茨城県で土地価格が上がる不動産の特徴とは?今後はどうなる?

茨城県

茨城県のここ5年間の土地価格を見ると、住宅地で6.9%のマイナスとほぼお隣の栃木県、群馬県と同じ下落率でした。

 

茨城県の公示地価の推移

(参考:国土交通省 地価公示)

 

東京オリンピック期待で、不動産市場が上昇しているというニュースを見かけますが、北関東の3県にはあまり影響がないように見えますよね。

 

ですが、茨城県の公示地価687地点を詳しく調べてみたところ、この5年間で5%以上の上昇をしている地点がいくつかありました。

決して、全ての地域で下落しているわけではないのです。

 

そこで、この記事では、過去30年間の茨城県の土地価格を追いかけることで、

  • なぜ、茨城県の住宅地は、26年連続で下げ続けているのか?
  • この5年間で上昇している不動産の特徴は何か?
  • 今後の茨城県の土地価格がどうなるのか?

について、解説していきます。

 

不動産を買いたい人にも、売りたい人にも参考になるはずです。

 

1、これまでの茨城県の土地価格の動き

(1)26年連続で土地価格が下落している理由とは?

全国の土地価格のピークは、1991年(平成3年)でしたが、茨城県の住宅地を見ると、平成4年がピークでした。

ほぼ同じタイミングで、下げ始めていたようです。

 

 茨城県の公示地価は、平成4年ごろがピーク

茨城県の30年間の公示地価の推移

(参考:国土交通省 地価公示)

 

しかし、グラフを見ると、そこから茨城県の土地価格は、26年連続の下落を続けて止まる気配がありません。

 

その大きな理由は3つあります。

  • 不良債権処理と公共事業の削減で、不動産市場が崩壊
  • 家を建てる人が減った
  • 郊外に家を建てられるようになった

の3点です。

 

 土地価格が下がる理由①:不良債権処理と公共事業の削減で、不動産市場が崩壊

茨城県の公示地価の動きは、公共事業にかなり影響を受けてきました。

1994年には1.1兆円あった行政投資額(公共事業など)が、2008年には5,000億円台にまで激減してしまったのです。

 

茨城県の行政投資は、1兆円円→5,000億円台まで激減

茨城県の行政投資額の推移

(参考:国土交通省 地価公示 総務省統計局 行政投資実績)

 

地方の経済に占める公共事業の割合は高いため、この予算が減ってしまうことで、仕事や給料が減り、土地価格にも大きな影響を与えてきたのです。

 

さらに1997〜1998年ごろには、土地バブルのツケが回ってきて、金融機関が相次いで破綻していきました。

 

経営破綻した金融機関
1997年・(11月)三洋証券

・(11月)北海道拓殖銀行

・(11月)山一證券

・(11月)徳陽シティ銀行

1998年・(10月)長銀

・(12月)日債銀

 

「これ以上、金融機関がつぶれてしまっては日本はヤバイ!」ということで、金融監督庁(現在の金融庁)が作られ、金融機関を厳しく審査するようになりました。

その結果、経営が危ない企業に対してお金を貸すことを止める「貸しはがし」が起きて、さらに景気が悪化したのです。

 

金融機関の「貸し剝がし」の時期に、茨城県の土地価格は急激に下げている

茨城県の公示地価と金融機関の貸出残高

(参考:日銀 時系列統計データ検索サイト)

 

 土地価格が下がる理由②:郊外に家が建てやすくなった

また、2000年ごろから、郊外に家がどんどん建てやすくなりました。

 

大店立地法で、ショッピングモールが簡単に建つようになった

ショッピングモールの駐車場

 

2000年に大店立地法(大規模小売店舗立地法)が成立して、イオンモールなどの大きなショッピングモールがカンタンに建てられるようになりました。

  • 2005年11月:イオンモール水戸内原
  • 2006年7月:ファッションクルーズニューポートひたちなか
  • 2009年5月:イオンモール土浦
  • 2013年3月:イオンモールつくば

などなど、かなり大きなモールが増えました。

このようなモールがある地域は、もともと土地代が安いエリアが選ばれるため、市街地から遠い傾向があります。

そのため、比較的安い価格で家を建てられるため、市街地から離れたエリアに住む人が増えていったのです。

 

 土地価格が下がる理由③:家を建てる人が減った

茨城県の新築の戸数を見てみると、1996年までは2万戸以上あった着工戸数も、どんどん減少しています。

アベノミクスが始まった平成25年に15,000戸を越えたものの、翌年からのマイナス金利政策には反応せず13,000戸台で安定してしまっています。

 

茨城県の新設戸数の推移

(参考:国土交通省 地価公示 総務省統計局 建設着工統計)

 

その理由は、家を建てられる人が減っているからです。

 

働く人が減った(20年間で151万→140万人)

茨城県の就業者数(仕事をしている人)を調べてみると、1995年に151万人いましたが、2000年から2010年にかけて本格的に減少し始め、140万人にまで減少しています。

2000年から2010年の10年間は、公共事業が一気に減った時期ですので、仕事が減ってしまったことで就業者数も激減したのでしょう。

 

茨城県の就業者数

(参考:国土交通省 地価公示 国勢調査 人口の労働力状態,就業者の産業・職業)

 

しかし、年代別の人口を見ると、家を買う年代の30代人口は、2007年ごろまで増えていますが、2010年代に入ってからは、かなり急激な減少を見せています。

 

