北海道で土地価格が上がる不動産の特徴とは?今後はどうなる?

北海道

東京オリンピック開催が注目されて、外国人観光客が増加しています。

北海道でも外国人観光客がかなり増えて、平成28年には過去最高の230万人にまで達しました。そのおかげもあって、札幌市の商業地の公示地価は、20%以上も上昇しています。

 

北海道の外国人観光客数の推移

(参考:北海道 観光局)

 

ですが、住宅地を見てみると、北海道全体ではこの5年間で2.8%の下落をしています。その中で、札幌市だけが8.5%も上昇している状況なのです。

 

北海道の公示地価の推移

(参考:国土交通省 地価公示)

 

なぜ、これほどに大きな格差が出ているのでしょうか?

 

そこで、この記事では、過去30年間の北海道の土地価格を追いかけることで、

  • なぜ、北海道の住宅地は、18年連続で下げ続けているのか?
  • この5年間で上昇している不動産の特徴は何か?
  • 今後の北海道の土地価格がどうなるのか?

について、解説していきます。

 

不動産を買いたい人にも、売りたい人にも参考になるはずです。

 

1、これまでの北海道の土地価格の動き

(1)18年連続で土地価格が下落している理由とは?

全国的に見ると、不動産のバブルが崩壊したのは、1991年(平成3年)でした。

 

北海道の公示地価(住宅地)もほぼ同じタイミングの平成3〜4年ごろがピークでしたが、本格的な下落は1997年11月の拓銀の破綻からでした。

 

 北海道の公示地価は、平成3年にピークをつけた後、横ばいが続いた

北海道の過去30年間の公示地価

(参考:国土交通省 地価公示)

 

そして、北海道の土地価格は、なんと平成29年までの26年間も下げ続けることになったのです。

 

その大きな理由は3つあります。

  • 不良債権処理と公共事業の削減で、不動産市場が崩壊
  • 家を建てる人が減った
  • 郊外に家を建てられるようになった

の3点です。

 

 土地価格が下がる理由①:不良債権処理と公共事業の削減で、不動産市場が崩壊

土地バブルの崩壊が崩壊して、金融機関が本格的に危なくなったのが1997〜1998年ごろでした。

 

経営破綻した金融機関
1997年・(11月)三洋証券

・(11月)北海道拓殖銀行

・(11月)山一證券

・(11月)徳陽シティ銀行

1998年・(10月)長銀

・(12月)日債銀

 

これ以上、金融機関がつぶれてしまっては日本はヤバイ!ということで、現在の金融庁が作られ、貸出先を厳しく審査するようになりました。

その結果、経営が危ない企業に対してお金を貸すことを止める「貸しはがし」が起きて、余計に景気が悪化しました。

 

金融機関の「貸しはがし」と北海道の公示地価の下落は一致している

北海道の公示地価と金融機関の貸出残高

(参考:日銀 時系列統計データ検索サイト)

 

さらに、2001年には小泉政権が誕生して、「構造改革」という名の下に、公共事業費が一律10%カットされました。

その後も、年金や医療費などの社会保障費も増え続けているため、公共事業に回すお金がどんどん減らされていきました。

 

その結果、北海道の年間3兆円以上あった行政投資額(公共事業など)が、1.5兆円台にまで減ってしまったのです。

 

北海道の行政投資は、3兆円→1.5兆円台にほぼ半減

北海道の行政投資額と公示地価の推移

(参考:国土交通省 地価公示 総務省統計局 行政投資実績)

 

地方の経済は、公共事業に依存しているところも多いので、仕事がどんどん減った結果、土地価格の下落が止まらなくなっているのです。

 

 土地価格が下がる理由②:郊外に家が建てやすくなった

また、2000年ごろから、郊外に家がどんどん建てやすくなりました。

 

大店立地法で、ショッピングモールが簡単に建つようになった

ショッピングモールの駐車場

 

2000年に大店立地法(大規模小売店舗立地法)が成立して、イオンモールなどの大きなショッピングモールがカンタンに建てられるようになりました。

  • 2000年9月:イオンモール釧路昭和
  • 2000年11月:イオンモール札幌平岡
  • 2004年4月:イオンモール旭川西
  • 2005年4月:イオンモール苫小牧
  • 2006年10月:イオンモール札幌発寒

など、多くのショッピングモールができたことで、わざわざ駅に近い場所に家を建てる必要性がなくなったのです。

 

 土地価格が下がる理由③:家を建てる人が減った

北海道の新築の戸数は、1996年に45,000戸ほどでしたが、翌年には30,000戸まで激減、その後はさらに15,000戸まで減っていきました。

 

家を建てる人が減って、土地価格も下落

北海道の新築の戸数

(参考:国土交通省 地価公示 総務省統計局 建設着工統計)

 

その理由は、家を建てられる人が減っているからです。

 

働く若い人が減った(20年間で280万→243万人)

北海道の就業者数(仕事をしている人)を調べてみると、1995年に280万人いましたが、5年ごとに7〜10万人減っていきました。

団塊の世代の退職は2007年からですので、その前から減っているということは、働く若い人の数が減っているということです。

働く若い人が減ると、家を建てられる人も減りますよね。

そのため、新築の戸数も減っていく一方となってしまったのです。

 

北海道の就業者数の推移

(参考:国土交通省 地価公示 国勢調査 人口の労働力状態,就業者の産業・職業)

 

しかし、年代別の人口を見ると、家を買う年代の30代人口は、2007年ごろまで増えていますが、この10年で18万人も減少しています。

少子高齢化の影響もあって、買い手となる世代が減る一方なのです。

 

