広島県で土地価格が上がる不動産の特徴とは?今後はどうなる?

広島市の路面電車 広島県

広島県のこの5年間の土地価格を見ると、住宅地で2.6%のマイナスでした。

広島市ではこの期間に外国人観光客がかなり増えて、昨年は過去最高の150万人を超えました。そのおかげもあって、広島市の商業地の公示地価は、過去5年間で50%以上も上昇しているところもあります。

 

広島県の公示地価の推移

(参考:国土交通省 地価公示)

 

しかし、隣の岡山県や山口県では、あまり堅調ではなさそうですし、広島県全体で見るとマイナスということで、地域によってかなり格差が出ているようです。

 

そこで、この記事では、過去30年間の広島県の土地価格を追いかけることで、

  • なぜ、広島県の住宅地は、25年連続で下げ続けたのか?
  • この5年間で上昇している不動産の特徴は何か?
  • 今後の広島県の土地価格がどうなるのか?

について、解説していきます。

 

不動産を買いたい人にも、売りたい人にも参考になるはずです。

 

1、これまでの広島県の土地価格の動き

(1)25年連続で土地価格が下落してきた理由とは?

1989年の大納会で、日経平均は38,915円の史上最高値をつけ、これが株式市場のピークとなりましたが、不動産市場はもう少しあとの1991年(平成3年)が全国的なピークでした。

 

広島県の公示地価(住宅地)もほぼ同時期にピークをつけてました。

 

 広島県の公示地価(住宅地)は、平成3年ごろがピーク

広島県の過去30年間の公示地価

(参考:国土交通省 地価公示)

 

それから平成28年まで、25年間下げ続けてきたわけです。

 

その大きな理由は3つあります。

  • 不良債権処理と公共事業の削減で、不動産市場が崩壊
  • 家を建てる人が減った
  • 郊外に家を建てられるようになった

の3点です。

 

 土地価格が下がる理由①:不良債権処理と公共事業の削減で、不動産市場が崩壊

土地バブルの崩壊が崩壊して、金融機関が本格的に危なくなったのが1997〜1998年ごろでした。

 

経営破綻した金融機関
1997年・(11月)三洋証券

・(11月)北海道拓殖銀行

・(11月)山一證券

・(11月)徳山シティ銀行

1998年・(10月)長銀

・(12月)日債銀

 

これ以上、金融機関がつぶれてしまっては日本はヤバイ!ということで、現在の金融庁が作られ、貸出先を厳しく審査するようになりました。

その結果、経営が危ない企業に対してお金を貸すことを止める「貸しはがし」が起きて、余計に景気が悪化しました。

 

金融機関の「貸し剝がし」と広島県の公示地価は、ほぼ同じタイミングで下落

広島県の公示地価と貸出残高

(参考:日銀 時系列統計データ検索サイト)

 

さらに、2001年には小泉政権が誕生して、「構造改革」という名の下に、公共事業費が一律10%カットされました。

その後も、年金や医療費などの社会保障費も増え続けているため、公共事業に回すお金がどんどん減らされていきました。

 

その結果、広島県の年間に1兆円以上あった行政投資額(公共事業など)が、4,000億円以下にまで減ってしまったのです。

 

広島県の行政投資(公共事業など)は、1兆円→4,000億円まで激減

広島県の行政投資額と公示地価

(参考:国土交通省 地価公示 総務省統計局 行政投資実績)

 

民間の金融機関の貸出は、2004年ごろに下げ止まりましたが、地方の経済は公共事業の方が影響が大きいため、行政投資額の削減がそのまま土地価格にまで響いているのが現状です。

 

 土地価格が下がる理由②:郊外に家が建てやすくなった

さらに、2000年ごろから、郊外に家がどんどん建てやすくなりました。

 

大店立地法で、ショッピングモールが簡単に建つようになった

ショッピングモールの駐車場

 

2000年に大店立地法(大規模小売店舗立地法)が成立して、イオンモールなどの大きなショッピングモールがカンタンに建てられるようになりました。

  • 2004年3月:イオンモール広島府中
  • 2009年4月:イオンモール広島祇園
  • 2017年4月:レクト(広島市西区)

など、広島県でも多くのショッピングセンターが郊外にできていますよね。

郊外のショッピングモールの方が、お店の数も多いし、駐車場代もかからないし品揃えも多いので、みんなそちらを利用してしまいます。

そのため、土地価格が安い郊外に家を建てる流れが進んでいったのです。

 

 土地価格が下がる理由③:家を建てる人が減った

広島県のこの30年間の土地価格と、持ち家(戸建て・マンション)の着工戸数を並べてみると、1996年には20,000戸だった件数が、翌年には15,000戸台にまで減り、現在は10,000戸前後まで減ってしまっています。

 

家を建てる人が減って、土地価格も下落

広島県の新築の戸数推移

(参考:国土交通省 地価公示 総務省統計局 建設着工統計)

 

その理由は、家を買うことができる人が減っているからです。

 

働く人が減った(20年間で147万→133万人)

広島県の就業者数(仕事をしている人)を調べてみると、1995年に147万人いましたが、5年経つごとに3〜4万人近くの就業者が減っていきました。

働く人が減ると、家を建てられる人も減りますよね。そのため、新築の戸数も減っていく一方となってしまったのです。

 

