土地活用で気をつけたい「これから起こる3つ変化」とは?

土地活用 不動産活用

土地活用について、多くのサイトではその「選択肢」を解説しているところが多いと思います。例えば、

  • アパートを建てて貸す
  • 駐車場として貸す
  • 太陽光発電で売電収入を得る
  • 高齢者向け施設を建てて貸す

など、1度は目にしたり耳にしたりしたことがあるでしょう。

ですが、不動産はその名の通り「動かすことができない」ため、その地域で「需要(ニーズ)」がなければ、いくら頑張っても商売になりません。

この「需要(ニーズ)」がわからないために、「サブリース(○年間の家賃を保証しますよ)問題」が起こりました。

「35年間家賃が保証されているのなら、こんな田舎で借り手なんて誰もいないと思うけど、損はなさそうだ。」と契約してしまい、現在はその利払いで苦しんでいる人がたくさんいるのです。

 

この記事では、そのような方がこれ以上増えないように、「これから起こる3つの変化」について解説していきます。

その上で土地活用を考えていただければ、大きな損や負債を抱えずに済むはずです。

1、人が減るので、借り手も減る。逆に土地は余る

日本の人口は、2008年に1億2,800万人でピークをつけ、それから10年連続で減少しています。

一人暮らしの高齢者の死亡数よりも、若い世代が一人暮らしや所帯を持つ数の方が多いので、まだ世帯数は増えています。ですが、それも2020年がピークと予想されていますから、これ以上の家は必要ないのが現状です。

 

日本の人口の推移

(出典:人口推計(総務省統計局))

 

空き家率も2013年現在で13.5%でしたが、2033年には30%を超えるという予想も出ています。つまり、借りる人は減っていくのに、家や土地は逆にどんどん余るのです。

ということは、よほど立地や家賃などの条件が良くなければ、他との競争で負けることになります。

 

昨年あたりから経済誌でも「今の不動産投資ブームってヤバイんじゃない?」という内容のものがチラホラ出てきました。

盛り上がってるのは「貸し手」の方だけで、「借り手」の方ではないことは認識しておくべきでしょう。

 

2、立地適正化計画で、貸せる場所が狭まっていく

人口が減少していくことに対して、国や自治体も手をこまねいている訳ではありません。

と言っても、「産めよ殖やせよ」はもう通用しませんから、逆に「どんどん縮小させてバランスを取ろう」という動きが始まっているのです。

その具体例が「立地適正化計画」です。

 

立地適正化計画とは?

「住みやすい区域とそうでない区域に分けて、行政コストを減らそう」

という計画です。

立地適正化計画は、2018年6月現在で、161の市区町村が公表しています。(下表の◎、◯の市区町村)

 

立地適正化計画の作成状況

「立地適正化計画作成の取組状況」

 

立地適正化計画では、自治体の中に2つの地域を設定します。

都市機能誘導区域(下図の赤色のエリア):駅やバス停など便利で人が集まりやすい場所

居住誘導区域(下図の青色のエリア):便利な施設に近くて住みやすい場所

の2つです。

立地適正化計画のイメージ

(参考:国土交通省 立地適正化計画)

 

その上で、例えば、

エリア内(お金をかけて、優遇する地域)

・分散している市役所や公民館などの公共施設を1カ所に集めて、使いやすくする

・エリア内に新しい病院や商業施設を建てる時に、税金を優遇する

 

エリア外(お金をかけないで、優遇しない地域)

・新しい分譲住宅(3戸以上)やスーパーなどを作るときに、めんどくさくする(届け出制にする)

・エリア外で人が減っている場所の公共施設は、小学校の空き教室に集約する

・バス路線を廃止して、民間の安い運行サービス(マイクロバス、ジャンボタクシーなど)に切り替える

などの方法で、人を街の中心部に住んでもらうことで、なるべくお金がかからない街づくりを目指そうとしています。

 

つまり、この2つの区域(特に居住誘導区域)から外れたエリアは、今後「人が住むには不便な地域」「売るに売れなくなる地域」になる可能性が高いのです。

 

居住誘導区域「外」では、アパートを建てることも難しくなる

立地適正化計画は、全国の自治体の1割程度しか作成していませんが、すでに2割程度の自治体は計画に着手していますので、今後徐々に増えていきます。

札幌市や名古屋市などの人口の増えている大都市も取り組んでいますので、「大都市だから関係ない」という訳でもありません。

札幌市の立地適正化計画はこちら

名古屋市の立地適正化計画はこちら

立地適正化計画は、15年〜20年程度の長い期間で少しずつ街の中心部へ人口を集めようとする計画ですから、すぐに劇的な変化が起こるわけではありません。

ですが、不動産の賃貸経営は10年単位の長い目で計画するものですから、確実に影響はあります。

そもそも居住誘導区域「外」では、あまり大きすぎる建物(1,000㎡以上)の建設は届け出制になりますし、今後の状況次第ではもっと厳しくなっていく可能性もあります。

自治体の本音としては「建てて欲しくない」わけですからね。

 