家を買う世代の30代人口は、この10年で77万人→59万人まで減少

北海道の30代人口の推移

(参考:総務省統計局 建設着工統計 総務省 住民基本台帳に基づく人口))

 

そのため、住宅の着工戸数もほぼ最低水準で横ばいのままです。

 

つまり、

  • 家を建てる人が減っている
  • ショッピングセンターが増えて、郊外のどこに住んでも便利な生活ができるようになった

という理由から、市街地の土地に対する需要が減って、土地価格が下げ続ける傾向にあったわけですね。

 

2、この5年間の北海道の土地価格の動き

しかし、このように郊外に家が建つ流れが、この5年間で少し変わってきました。

外国人観光客が増えてきたことで、観光地や札幌市の中心部の商業地が活発になってきたために、通勤需要が生まれてきたからです。

 

(1)札幌市への通勤需要から、周辺地域まで土地価格が波及

過去5年間の公示地価(住宅地)の動きを見ると、札幌市の中央区を中心に、その周辺へと土地価格の上昇が広がっているような印象です。

 

北海道の過去5年間の公示地価の変化率

北海道の公示地価の変化率

(参考:国土交通省 地価公示)

 

5年間で上昇、または下落していない市区町村は、

  • 倶知安町(+52.8%)
  • 札幌市(+8.5%)
  • 中標津町(+1.3%)
  • 根室市(+1.1%)
  • 富良野市(0.0%)
  • 音更町(0.0%)

の6市町村のみでした。

 

札幌市周辺の過去5年の公示地価の変化率

札幌市周辺の公示地価

(参考:国土交通省 地価公示)

 

ニセコが外国人観光客に人気で、その隣の倶知安町に従業員用の住宅ニーズが増えて土地価格が上昇していますが、そのような特殊要因を除くと、ほぼ札幌市に住宅のニーズが集中しています。

 

(2)人口はこの5年で、2.8%のマイナス

 

北海道の過去5年間の人口の変化率

北海道の人口変化率

(参考:北海道 道内市町村の概要)

 

占冠村はトマムが人気ですし、東川町は旭川のベッドタウンで、旭山動物園も近いため、仕事もあり移住者が増えているようです。

 

札幌市周辺の過去5年間の人口変化率

札幌市周辺の人口変化率

(参考:北海道 市区町村別人口)

 

新千歳空港ターミナルビルが民営化されましたが、昨年の旅客数は2309万人と過去最高を更新して絶好調のようです。

そのため、千歳空港での仕事が増えて、千歳市や恵庭市でも人が増えています。

ですが、車での移動が基本となるため、市の中心部への土地ニーズがあまりなく、土地価格は下がり気味です。

 

(3)札幌市で上昇しているのは、通勤ニーズのある駅近物件のみ

札幌市の土地価格の上昇率を駅からの距離で分けて調べてみたところ、駅に近いところほど上昇率が高く、徒歩30分以上のところではほとんど変化がありませんでした。

車での通勤を前提とした場所では、古くからある郊外ではなくニュータウンへ人が流れてしまうため、土地価格が上昇しにくいのです。

 

駅からの距離で見たときの公示地価(住宅地)の上昇率

 5分以内5-10分10-15分15-20分20-25分25-30分30分以内
札幌市18.7%16.2%11.5%10.2%5.1%5.7%-0.1%
その他-12.1%-8.5%-7.9%-8.0%-8.4%-5.8%-6.8%
北海道全体3.5%2.7%-1.1%-4.2%-3.2%-3.3%-5.1%

(出典:国土数値情報ダウンロードサービス)

 

 

3、北海道の不動産は、これからどうなるのか?

このような状況の中で、北海道の今後の土地価格に影響を与える要素が2つあります。

それは、

  • 東京オリンピック後の外国人観光客の動向
  • 2025年問題で、公共事業がさらに減っていく

の2点です。

(1)オリンピック後の観光客数は、他国の例では減っていない

外国人観光客数の増加によって、商業地を中心ににぎわっている札幌市周辺ですが、気になるのは、「オリンピック後の外国人観光客数がどうなるか?」ですよね。

過去のオリンピックと外国人観光客数の関係を調べた調査があるのですが、それによると、オリンピックが終わって観光客数が減ったところはないようです。

 

開催国のオリンピック前後の観光客数

オリンピック開催国の外国人観光客数の推移

(参考:国土交通省 観光庁 *PDFファイル)

 

ですから、引き続き商業地を中心に、にぎわいは続くと見ていいでしょう。

逆を言えば、これまでの札幌市やニセコ、トマムなどの観光地に一極集中していた状況が続くとも言えます。

そのため、これらの地域から離れたところでは、人口も土地価格の下落も進んでいくのではないでしょうか?

 

(2)2025年問題で、公共事業費がさらに減る

2025年問題とは、

「人口の多い団塊の世代が、75才以上の後期高齢者になることで、社会保障費が一気に増えて国の予算を圧迫する」

という問題です。

 

日本の社会保障費は、2025年に121.3→140.4兆円へと増える

日本の社会保障費の推移

(出典:2040年を見据えた社会保障の将来見通し(内閣府) 社会保障費用統計(国立人口問題研究所)

 

これまでも、社会保障費が増加してきたことが理由で、公共事業がどんどん削られてきました。

その社会保障費がさらに増えるのです。今後はさらに公共事業が減るのは確実でしょう。

 

社会保障費の増加に合わせて、公共事業も削られてきた

社会保障費と行政投資額の推移

(参考:国立社会保障・人口問題研究所 総務省統計局 行政投資実績)

 

そのため、仕事を求めて札幌市などの大都市へ移住する人が増えるはずです。

そう考えると、札幌市から離れた地域では、今後も土地価格は下げ続けるのではないでしょうか。

 

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