兵庫県で土地価格が上がる不動産の特徴とは?今後はどうなる?

兵庫県

今年の公示地価では、京都や大阪の商業地の土地価格が、20%以上も上昇していると話題になりました。

東京オリンピックへの期待で、外国人観光客がたくさん増えているためです。

 

そうなると気になるのは、兵庫県の土地価格ですよね?

しかし、過去5年間の兵庫県の土地価格を見てみると、1.8%の下落となっていました。岡山県に至っては、5%近くも下落している状況です。

 

兵庫県の公示地価の推移

(参考:国土交通省 地価公示)

 

そこで、兵庫県の公示地価1,194地点を詳しく調べてみたところ、5年間で20〜30%以上の上昇をしている地点がかなり見つかりました。

同じ市内でも、上昇している地点と下落している地点の格差が広がっていたのです。

 

そのため、

「どこに買えばいいのか?」

「まだ上がるのか?今が売り時なのか?」

がわかりにくくなっているのが現状です。

 

この記事では、過去30年間の兵庫県の土地価格を追いかけることで、

  • なぜ、兵庫県の住宅地は、17年連続で下げ続けているのか?
  • この5年間で上昇している不動産の特徴は何か?
  • 今後の兵庫県の土地価格がどうなるのか?

について、解説していきます。

 

1、これまでの兵庫県の土地価格の動き

(1)17年連続で土地価格が下落している理由とは?

不動産市場の全国的なピークを見ると、1991年(平成3年)でした。株式市場のピークより2年遅れてやってきました。

 

兵庫県の公示地価(住宅地)も同じ平成3年で、下のグラフを見ると、かなり激しく上昇したことがわかります。

 

 兵庫県の公示地価(住宅地)は、平成3年がピーク

兵庫県の過去30年間の土地価格

(参考:国土交通省 地価公示)

 

それから、2006年まで15年下げ続けたあと、2008年からまた10年間下げ続けて今に至ります。

 

その大きな理由は3つあります。

  • 不良債権処理と公共事業の削減で、不動産市場が崩壊
  • 家を建てる人が減った
  • 郊外に家を建てられるようになった

の3点です。

 

 土地価格が下がる理由①:不良債権処理と公共事業の削減で、不動産市場が崩壊

土地バブルの崩壊が崩壊して、金融機関が本格的に危なくなったのが1997〜1998年ごろでした。

 

経営破綻した金融機関
1997年・(11月)三洋証券

・(11月)北海道拓殖銀行

・(11月)山一證券

・(11月)徳陽シティ銀行

1998年・(10月)長銀

・(12月)日債銀

 

これ以上、金融機関がつぶれてしまっては日本はヤバイ!ということで、現在の金融庁が作られ、貸出先を厳しく審査するようになりました。

その結果、経営が危ない企業に対してお金を貸すことを止める「貸し剝がし」が起きて、余計に景気が悪化しました。

 

金融機関の「貸し剝がし」と兵庫県の公示地価の下落は一致している

兵庫県の公示地価と貸出残高

(参考:日銀 時系列統計データ検索サイト)

 

さらに、2001年には小泉政権が誕生して、「構造改革」という名の下に、公共事業費が一律10%カットされました。

その後も、年金や医療費などの社会保障費も増え続けているため、公共事業に回すお金がどんどん減らされていきました。

 

その結果、兵庫県の年間に2兆円以上あった行政投資額(公共事業など)が、8,000億円以下にまで減ってしまったのです。

 

兵庫県の行政投資は、2兆円→8,000億円まで激減

兵庫県の行政投資額と公示地価

(参考:国土交通省 地価公示 総務省統計局 行政投資実績)

 

 土地価格が下がる理由②:郊外に家が建てやすくなった

さらに、2000年ごろから、郊外に家がどんどん建てやすくなりました。

 

大店立地法で、ショッピングモールが簡単に建つようになった

ショッピングモールの駐車場

 

2000年に大店立地法(大規模小売店舗立地法)が成立して、イオンモールなどの大きなショッピングモールがカンタンに建てられるようになりました。

  • 2002年10月:イオンモール伊丹
  • 2004年12月:イオンモール姫路大津
  • 2006年11月:イオンモール神戸北
  • 2008年11月:イオンモール加西北条
  • 2009年10月:あまがさきキューズモール