広島県の就業者数

(参考:国土交通省 地価公示 国勢調査 人口の労働力状態,就業者の産業・職業)

 

さらに、家を買う年代の30代人口は、2007年には41.6万人まで増えましたが、2018年現在で31.8万人とほぼ10万人の減少となっています。

 

広島県の30代人口

(参考:総務省統計局 建設着工統計 総務省 住民基本台帳に基づく人口))

 

そのため、住宅の着工戸数も増えず、土地価格も上昇しない状況なのです。

 

つまり、

  • 公共事業が減って、働く人が減ってしまった
  • ショッピングセンターが増えて、郊外のどこに住んでも便利な生活ができるようになった

という理由から、市街地の土地に対する需要が減って、土地価格が下げ続けているんですね。

 

2、この5年間の広島県の土地価格の動き

このような動きがあった広島県の不動産市場ですが、この5年間で一部の地域で変化が見られるようになっています。

 

(1)広島市への通勤需要から、周辺地域まで土地価格が波及

過去5年間の公示地価(住宅地)の動きを見ると、広島県の中区や南区を中心に、その周辺へと土地価格の上昇が広がっているような印象です。

広島県の過去5年間の公示地価の変化率

広島県の公示地価の変化率の分布

(参考:国土交通省 地価公示)

 

このように広島市だけが土地価格が上昇している背景には2つの理由があります。

 

①広島市の観光客数がかなり伸びている

広島市の観光客数の推移

(参考:広島市 観光概況)

 

オバマ前大統領が広島訪問をしたり、歴史の教科書にも載っている国も多いため、平和記念公園へ訪れる観光客が増えているのです。

同様の現象は長崎でも起こっているようで、長崎市の土地価格もかなり上昇しています。

 

②マツダ自動車の業績がいい

もう1点が、マツダ効果です。アベノミクスが始まって以降、為替の円安効果もあって、自動車産業が好調です。

愛知県でもトヨタ効果によって、豊田市の周辺ではかなり土地価格が上昇しています。同じ動きが、広島市でも起こっているのです。

 

日銀の異次元緩和(2013.4〜)以降の円安で、業績が急回復

円ドル相場とマツダの当期純利益

(参考:マツダ自動車 決算 IMF)

 

例えば、広島市南区東雲地区は、広島駅から3km以上離れた地区ですが、マツダ本社から近いということもあって、この5年間で30%以上も土地価格が上昇しています。

また、自動車産業は裾野が広い産業なので、周辺の市町村からも人が移り住んできます。東広島市あたりも人口が増えていますが、円安によって製造業が息を吹き返していることが背景にあるようです。

 

広島県の過去5年間の人口の変化率

広島県の人口変化率の分布

(参考:広島県 人口移動統計調査)

 

「人口が増えている(減っている)から、土地価格が上がっている(下がっている)」わけですね。

このように、仕事のあるところに人が集まって、それ以外の場所では人口が減り土地価格も下がる、という動きが、この5年間の状況だったと言えます。

 

3、広島県の不動産は、これからどうなるのか?

このような状況の中で、広島県の今後の土地価格に影響を与える要素が2つあります。

それは、

  • オリンピック後の観光客数の変化
  • 2025年問題

の2点です。

 

(1)オリンピック後の外国人観光客数はどうなるのか?

外国人観光客数の増加と、円安効果によって、盛り上がっている広島市ですが、気になるのは、「オリンピック後の外国人観光客数がどうなるか?」「円安はこれからも続くのか?」ですよね。

過去のオリンピックと外国人観光客数の関係を調べた調査があるのですが、それによると、オリンピックが終わって観光客数が減ったところはないようです。

 

開催国のオリンピック前後の観光客数

オリンピック開催国の外国人観光客数の推移

(参考:国土交通省 観光庁 *PDFファイル)

 

ですから、引き続き商業地を中心ににぎわいは続くと見ていいでしょう。逆を言えば、これまでの広島市に一極集中していた状況が続くとも言えます。

 

黒田総裁の円安政策は、当分続きそう

また、今回の円安は日銀総裁が黒田総裁に変わって、異次元緩和を始めたのがきっかけでした。今年の4月で任期が切れる予定でしたが、再任されたため2023年までは今までの政策が続くものと思われます。

ということは、当分この状況は続くと見ていいのではないでしょうか。

 

(2)2025年問題で、公共事業費がさらに減る

2025年問題とは、

「人口の多い団塊の世代が、75才以上の後期高齢者になることで、社会保障費が一気に増えて国の予算を圧迫する」

という問題です。

 

日本の社会保障費は、2025年に121.3→140.4兆円へと増える

日本の社会保障費の推移

(出典:2040年を見据えた社会保障の将来見通し(内閣府) 社会保障費用統計(国立人口問題研究所)

 

これまでも、社会保障費が増加してきたことが理由で、公共事業がどんどん削られてきました。

その社会保障費がさらに増えるわけですから、今後はさらに公共事業が減るでしょう。

 

社会保障費の増加に合わせて、公共事業も削られてきた

社会保障費と行政投資額の推移

(参考:国立社会保障・人口問題研究所 総務省統計局 行政投資実績)

 

そのため、仕事を求めて広島市周辺へ移住する若い人が増えるでしょう。

これまで人口の減り幅の大きい市区町村では、今後さらに人が減っていくはずです。土地価格も厳しいのではないでしょうか。

 

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