2025年問題で、居住誘導区域「外」では、もっと不便になる可能性

さらに気をつけなければいけないのが2025年問題です。

団塊の世代が75才以上になって、社会保障費が20兆円以上増えて、財政がヤバくなる問題」

のことを指します。

社会保障費は2025年には140兆円に。約16%も増える

社会保障費の推移と予想

(出典:2040年を見据えた社会保障の将来見通し(内閣府) 社会保障費用統計(国立人口問題研究所)

 

自治体の予算に占める社会保障費の割合は、現在でも3〜4割はあります。それが16%増えるとなれば、予算の5割近くを占める自治体も出てきます。

ということは、今後自治体が使えるお金がどんどん減っていくことで、公共サービスが削られていく可能性があるのです。

横須賀市では、すでに公共施設の削減に取り組んでいる

特に高齢化率(65歳以上の比率)が高い自治体では、2025年よりも前に財政的に厳しくなる可能性が高いです。実際、すでに神奈川県の横須賀市では、多くの公共施設の削減に取り組んでいます。

具体的にはどんなものかというと、こんな感じです。↓

(出典:横須賀市 施設配置適正化計画)

小学校や保育園など、「これが無くなったら、住みたくないよね。」と思ってしまう施設ですら、大きく削られているのです。

このような地域でいくら賃貸経営を考えたところで、うまくいくはずがありませんよね。2025年はあと7年先ですが、不動産経営での7年後の変化を無視することは命取りになります。

そこで、まずは自治体が作成している立地適正化計画で、「居住誘導区域」に入っているかを確認してみることをオススメします。「地名+立地適正化計画」で検索すれば、簡単にみつけることができます。

もし、まだあなたの住んでいる自治体が作成していない場合には、近隣の同じぐらいの人口規模の自治体で、どのように設定されているのかを確認してください。

 

3、生産緑地の解禁(2022年問題)

「2022年に、大都市圏にある農地(生産緑地)が、宅地に解禁されることで地価が下落する。」

と言われている問題です。

 

→このような農地が宅地に変わっていきます。約3,989万坪、戸建てで約133万戸分の土地なので、かなりの影響が出ると心配されています。

生産緑地とは、1992年に制定された法律で、

「30年間農業を続けるなら、固定資産税を安くするよ。」

というもので、2022年で宅地への転用が解禁になるのです。

 

当時40〜50代だった農家の方も、30年経てば70〜80代です。

代替わりしている農家もいるでしょうし、その多くはサラリーマンとして働いている人も多いでしょう。

実際、この30年間で、農家の数は400万世帯から約200万世帯と、ほぼ半分に減っています。

固定資産税が上がっても農家を続ける人もいるでしょうが、その多くが宅地やアパートへと変わっていくと言われています。当然、現在建っている賃貸物件とは競合状態になります。

おそらく、サラリーマン大家の多くが、2022年以降で破産するのではないでしょうか?

 

生産緑地があるのはどこか?

そうなると、気になるのは「どこの地域にあるのか?」ですよね。

一覧にしてまとめてみました。

都道府県別の生産緑地の分布図

都道府県別の生産緑地の分布

(出典:都市計画区域、市街化区域、地域地区の決定状況)

このように、東京、名古屋、大阪の三大都市圏を中心に分布しています。

また、上位の都道府県、市区町村の面積はこのようになっています。

生産緑地の面積ランキング

 

生産緑地の面積ランキング

1番面積が大きい都市は、京都市で約600ヘクタール。東京ドームで127個分になります。

東京では、町田市などの郊外に多く、大阪では大阪市には多くなく、ほぼ全域に散らばっています。

名古屋圏も大阪と同様に、名古屋市だけでなく、愛知県内全域へと広がっています。

 

周辺地域にも、大きな影響がくる可能性あり

さらに気をつけたいのは、生産緑地の多い都市の周辺地域です。

ここ数年の人口の動きを見ると、三大都市圏への人口の移動が目立ちます。地方に仕事が少なくなって、都市部に集中しているからです。

 

そこに今回の生産緑地の解禁が起これば、都市部の家賃や地価が下がるので、若い人を中心に、より多くの人が住みやすくなります。

アパートや戸建ての建設需要も高まるので、仕事も増えるでしょうから、余計に人が流れやすくなりますからね。

 

そのような地域を挙げてみると、

  • 面積1位の京都市のお隣の大津市、京都府内の他の市町村
  • 三重県、岐阜県などの名古屋市に近い市区町村

などで注意が必要でしょう。

 

結論

というわけで、土地活用を考える上で押さえておきたい「これから起こる3つの変化」をご紹介してみましたが、いかがだったでしょうか?

ようするに、「立地が1番大事」ということです。

身も蓋もありませんが、「借り手」の目線から見れば、そうならざるを得ないのが「現実」です。

しかし、その「現実」は、「貸す側」や「売る側」からは、なかなか気づきにくいですよね。今回の記事がそのヒントになれば幸いです。

 

また、ここでの記事は一般的な話なので、「自分の不動産はどうなのか?」がわかりにくい人もいるでしょう。そんな場合には、実際に不動産会社に聞いてみるのが1番です。

こちらのサービス「スマイスター」ならば、アパート・マンション経営だけでなく、駐車場、高齢者向け賃貸住宅など、さまざまな選択肢についての資料を請求できます。

具体的に資料を見ながらイメージしてみるのも1つの方法ですね。

 

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