など、わざわざ駅前に行かなくても、駐車場代も気にせずに買い物を楽しめるようになったのです。

 

 土地価格が下がる理由③:家を建てる人が減った

2010年代に入ると、公共事業も横ばいになって、アベノミクスやオリンピック期待もあって、景気も多少は上向いているように見えます。

ですが、兵庫県の土地価格は、ほぼ横ばいであまり恩恵を受けていないようです。

 

兵庫県のこの30年間の土地価格と、持ち家(戸建て・マンション)の着工戸数を並べてみると、95年の震災後の復興需要を除いても、40,000戸ぐらいの着工件数がありました。

しかし、2008年以降は20,000戸程度となり、一向に増える気配がありません。

 

公共事業の削減が一服しても、横ばいで増える気配なし

兵庫県の新築の戸数推移

(参考:国土交通省 地価公示 総務省統計局 建設着工統計)

 

その理由は、家を建てられる人が減っているからです。

 

働く人が減った(20年間で260万→244万人)

兵庫県の就業者数(仕事をしている人)を調べてみると、1995年に260万人いました。

しかし、2000年ごろから大きく減少を始めて、2015年には244万人にまで減ってしまいました。

 

兵庫県の就業者数の推移

(参考:総務省統計局 建設着工統計 国勢調査 人口の労働力状態,就業者の産業・職業)

 

さらに、家を買う年代の30代人口は、2006年ごろまで増えていますが、2010年代に入ってからは、減っていく一方なのです。

 

兵庫県の30代人口

(参考:総務省統計局 建設着工統計 総務省 住民基本台帳に基づく人口))

 

そのため、住宅の着工戸数も増えず、土地価格も上昇しない状況となっています。

 

 

つまり、

  • 公共事業が減って、働く人が減ってしまった
  • ショッピングセンターが増えて、郊外のどこに住んでも便利な生活ができるようになった

という理由から、市街地の土地に対する需要が減って、土地価格が下げ続けているんですね。

 

2、この5年間の兵庫県の土地価格の動き

しかし、この5年間を見ると、全国的に土地価格が上昇に転じ始めています。兵庫県の一部の地域でも、その流れに乗っているようです。

ここからは、その特徴を詳しくみていきましょう。

 

(1)大阪への通勤で、神戸市より東側の駅周辺が上昇

過去5年間の公示地価(住宅地)の動きを見ると、

  • 大阪市への通勤圏
  • なおかつ、駅からの距離が近い地域

での土地価格の上昇が見られましたが、それ以外の地点では下落傾向にありました。

 

兵庫県の過去5年間の公示地価の変化率

兵庫県の公示地価の分布

(参考:国土交通省 地価公示)

 

神戸市を含め、それよりも東側の芦屋市、川西市、西宮市、尼崎市、伊丹市、宝塚市の7市とそれ以外の市町村の土地価格の変化率を駅からの距離で分けて調べてみました。

 

駅からの距離で見たときの公示地価(住宅地)の上昇率

 5分以内5-10分10-15分15-20分20-25分25-30分30分以上
大阪通勤圏7.7%5.2%1.8%-1.2%-1.3%-3.4%-3.1%
その他市町村-8.5%-4.8%-4.6%-6.2%-7.3%-5.9%-9.8%
兵庫県全体2.2%2.1%-0.2%-3.1%-4.0%-4.4%-7.2%

(出典:国土数値情報ダウンロードサービス)

 

ご覧の通り、神戸などの7市では、徒歩15分以上の地点から、徐々に下落傾向にあることがわかります。

 

全国的にも、通勤に便利なマンションへのニーズが、この数年で広がっています。全国の不動産価格指数を見ると、マンションだけが4割以上も上昇しています。

不動産価格指数

(参考:国土交通省 不動産価格指数(住宅地))

 

「職住近接」という言葉をたまに聞きますよね。共働きで子持ちの世帯では、保育園への送り迎えなども考えると、通勤に時間をかけてられません。

しかし、大阪に住むとなると、県民性も違いますし、地域に溶け込めるのか不安にもなります。

そのため、「県内で通勤に便利なところ」として、神戸より東側の市の駅近物件に人気が集中しているのではないでしょうか。

 

(2)人口はこの5年で、約1.4%のマイナス

一方で、兵庫県の人口は、この5年間で1.4%、約7万人の減少をしています。

 

兵庫県の過去5年間の人口の変化率

兵庫県の人口変化率

(参考:兵庫県 市区町村別推計人口)

 

市区町村別に見ると、神戸市の中心部では増加していますが、それ以外のエリアではまばらです。

駅から近いエリアでは人気でも、郊外のエリアでは減少しているため、市全体で見るとマイナス、という市町村が多いためです。

そのため、同じ市内でも、立地状況によってかなり格差が出ているのです。

 

3、オリンピック後の兵庫県の不動産はどうなるのか?

