2025年問題と売れなくなる不動産の見分け方

2025年問題 不動産の相場予測

「2025年問題」とは、団塊の世代が(1947〜1949生)が、全員75歳以上の後期高齢者に突入することで、社会保障費が30兆円増えると言われている問題です。

ですが、この問題が不動産市場にどのような影響を与えるのかをきちんと把握している人はいないように思います。

 

では、どのような影響があるのか?

具体的には、

「街の中心地以外の幼稚園や介護施設などの公共サービスが削られて、不便な立地の地域の地価が下がっていく。」

ということが起こるはずです。

この記事では、その理由について解説したいと思います。

1、2025年問題とは?

まずは、2025年問題について、少し解説します。

2018年現在で、日本の社会保障費(介護や医療などの費用)は、約121兆円もの規模になっています。

それが2025年には団塊の世代の方々が75才以上の後期高齢者になることで約20兆円(16%)も増えるのです。

 

<社会保障費の推移と将来の予想>

社会保障費の推移と予想

(出典:2040年を見据えた社会保障の将来見通し(内閣府) 社会保障費用統計(国立人口問題研究所)

 

社会保障費としては16%の増加でしかありませんが、自治体から見るとかなりのインパクトになります。

 

京都市を例に考えてみると

例えば、京都市の社会保障費は、一般会計(福祉関係)で約3,000億円。特別会計(医療・介護関係)で約3,200億円で合計6,600億円ぐらいあります。

16%増えるとしたら、1,000億円増えて、7,600億円にまで膨れあがるのです。

<京都市の社会福祉費の内訳>

*スマホで見る場合は、横にスライドできます

区分勘定科目歳出額(億円)
一般会計社会福祉費2978.8
保健衛生費474.4
特別会計国民健康保険事業1705.3
介護保険事業1257.7
後期高齢者医療事業176.6
社会保障費合計6592.8

(参考:京都市 平成28年度決算実績報告書)

 

京都市はこの10年間で、すでに3,000人以上のリストラや、事業の見直しで経費をガンガン削っています。

年間ベースで318億円の経費を削減してきました。

(平成27年度決算概況について(速報値))

 

ですが、これから1,000億円も増えるとなれば、今後どうなるかわかりません。

消費税、医療費・介護費の自己負担率の引き上げはもちろんですが、公的サービスの運営費用の削減にも取り組むでしょう。つまりは、利用者の少ない施設を統合していくはずです。

そうなると、利用者の少ない周辺部では、より不便になっていくはずです。そのような地域の地価は下がっていかざるを得ないでしょう。

 

横須賀市では、すでに幼稚園や福祉施設の削減を始めている

横須賀市では、高齢者率が30%を越えて、介護や医療費が増えている反面、 若い人が減って税収が減少しています。

そのため、これまでの市の貯金が、どんどん取り崩されています。

 

<横須賀市の財政調整基金等(貯金)の推移>

(出典:横須賀市 現在の財政状況)

 

①が実際の貯金額の推移ですが、これは市が持っている土地を売って穴埋めしてき た結果です。

もし売れる土地がなかったら、②のように、2016年でほぼ貯金がゼ ロになっている状況なのです。

 

そのため、市営住宅や学校、幼稚園、福祉センターなどの統廃合を進めています。 348の公共施設のうち、3分の1以上の137の施設が対象となるのです。

具体的にはどんなものかというと、こんな感じです。↓

 

市内在住の78歳の女性はこう言っています。

「社会保障を理由に、地域の歴史や文化が1つ、
 また1つと売却されていくことに怖さを感じる。」
(出典:NHKスペシャル取材班「縮小ニッポンの衝撃」)

「背に腹はかえられない」という言葉がありますが、 使える予算が減っていく自治体では、住民の声を聞く余裕もなくなります。

まるで会社の「リストラ」のような、容赦のない削減と売却が進んでいるのです。

 

すでに地域による線引きが始まっている

ほとんど全ての自治体で、このような状況に直面します。もちろん、国や自治体も何もしていないわけではありません。

  • 税金を上げる
  • 医療保険、介護保険の自己負担率を上げる
  • 年金の受給者資格を厳しめにする

など、いろいろと話題になりますよね。

 

これらに加えて、「行政サービスの範囲を狭くすることで、お金を節約しよう。」という動きがあるのです。

具体的には「立地適正化計画(りっちてきせいか けいかく)」を各自治体が作って動き出しているのです。

 

2、立地適正化計画とは?

