福岡県で土地価格が上がる不動産の特徴とは?今後はどうなる?

福岡県

アベノミクス効果、東京オリンピック期待で外国人観光客が増加しています。

九州でも外国人観光客がかなり増えて、昨年は過去最高の490万人にまで達しました。そのおかげもあって、福岡市の商業地の公示地価は、20%以上も上昇しています。

 

九州への外国人観光客数の推移

(参考:国土交通省 九州運輸局)

 

ですが、住宅地を見てみると、福岡県全体ではこの5年間で3.2%の上昇をしていますが、近隣の県では軒並み5〜10%近くも下落しています。

 

福岡県の公示地価の推移

(参考:国土交通省 地価公示)

 

福岡市は、かなり特殊な例なのです。

そこで、この記事では、過去30年間の福岡県の土地価格を追いかけることで、

  • なぜ、福岡県の住宅地は、25年連続で下げ続けたのか?
  • この5年間で上昇している不動産の特徴は何か?
  • 今後の福岡県の土地価格がどうなるのか?

について、解説していきます。

 

不動産を買いたい人にも、売りたい人にも参考になるはずです。

 

1、これまでの福岡県の土地価格の動き

(1)25年連続で土地価格が下落してきた理由とは?

1989年の大納会で、日経平均は38,915円の史上最高値をつけ、これが株式市場のピークとなりましたが、不動産市場はもう少しあとの1991年(平成3年)が全国的なピークでした。

 

福岡県の公示地価(住宅地)も、ほぼ同時期の1992年(平成4年)にピークをつけてました。

 

 福岡県の公示地価(住宅地)は、平成4年ごろがピーク

福岡県の過去30年間の土地価格

(参考:国土交通省 地価公示)

 

本格的な下げは1998年ごろからではありますが、それから平成26年まで、22年間下げ続けてきたわけです。

 

その大きな理由は3つあります。

  • 不良債権処理と公共事業の削減で、不動産市場が崩壊
  • 家を建てる人が減った
  • 郊外に家を建てられるようになった

の3点です。

 

 土地価格が下がる理由①:不良債権処理と公共事業の削減で、不動産市場が崩壊

土地バブルの崩壊が崩壊して、金融機関が本格的に危なくなったのが1997〜1998年ごろでした。

 

経営破綻した金融機関
1997年・(11月)三洋証券

・(11月)北海道拓殖銀行

・(11月)山一證券

・(11月)徳陽シティ銀行

1998年・(10月)長銀

・(12月)日債銀

 

これ以上、金融機関がつぶれてしまっては日本はヤバイ!ということで、現在の金融庁が作られ、貸出先を厳しく審査するようになりました。

その結果、経営が危ない企業に対してお金を貸すことを止める「貸しはがし」が起きて、余計に景気が悪化しました。

 

金融機関の「貸しはがし」と福岡県の公示地価の下落は、ほぼ同じタイミング

福岡県の公示地価と貸出残高

(参考:日銀 時系列統計データ検索サイト)

 

さらに、2001年には小泉政権が誕生して、「構造改革」という名の下に、公共事業費が一律10%カットされました。

その後も、年金や医療費などの社会保障費も増え続けているため、公共事業に回すお金がどんどん減らされていきました。

 

その結果、福岡県の年間に1.4兆円以上あった行政投資額(公共事業など)が、8,000億円台にまで減ってしまったのです。

 

福岡県の行政投資額と公示地価は、ほとんど同じ動き

福岡県の行政投資額と公示地価

(参考:国土交通省 地価公示 総務省統計局 行政投資実績)

 

グラフを見ると、ほとんど同じ動きをしてますよね。

福岡県の景気も土地価格も、公共工事によって支えられていたと言えるでしょう。

 

 土地価格が下がる理由②:郊外に家が建てやすくなった

さらに、2000年ごろから、郊外に家がどんどん建てやすくなりました。

 

大店立地法で、ショッピングモールが簡単に建つようになった

ショッピングモールの駐車場

 

2000年に大店立地法(大規模小売店舗立地法)が成立して、イオンモールなどの大きなショッピングモールがカンタンに建てられるようになったのです。

  • 2003年11月:イオンモール香椎浜
  • 2004年6月:イオンモール福岡
  • 2005年4月:サンリブシティ小倉
  • 2006年4月:イオンモール福岡伊都
  • 2008年12月:イオンモール筑紫野

などなど、福岡県でも多くのショッピングセンターが郊外にできていますよね。

そのため、わざわざ土地価格の高い市街地に家を建てる人が減ってきたのです。

 

 土地価格が下がる理由③:家を建てる人が減った

福岡県のこの30年間の土地価格と、持ち家(戸建て・マンション)の着工戸数を並べてみると、1996年には33,000戸だった件数が、翌年には27,000戸台にまで減り、現在は17,000戸前後まで減ってしまっています。

 

家を建てる人が減って、土地価格も下落

福岡県の新築の戸数推移

(参考:国土交通省 地価公示 総務省統計局 建設着工統計)

 

その理由は、家を建てることができる人が減っているからです。

 

働く人が減った(20年間で232万→225万人)

福岡県の就業者数(仕事をしている人)を調べてみると、2000年から2010年にかけて5万人以上減りました。

働く人が減ると、家を建てられる人も減りますよね。そのため、新築の戸数も減っていく一方となってしまったのです。

 

福岡県の就業者数の推移

(参考:国土交通省 地価公示 国勢調査 人口の労働力状態,就業者の産業・職業)

 