家を買う世代の30代人口は、この10年で42.4万人→33.3万人まで減少

茨城県の30代人口

(参考:総務省統計局 建設着工統計 総務省 住民基本台帳に基づく人口))

 

そのため、住宅の着工戸数も増えない状況となっています。

 

つまり、

  • 家を建てる人が減っている
  • ショッピングセンターが増えて、郊外のどこに住んでも便利な生活ができるようになった

という理由から、市街地の土地に対する需要が減って、土地価格が下げ続ける傾向にあったわけですね。

 

2、この5年間の茨城県の土地価格の動き

しかし、このような郊外へと家が建つ流れが、この5年間で少しずつ変わってきています。

きっかけは、オリンピック開催決定による外国人観光客数の増加です。

 

(1)東京への通勤需要の増加で、つくばエクスプレス沿線で上昇

例えば、埼玉県、神奈川県、千葉県などの都心のベッドタウン県では、東京への通勤需要によって土地価格が上昇しています。

通勤に便利な駅に近い場所は、土地に限りがあるので人気化すると上昇しやすくなります。そのため、駅から近いほど土地価格が上昇する傾向にあります。

 

茨城県でも、このことは当てはまります。

つくばエクスプレスの守谷駅、つくば駅周辺とそれ以外の地点について、駅からの距離によって、過去5年間の土地価格がどれだけ変化しているのかを調べてみました。

 駅からの距離(1分=80m)ごとの土地価格の変化率

 5分以内5-10分10-15分15-20分20-25分25-30分30分
守谷駅、つくば駅周辺7.1%6.6%2.9%2.8%5.1%-5.2%
その他地域-6.4%-8.2%-5.9%-5.3%-6.5%-6.1%-7.8%
茨城県全体-6.4%-7.5%-5.4%-4.8%-5.8%-5.8%-7.5%

(出典:国土数値情報ダウンロードサービス)

 

ご覧のように、その他の地域では、駅からの距離に関係なく下落しているのに対して、都心への通勤駅である守谷駅とつくば駅では、駅から近いほど土地に対する需要が高くなっていることがわかりますね。

 

 過去5年間の土地価格の変化率

茨城県の公示地価の変化率の分布図

(参考:国土交通省 地価公示)

 

そのため、市区町村別に見ても、守谷市の土地価格が上昇しています。つくば市は駅周辺だけが上昇しているため、全体で見ると低下していますが。

 

 茨城県の過去5年間の人口の変化率

茨城県の人口変化率

(参考:茨城県 市区町村別推計人口)

過去5年間の人口についても同様です。つくばエクスプレス沿線に人口が集中していることがわかりますね。

また、鹿嶋市周辺でも人口が増えていますが、円安効果によって新日鉄住金の業績が2013年から急回復しているのが理由でしょう。

ただし、車通勤が基本の地域なので、土地価格への影響はあまり無いようです。

 

3、これから茨城県の不動産はどうなるのか?

このような状況の中で、茨城県の今後の土地価格に影響を与える要素が2つあります。

それは、

  • 2022年問題で、東京への通勤需要が都内と千葉にとられる
  • 2025年問題で公共事業がさらに減る

の2点です。

 

(1)2022年問題で、東京への通勤需要が都内と千葉にとられる

2022年問題とは、

「都市部にある農地が、宅地に解禁になることで、土地価格や家賃が下落するだろう」

と言われている問題です。

 

生産緑地

→全国に約3,989万坪、戸建てで約133万戸分の広さになります。

生産緑地が解禁になる2022年問題で、日本の不動産はどうなるのか?
生産緑地が解禁になる2022年問題によって、どのような影響が起こるのか?どこの市町村に多く分布しているのか?を解説します。

 

実は、千葉県はこの生産緑地が6番目に多く、しかも千葉市よりも都心部に近いエリアに多く集中しているのです。

つくばエクスプレス沿線沿いに多いんですね。

 

千葉県の生産緑地の分布

千葉県の生産緑地の分布

(出典:都市計画区域、市街化区域、地域地区の決定状況)

 

1ヘクタール(ha)は、約3,000坪ですので、30坪の戸建てで100戸分になります。

ピンクと赤のエリアは、100ha以上ある地域なので、1万戸以上の家が建つ可能性があるのです。

 

そのため、東京や千葉でも、土地価格や家賃が下落すると予想されます。

買いたいと考えているならば、2022年以降にした方がもっと安く買える可能性がありますが、売るつもりならば早めに動いた方がいいかもしれませんね。

 

(2)2025年問題で、公共事業費がさらに減る

2025年問題とは、

「人口の多い団塊の世代が、75才以上の後期高齢者になることで、社会保障費が一気に増えて国の予算を圧迫する」

という問題です。

 

日本の社会保障費は、2025年に121.3→140.4兆円へと増える

日本の社会保障費の推移

(出典:2040年を見据えた社会保障の将来見通し(内閣府) 社会保障費用統計(国立人口問題研究所)

 

これまでも、社会保障費が増加してきたことが理由で、公共事業がどんどん削られてきました。

その社会保障費がさらに増えるわけですから、茨城県の公共事業は、今後さらに減っていくことになるでしょう。

 

社会保障費の増加に合わせて、公共事業も削られてきた

社会保障費と行政投資額の推移

(参考:国立社会保障・人口問題研究所 総務省統計局 行政投資実績)

 

そのため、公共事業に依存している地域では、今以上に住みにくくなるでしょう。土地価格の下落傾向も続くのではないでしょうか。

 

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