立地適正化計画とは、

  • 街の中心部:商業施設を建てたら税金を優遇、公共サービスも手厚く
  • それ以外の場所:商業施設を建てたいなら届け出が必要。やりにくくさせる

という方向へと住民や事業者を誘導することで、行政サービスの経費の削減をしようとする計画です。

ちょっと立地適正化計画について、イメージしにくいと思うので、国土交通省が使っているイメージ図を借りてきます。

 

<立地適正化計画のイメージ>

都市機能誘導区域のイメージ

(出典:国土交通省 立地適正化計画の意義と役割)

 

立地適正化計画では、街の中心部に2つの区域を設定します。

 ①都市誘導区域(赤色の部分)

 ②居住誘導区域(青色の部分)

鉄道駅やバス停を中心に、区域を設定するイメージです。

ここに、幼稚園や介護施設などの公共施設だけでなく、銀行やスーパーなど生活に必要なサービスも集中させる構想を各自治体が作っているのです。

 

ようするに、「人口も減っていく中で、町中にバラバラに住まれたらお金がかかる ので、駅前などの人の集まるところに集中させたい。」ということです。

コンパクト・シティって言葉も最近よく聞きますよね。

 

立地適正化計画の調べ方

2018年5月現在で、407の自治体が取り組み中です。「◎」がついた123都市については、「市町村名 + 立地適正化計画」で検索すれば、その資料を見ることができます。

こちらのリンクで、どの市区町村がすでに作成しているのかを確認できます。

→(国土交通省 「立地適正化計画の取組状況」)

 

<こんな感じで、取り組み状況がわかります>

 

もし、あなたのお住いの市町村がまだであれば、 あなたが知っている地域の計画を見てみれは、傾向がわかるはずです。

 

三重県津市を例に、見方を解説します

例えば、三重県の津市(人口約28万人)で見ると、こんな感じです↓

 

<三重県津市の立地適正化計画図>

(出典:津市 立地適正化計画)

 

赤色で塗られている地域が「①都市拠点エリア」 黄色で塗られている地域が「②居住促進エリア」です。

この2つのエリアに、公共施設を充実させたり、 商業施設を誘導していくはずです。

注目したいのは、市街化区域であっても、 これらの誘導エリアから外れている場所があるということです。 (グレーで塗られている「③一般市街地エリア」)

 

三重県津市のエリア選定基準

工場がたくさん立っている場所や、 津波などの恐れがある場所が外されています。

津市のホームページを見ると、

 

  • 市街化区域内にあるか?
  • 駅やバス停などの交通機関をカバーしているか?
  • 津波や地震による土砂崩れの危険がない地域か?
  • 工業地域内にないか?
  • 飛び地(市街地から孤立した地域)ではないか?

 

といった判断基準で、線引きされていることがわかります。

他の市区町村でも、判断基準に大きな違いはないでしょう。

この地域から外れてしまうと、今後は幼稚園や福祉施設が街の中心部へ移されていく可能性があります。

 

今以上に車なしでは生活が不便になっていくはずです。

親御さんの援助が受けられる、などのよほどの理由がない限りは、不動産を買おうとする人はいなくなるでしょう。

 

結論

というわけで、2025年問題の不動産への影響について考えてみましたが、いかがだったでしょうか?

自治体の高齢化が進むことで、予算が足りなくなり公共サービスが削られていく、という流れは避けようもありません。

最近は市の中心部のマンションに引っ越す高齢者が増えていると言われていますが、このような流れを先取りしているとも言えます。

 

この立地適正化計画から外れた地域にある場合には、今以上に「売るに売れなくなるリスク」が高まるのは確実です。

2025年問題は、あと7年後ではありますが、自治体の財政事情によって、早まったり遅くなったりします。早めに考えておくべき問題かもしれません。

 

あなたの不動産は上がってる?下がってる?

もし、あなたがお持ちの不動産の現状を確認したいのであれば、一括査定の活用をオススメします。

というのも、あなたの不動産の情報は、ネット上では調べることは難しいからです。不動産の取引には “個人情報” が含まれるため、不動産会社しか見れないのです。

 

例えば、冒頭でご紹介した公示地価も、全国で約2,6000地点しか調べられていません。全国の土地は約8,000万筆あるので、 “3,000分の1” しかカバーしていないのです。

 

例えば、人口30万人以上の愛知県豊橋市でも、公示地価はわずか68地点

豊橋市の公示地価の地点数

(参考:国土交通省 地価公示・都道府県地価調査)

 

そのため、公示地価よりも1〜5割以上高く、または安く取引されている事例も見受けられます。なので、実際に不動産会社に聞かないと本当の価格はわからないのです。

(参考:2分でできる公示地価の調べ方。実際の取引価格とはゼンゼン違う!)

 

でも、わざわざ不動産会社に行くのも面倒じゃないですか?

売ると決めたわけでもないのに、しつこい勧誘があったら嫌ですし。

 

その点、不動産の一括査定では、「机上査定」という、ネットや電話、郵送などのやりとりですむ査定方法が使えます。

 

机上査定の入力例

 

詳しい選び方については、こちらの記事で開設しましたので、ご参考ください。

 

→「不動産の価格を調べるなら、一括査定が1番優れている理由」

 

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