さらに、家を買う年代の30代人口は、2008年に72万人にまで増えていますが、2010年代に入ってからは、減っていく一方で62万人にまで減少しています。

 

福岡県の年齢人口

(参考:総務省統計局 建設着工統計 総務省 住民基本台帳に基づく人口))

 

そのため、今後の着工件数の増加も、期待できないのです。

 

つまり、

  • 公共事業が減って、働く人が減ってしまった
  • ショッピングセンターが増えて、郊外のどこに住んでも便利な生活ができるようになった

という理由から、市街地の土地に対する需要が減って、土地価格が下げ続けているんですね。

 

2、この5年間の福岡県の土地価格の動き

しかし、このような郊外へと家が建つ流れが、この5年間で少しずつ変わってきています。

きっかけは、オリンピック開催決定による外国人観光客数の増加です。

 

(1)福岡市への通勤需要から、周辺地域まで土地価格が波及

過去5年間の公示地価(住宅地)の動きを見ると、福岡市の中央区を中心に、その周辺へと土地価格の上昇が広がっているような印象です。

 

福岡県の過去5年間の公示地価の変化率

福岡県の公示地価の変化率

(参考:国土交通省 地価公示)

 

博多駅を中心とした再開発で、消費が伸びているようです。外国人観光客数もどんどん増えているため、JR博多シティは昨年の来場者数が7,000万人を突破しました。

売り上げも前年比で約70億円増えており、かなり凄い勢いですよね。そのため、仕事も福岡市でどんどん増えているため、人が集まっている、という図式です。

 

博多駅前の商業施設は絶好調

JR博多シティの売上高の推移

(参考:JR博多シティ *PDF)

 

博多駅を中心とした商業地がにぎわっているのならば、通勤も電車通勤が増えるでしょう。そのため、駅から近い物件の上昇率が高まっています。

 

駅からの距離で見たときの公示地価(住宅地)の上昇率

 5分以内5-10分10-15分15-20分20-25分25-30分30分
福岡市21.3%20.6%16.1%10.8%15.2%9.6%6.7%
その他1.2%2.4%0.9%-2.4%-2.7%-3.0%-4.4%
福岡県全体10.9%8.7%6.1%2.1%1.7%-0.3%-2.5%

(出典:国土数値情報ダウンロードサービス)

 

全国的にも、通勤に便利なマンションへのニーズが、この数年で広がっています。全国の不動産価格指数を見ると、マンションだけが4割以上も上昇しています。

不動産価格指数

(参考:国土交通省 不動産価格指数(住宅地))

 

「職住近接」という言葉をたまに聞きますよね。共働きで子持ちの世帯では、保育園への送り迎えなども考えると、通勤に時間をかけてられません。

また、子持ち世帯でなくても、共働きであれば夫婦でローンを組めるので、買われやすいという背景もあるようです。

 

(2)人口はこの5年で、0.4%の増加

福岡県内の過去5年間の人口は、0.4%増えていますが、そのほとんどが福岡市の周辺に集中しています。ほぼ公示地価と同じような動きですね。

 

福岡県の過去5年間の人口の変化率

福岡県の人口変化率の分布

(参考:福岡県 市区町村別推計人口)

 

「人口が増えているから、土地価格が上がっている」というわかりやすい状況です。そのため、人口が減っている佐賀、山口、大分は土地価格も下落しているのです。

このように、仕事のあるところに人が集まって、それ以外の場所では人口が減り土地価格も下がる、という動きが、この5年間の状況だったと言えます。

 

3、福岡県の不動産は、これからどうなるのか?

このような状況の中で、福岡県の今後の土地価格に影響を与える要素が2つあります。

それは、

  • オリンピック後の観光客数の変化
  • 2025年問題

の2点です。

 

(1)オリンピック後の観光客数は、他国の例では減っていない

外国人観光客数の増加によって、商業地を中心ににぎわっている福岡市ですが、気になるのは、「オリンピック後の外国人観光客数がどうなるか?」ですよね。

過去のオリンピックと外国人観光客数の関係を調べた調査があるのですが、それによると、オリンピックが終わって観光客数が減ったところはないようです。

 

開催国のオリンピック前後の観光客数

オリンピック開催国の外国人観光客数の推移

(参考:国土交通省 観光庁 *PDFファイル)

 

ですから、引き続き商業地を中心ににぎわいは続くと見ていいでしょう。逆を言えば、これまでの福岡市に一極集中していた状況が続くとも言えます。

 

(2)2025年問題で、公共事業費がさらに減る

2025年問題とは、

「人口の多い団塊の世代が、75才以上の後期高齢者になることで、社会保障費が一気に増えて国の予算を圧迫する」

という問題です。

 

日本の社会保障費は、2025年に121.3→140.4兆円へと増える

日本の社会保障費の推移

(出典:2040年を見据えた社会保障の将来見通し(内閣府) 社会保障費用統計(国立人口問題研究所)

 

これまでも、社会保障費が増加してきたことが理由で、公共事業がどんどん削られてきました。

その社会保障費がさらに増えるわけですから、今後はさらに公共事業が減るでしょう。

 

社会保障費の増加に合わせて、公共事業も削られてきた

社会保障費と行政投資額の推移

(参考:国立社会保障・人口問題研究所 総務省統計局 行政投資実績)

 

そのため、仕事を求めて福岡市へ移住する若い人が増えるはずです。

福岡市から離れた地域では、今後の土地価格はかなり厳しくなっていくのではないでしょうか。

 

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