遺留分、もしかして少ないかも?損しないための注意点

相続

「長男に全ての財産を相続させる」という遺言があったり、残された財産が、分けることができない自宅などの不動産だけの場合、何ももらえない相続人が、少しでも自分たちの権利を取り戻すために、「遺留分」を請求するという方法があります。

この記事では、この「遺留分」について解説していきながら、遺留分で損しない方法について、ご紹介したいと思います。

1、そもそも遺留分とは?

遺留分とは、被相続人(亡くなった人)の兄弟姉妹以外の法定相続人に最低限保証されている相続財産の割合のことを指します。

つまり、亡くなった人の親や子供に保証されている相続の権利であり、兄弟姉妹には、その権利はありません。

遺留分の割合は、誰が相続人なのかによって変わってきます。ケース別にまとめてみたのが、以下の表です。

 

 

相続人が両親だけの場合のみ、遺留分は、法定相続分の1/3ですが(ケース6参照)、それ以外の場合は、法定相続分の1/2が保証されています(ケース1〜5、8)。

相続人の数にもよりますが、子どもの場合でも、財産の1割前後は遺留分として残されます。

都市部で戸建やマンションを持っている場合であれば、数百万円単位での財産を相続できる可能性が高いです。

 

遺留分は、誰にどのようにして請求するの?

遺留分の請求は、相続財産をもらいすぎている人に対して行います。「長男に全財産を相続する」という遺言があれば、長男に対して請求するわけですね。

請求する方法は、法律で定められていませんので、口頭でも電話やメール、FAXなどでもできます。ですが、裁判になった場合のことを考えると、配達証明付きの内容証明郵便で行うべきですね。

 

というのも、遺留分の請求には期限があって、遺留分を侵害されたと分かってから1年以内と定められているからです。内容証明郵便であれば、日付が証拠として残るので、相手が期限切れという主張をしてくるのを防ぐことができます。

 

また、請求する相手は、親族のケースが多いですから、その後の関係を考えると、話し合いから始めることになると思います。それでも交渉に進展がない場合には、弁護士へ相談して、調停、裁判という方法へと進めていくことになります。

 

あなたはどちらのパターン?遺言の有無で対策も変わる。

ただ、相手と交渉する場合にも、自分が置かれている状況によって、取るべき方法が変わってきます。

大きく分けると、以下の2つのパターンに分かれます。

 

① 公正証書遺言によって、「長男に全財産を相続させる」などの遺言がある場合

② 遺言が残っておらず、遺産分割協議によって、相続人同士で話し合いが行われる場合

 

順に見ていきましょう。

 

①公正証書遺言が残っている場合

まず、①の場合だと、長男さんは、あなたに相続財産がいくらなのかを教えることなく、相続手続きを進めることができます。

公正証書遺言とは、公証役場で作成された遺言で、法的に効力があるため、銀行の口座名義や自宅の名義をあなたの同意なしに、自分名義に変えることができるんですね。

 

ですから、あなたが遺留分を長男さんに請求して、話し合いで決着させようとしても、そもそも財産がいくらあるのかが分かりません。

「よし、分かった。じゃあ、500万円あげるよ」

と、長男さんに言われても、それが遺留分よりも多いのか少ないのか、判断がつかない、という状況になります。

(もちろん相手もそれが分かっているはずですから、実際の遺留分よりも少ない金額でおさめようとするでしょうね)

 

これを回避するには、相続財産を自分で調べる必要があります。

不動産は、市役所に問い合わせれば、分かりますし、預貯金は、各金融機関に問い合わせると、教えてくれます。

多少時間はかかりますが、なるべく正確に調べることが、より多くの遺留分を取り戻すことにつながります。

 

②遺言がなく、遺産分割協議で決める場合

では、②の場合はどうでしょうか?

この場合は、遺産分割協議と言って、相続人全員で話し合って、誰が何をどれぐらい相続するのかを決めます。

 

この場合なら、あなたは全ての財産を知ることができます。

仮に長男さんが、「自宅を相続したい」と言ってきても、「じゃあ、わたしの分として、最低限これぐらいちょうだいね」という交渉をすることができます。

もし、長男さんや他の人が「No!」と言っても、「それなら同意しない」と言えば、相続手続きができないため、あなたの言い分が無視されることはありません。

 

「それなら法定相続分の権利を主張すればいいじゃないか」

「遺留分など必要なさそうだ」

と思うかもしれませんが、自宅以外に相続できる財産がない場合だと、自宅を売って等分で分割する以外に、法定相続分で相続をする方法はありません。

 

仮にご両親の面倒を長男さん夫婦が見てきたのであれば、長男さんから見れば、あまりにもひどい仕打ちと感じるでしょう。

絶縁を覚悟で主張するのでなければ、「法定相続分まではもらえなくても、遺留分ぐらいは欲しい」というバランスで話し合うことは十分にありえますよね。

 

遺留分で損しない方法は、不動産の時価評価を調べること

ただ、①でも②でも共通することは、自宅などの不動産の評価額について、きちんと調べておかないと、損をするということです。

というのも、相続で使われる不動産の評価額は、通常は「路線価」という価格が使われるからです。この路線価は、時価評価(今いくらで売れるか)のおよそ7〜8割程度の価格に抑えられるように、国の方で算出しているものです。

 

つまり、路線価を使って話し合うということは、全財産の評価額が、実際よりも低く算出されるということになるのです。

全部で1億円の財産があれば、1割もらえるとすると1,000万円ですが、路線価で算出してみたら8,000万円だとすれば、800万円にしかなりませんからね。

ですから、不動産については、時価評価がいくらなのかを調べておいた方が、遺留分の交渉の時に損しないで済むのです。

 

時価評価の調べ方については、こちらの記事「」でまとめてますので、ご興味のある方は参考にしてみてください。

 

終わりに

交渉ごとが苦手な日本人にとって、相手に遺留分の請求をすることは、なかなか難しいものですが、かと言って、交渉の矢面に立ちたくないと弁護士を立てて、いきなり裁判をしてしまえば、それ以降の関係は途絶えるでしょう。

徹底的に戦って、より多くの譲歩を引き出すのか、今後の関係が維持できるように、それなりの譲歩を求めるのか、求める結末は人それぞれだと思います。

しかし、いずれを選ぶにせよ、相続財産をきちんと把握することが、損しないための第一歩となるはずです。

 

後悔のない、相続にしていきましょうね。

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