このような状況の中で、兵庫県の今後の土地価格に影響を与える要素が3つあります。

それは、

  • 2022年問題
  • オリンピック後の観光客数の変化
  • 2025年問題

の3点です。

 

(1)2022年問題で、生産緑地が宅地に解禁になる

2022年問題とは、

「都市部にある農地が、宅地に解禁になることで、土地価格や家賃が下落するだろう」

と言われている問題です。

 

生産緑地

→全国に約3,989万坪、戸建てで約133万戸分の広さになります。

生産緑地が解禁になる2022年問題で、日本の不動産はどうなるのか?
生産緑地が解禁になる2022年問題によって、どのような影響が起こるのか?どこの市町村に多く分布しているのか?を解説します。

 

実は、兵庫県でもこの生産緑地があります。しかも、現在土地価格が堅調な神戸よりも東側の大阪への通勤圏に分布しているのです。

兵庫県の生産緑地の分布

兵庫県の生産緑地の分布

(出典:都市計画区域、市街化区域、地域地区の決定状況)

 

1ヘクタール(ha)は、約3,000坪ですので、30坪の戸建てで100戸分になります。赤のエリアは、100ha以上ある地域なので、神戸市では1万戸以上の家が建つ可能性があるのです。

 

生産緑地は、駅から多少離れたところに分布している傾向にあります。そのため、駅から離れた郊外の戸建てに影響が出てくるでしょう。

ただでさえ、人口が減少して土地に対するニーズが減っているところに、農地から宅地へと転用する動きが増えれば、土地価格は下がっていくのではないでしょうか。

 

(2)オリンピック後の外国人観光客数はどうなるのか?

オリンピック開催が決定してから、外国人観光客数が増加していますが、大阪府は東京に次いで2番目に外国人の延べ宿泊者数が多い都道府県であり、その恩恵をかなり受けていると言えます。

 

ホテルや商業施設の建設もかなり盛り上がっていますし、今後も観光客数が増える、または維持できるかで、兵庫県の土地価格にもかなり影響が出てくるでしょう。

そこで、過去のオリンピック開催国のその後の観光客数を調べてみたところ、その後も堅調な国が多いことがわかりました。

 

オリンピック開催国の外国人観光客数の推移

 

オリンピック開催国の外国人観光客数の推移

(参考:国土交通省 観光庁 *PDFファイル)

 

そう考えると、今後も引き続き、大阪への通勤がしやすい

神戸市、芦屋市、川西市、西宮市、尼崎市、伊丹市、宝塚市

の駅前エリアでは、土地価格も堅調に推移するでしょう。

それ以外の郊外エリアでは、生産緑地の影響に注意をしていくべきでしょう。

 

(3)2025年問題で、公共事業費がさらに減る

2025年問題とは、

「人口の多い団塊の世代が、75才以上の後期高齢者になることで、社会保障費が一気に増えて国の予算を圧迫する」

という問題です。

 

日本の社会保障費は、2025年に121.3→140.4兆円へと増える

日本の社会保障費の推移

(出典:2040年を見据えた社会保障の将来見通し(内閣府) 社会保障費用統計(国立人口問題研究所)

 

これまでも、社会保障費が増加してきたことが理由で、公共事業がどんどん削られてきました。

その社会保障費がさらに増えるわけですから、今後はさらに公共事業が減るでしょう。

 

社会保障費の増加に合わせて、公共事業も削られてきた

社会保障費と行政投資額の推移

(参考:国立社会保障・人口問題研究所 総務省統計局 行政投資実績)

 

そのため、仕事を求めて神戸市や大阪市周辺へ移住する若い人が増えるはずです。

これまで人口の減少率が大きかった地域では、今後さらに人が減っていくはずです。土地価格はかなり厳しくなっていくのではないでしょうか。

 

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