という計画をたてて、家を建てる地域を制限していく動きが出ているからです。

「立地適正化計画」で売れなくなる不動産を見分ける方法
立地適正化計画の詳しい内容と、その影響について解説します。売れなくなる不動産を見分ける際の参考になるはずです。

 

立地適正化計画とは?

立地適正化計画とは、「住んで欲しい地域(居住誘導区域)」と「そうでない地域」にわけることで、今後の行政サービスや商業施設の建設に格差をつけようとする計画です。

 

これまで多くの自治体では、市の中心部を魅力的にしていくことで、郊外に住んでいる人たちを市街地に呼び寄せようと働きかけてきました。

「○○ロード」などと名前をつけて、買い物がしやすいエリアを整備したり、駅前の再開発計画などを考えてきました。アメとムチで言えば、アメの政策です。

ですが、イオンや多くのショッピングセンターの魅力に勝てず、新しい家はどんどん郊外に建てられ、街中が寂れてしまっているのが現状ですよね。

 

ですが今後は、郊外のエリアの行政サービスを減らして不便にすることで、市街地に呼び寄せようと働きかけようとしているのです。アメとムチで言えば、ムチの政策です。

例えば、

・バスの運行を減らす

・ニュータウンや、商業施設を建てる場合には届け出が必要

・福祉センターなどの公共施設の削減

などが進められていくのです。

 

 花巻市の立地適正化計画図

花巻市の立地適正化計画図

(参考:花巻市 立地適正化計画の概要)

 

赤の斜線、青色のエリアが重点地域で、それ以外の地域は今後不便になっていきます。花巻市の場合は、ほとんど駅周辺が優先地域になってますね。

「車があるから大丈夫」という人もいるでしょう。確かに車さえあれば、いきなり不便になることはないでしょう。

 

しかし、今後はこのエリア「内」とエリア「外」では、土地価格に大きな格差がつく可能性があると思います。

 

買いたい、売りたい人は、こちらの記事もどうぞ

この記事で、大まかな傾向については解説しましたが、実際に検討する場合には、もっと具体的な情報が必要でしょう。

興味のある方は、こちらもご参考ください。

 

1、買いたい人がすべき、後悔しない立地条件の確かめかた

10年後も大丈夫?家を買うなら気をつけたい3つのこと
人口が減少していく日本で、これから家を買う場合に気をつけたい3つのポイントをまとめました。

 

2、売りたい人がすべき、数百万円単位で高く売るためのコツ

不動産を数百万円高く売りたい人がすべき、たった1つのこと
あなたが調べようとしている不動産価格は、もしかしたら間違っているかもしれません。その理由とは?

 

 

 

岩手県の不動産価格を調べるならこちら

コメント